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鳥取県の平井知事は、当選後初めてとなる4月20日の定例会見で「県の答弁資料作成や予算編成、政策づくりの現場でChatGPTを禁止する」と発表しました。昨今では、大学のレポートでも、ChatGPTの使用を禁止するケースが出てきています。
話題のChatGPTですが、何が問題とされているのでしょうか。今回は、ChatGPTの概要を解説しつつ、公的利用にまつわる問題点について考えます。
ChatGPTは、AI技術を使ったチャットサービスであり、2022年11月に公開されたものです。2023年には、Microsoftが開発元のOpenAIに対して100億ドルの投資を発表するなど、世界中で大きな話題となっています。
ChatGPTは無料であり、使用方法もいたってシンプルです。何かしらの質問をチャットで打ち込むことによって、AIが回答してくれます。たとえば「AIって何?」と質問すると、「AI(人工知能)は、コンピューターシステムに組み込まれた人間の知的能力を模倣または再現する技術や領域を指します」といった回答が得られます。
回答は複数の段落で示されるのが基本であり、Chat GPTの回答を組み合わせれば、簡単なレポートを書くこともそれほど難しくありません。実際に、大学生がChatGPTを使用して、レポートを提出する事態が起こっています。
ChatGPTは便利なツールではありますが、現状ではファクトチェックが必須です。つまり必ず正しい答えが返ってくるわけではなく、中にはデタラメな情報も混じっています。「過去のインターネットの情報を参照している」「事実かどうかよりも単語の出現頻度などで文章を作っている」などが主な理由です。
さらにChatGPTは、最新の情報を学習しているわけではないため、直近の出来事もカバーできていません。たとえば、リリースされたばかりのゲームの情報をChat GPTに質問しても、期待しているような回答は返ってこないでしょう。
2023年3月には、ChatGPT-4がリリースされました。有料プランに課金したユーザーのみ利用できるモデルであり、AIが苦手としている抽象的な思考も可能になっています。
今回、鳥取県の平井知事の発表に関して、インターネット上で賛否両論となりました。否定派の意見として多かったのは、「AIの技術を取り入れないなんて遅れている」「昭和マインドから抜けきれていない」といったものです。
たしかに政府や行政機関は、いまだにペーパーレス化が進んでいないなど、革新性に乏しい印象があります。世界がAIの技術を駆使して発展していく中、時代に取り残されていく日本を見て、苛立ちを募らせる人も多いかもしれません。
しかし平井知事を支持する声が多いのも事実です。特にChatGPTの問題点として指摘されているのが、「情報の正確さが保証されていない」という点です。先述のように、ChatGPTは不正確な回答をすることが多くあります。
私的な文書であればともかく、公的な文書で正確性が保証されていないとなると、政府への不信感が募ることは避けられないでしょう。最悪の場合、民主主義の根幹が揺らぐ可能性もあります。
さらにChatGPTのようなAIツールは、情報漏洩のリスクと切っても切り離せない存在です。ChatGPTの特性として、ユーザーの情報を収集するというものがあります。「AIとチャットをするだけ」と考えて、安易にChatGPTに機密情報を流してしまうと、重大な情報漏洩につながりかねません。
特に昨今では、セキュリティへの意識が強くなっており、さまざまなリスクに対処することが望ましいとされています。特に公的な立場であれば、情報漏洩のリスクがあるChatGPTの使用に関しては、しばらく慎重にならざるを得ないでしょう。
ChatGPTは、今後どのように活用されていくのか、気になっている方も多いでしょう。現時点では不完全な部分もあり、ビジネスで本格的に利用するケースはそれほど多くない状況です。業務上で発生するインターネット検索の延長線上として、調べ物をする程度です。
しかしAIの発展は著しく、今後さまざまな産業に大きな打撃を与える可能性があるとされています。ビジネスの世界を席巻するのはもちろん、政府がChatGPTのようなAIツールを活用し始める日も、そう遠くないかもしれません。
実際、AIを搭載したチャットボットと呼ばれるツールは、さまざまな分野で使われています。ChatGPTがそのままビジネスや政治に関わってくるかは不明ですが、近い将来、AIが大きな存在感を持ってくることは間違いないでしょう。
ChatGPTは、2023年に改良版がリリースされるなど、着実に進化を遂げています。情報漏洩のリスクを理解し、情報の正確性が保証されるようになれば、政治やビジネスの世界で使われるようになるかもしれません。
こうしたツールを使いこなすためには、常に新しい状態を収集し、リテラシーを高い状態に保っておく必要があります。ChatGPTに限らず、AI関連のトピックについて今一度考え直してみてはいかがでしょうか。
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