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採用後に経歴詐称が発覚! この場合、解雇は可能?

公開日2018/12/02 更新日2018/11/30

Q:中途採用をした社員に経歴詐称が見つかり、懲戒解雇をしたいと考えています。ただ懲戒処分として適当かどうか教えてください。

その社員をここではAさんとします。Aさんは学歴を詐称しており、実際には大学中退でしたが大学卒業と履歴書に偽っていました。

採用時の募集要項には学歴を大学卒業以上としていました。これは弊社の主要なクライアントがドクターであるため、営業職としていろいろな会話をするうえで大学の一般教養レベル以上が妥当と判断しているためです。

現在試用期間中で、ドクターからの評判がいまひとつ。大きなトラブルはありませんが、小さなミスが続いており、Aさんと話をしてみると実は大学を卒業していないことがわかりました。

就業規則の懲戒処分を確認しましたが、経歴詐称に関する十分な記載がありませんでした。このような場合、懲戒解雇ができるのでしょうか。またこれを機に就業規則を見直そうと思いますのでポイントを教えてください。

A1:今回のケースにおいて、懲戒解雇が適法か違法かの断定は避けますが、基本的に、懲戒については就業規則でその定めがされていなければ無効とされる可能性が高いです。

懲戒と就業規則に関しては、フジ興産事件(最高裁第二小法廷 平成15年10月10日)が参考になるかと思います。

一方で、経歴(学歴)詐称が懲戒解雇に値するか否かについては、解雇が有効とされた判例、無効とされた判例とも多くありますので参考にしてみてください。

ポイントとしては、

・採用選考の段階で学歴が重要な指標とされていたか否か

・雇用後の業務遂行に重大な支障が生じているか否か

といった点が考慮されているようです。

就業規則の見直しを検討されているようですが、懲戒事由についてはできるだけ具体的に列挙していくことが必要です。とはいえ、あまりにも細かいところまで書かれているのも、就業規則を見せられた労働者にとってはいい気分はしないでしょうし、難しいところではあります。

以上、遠藤 伸貴(社会保険労務士)先生の回答


A2:現在は「試用期間中」と質問者が記載されているので、解雇権留保付雇用契約による「留保解約権に基づく解雇」が可能かもしれません。(裁判判例:三菱樹脂事件 昭和48年最高裁判決)

ただ、適用ができるかは、社員Aさんの採用時に確認を怠らなかったか・従業員教育を適切に行ったかなど他にも考慮される点が多々あります。

実際に行使する際は、専門家と相談しながら行うようにしてください。

参考になれば幸いです。

以上、東 達也(中小企業診断士)先生の回答


ハードルが高い懲戒解雇処分

採用してから学歴詐称が発覚した場合、使用者は、就業規則や服務規程に基づき、懲戒解雇または懲戒免職、諭旨解雇、諭旨免職、分限免職、停職、減給、降格、戒告、けん責などの処分を行うことができるというのが原則です。

しかし、社会保険労務士の遠藤伸貴先生と、中小企業診断士の東達也先生の回答にもあるように、懲戒解雇処分とするのは、かなりハードルが高いことも事実です。

たとえば、卒業証書を偽造して提出していたような場合は、刑法第159条の「私文書偽造」罪が適用となる場合もありますが、今回の相談ケースでは、選考の段階でそこまでの確認は行っていないようです。また、就業規則にも該当する内容が盛り込まれていないということなので、やはり難しい判断になるようです。

学歴詐称を防ぐために取るべき方法

学歴詐称を防ぐためには、選考の段階で厳しくチェックすることが基本です。そのためには、応募者に提出してもらう書類を、明確にしておきましょう。

学歴や資格であれば、卒業証書や資格を証明する証書で確認することができます。職歴や経歴なら、退職証明書や雇用保険被保険者証などで、在職の期間や退職日がわかります。また、退職証明書に退職理由の記載がなければ、解雇された可能性があると判断することができます。

また、面接時に、十分にヒアリングをすることも、詐称を見抜くうえでの大切なポイントです。ここで注意しておきたいのは、担当者によってヒアリングの内容が異なってしまうと、選考基準にもバラつきが出てしまうということです。

今回のようなトラブルを防ぐためにも、管理部門や人事担当者などは、あらかじめ必ず聞きだす項目を決めておくようにしましょう。

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