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物価がどんどん上昇するインフレと、逆に物価が下降するデフレでは、どちらの方がいいのでしょうか。
インフレ下では、物価の上昇に伴い賃金も上がりますが、デフレ下では物価の下降に合わせて賃金も下がります。いずれにしても、仕事や生活に何らかの影響があることは間違えありません。改めてインフレとデフレで、どんなことが生じるのかをおさらいしましょう。
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インフレになる要因のひとつとして好景気があります。景気がよくなるとモノが売れ、需要が供給を上回ることでモノの値段が上昇します。それに伴い、賃金や原材料価格も上昇することで、ますますモノの値段が上がることになります。
好景気によるインフレは、賃金上昇で消費が活発になり、それがまた、企業の業績アップに繋がるという景気の好循環に繋がります。日本での過去のインフレ状態(戦後の混乱期をのぞく)を振り返ると、まさに、この景気の好循環という状態でした。
これだけなら、インフレの方が得なような気がしますが、インフレには異常な状態になって問題となるケースもあります。例えば、戦後の混乱期のように、極端な物資不足によって生じる物価の異常な高騰は、経済そのものを破壊するほどのダメージを与えてしまうことがあります。
このような、狂乱的な物価の高騰は、ハイパーインフレといいますが、日本でも、第二次世界大戦後には、ハイパーインフレ状態に陥りました。
インフレとは逆の状態、つまりモノが売れなくなるため、売上を伸ばそうと値段がどんどん下がっていくのがデフレで、景気の悪化が引き金となって生じることが多い状態です。
モノの値段が下がるのは歓迎すべきことですが、賃金も下がってしまいますから、購買意欲もダウンしてしまいます。その結果、ますますモノが売れなくなり、景気はどんどん悪化していきます。
このように、らせん階段のように、グルグルと落ち込んでいく状態を、デフレ・スパイラルといいますが、こうなると経済はますますひっ迫していくことになります。
デフレになると金融機関も、返済の見通しが立たなくなることからローンなどでの貸し出しを渋るようになり、さらに経済活動が停滞することになります。銀行からの融資が受けられなくなるのは、個人にとっても企業にとっても深刻な問題となります。
日本経済は、高度経済成長とインフレによって経済成長を遂げてきました。しかし、バブル崩壊後は、民間企業の設備投資や個人の住宅投資、個人の消費活動などが停滞する、まさにデフレ・スパイラルに陥り、デフレ不況から抜け出せない状態が続きました。
その打開策として日銀が打ち出したのが「ゼロ金利政策」と、「量的緩和政策」です。つまり、意図的にインフレを創りだそうという非常手段ですが、2013年1月に導入された、物価安定指数を2%にするインフレターゲットは、未だに達成されていません。
インフレやデフレは、需要と供給のバランスが崩れることで発生するものですが、日本の経済は現在、どちらの方向に向かっているのでしょうか。
物価は徐々に値上がりしています。公共料金や社会保障費もアップし、家計をじわじわと圧迫しています。これが、景気の上向きに伴ってのことであれば問題はないのですが、現在の物価上昇は、原油価格の高騰や、投機マネーの流入、さらには米中の貿易戦争、産油国の政情不安などが要因とみられています。
さらに、来年10月には消費税を10%に上げると政府は明言していますが、実質賃金指数は2013年の103.9から2017年には100.5に下がっています。
専門家の中には、現在の日本景気は決して悪くなく、デフレからは脱却しているという見方を示す人が少なくありません。ただ、現在の状態で一般庶民がその感触を得られているかどうかは疑問が残るところでしょう。
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ちなみに、史上最悪のインフレは、第二次世界大戦直後のハンガリーで、1年間に物価が「1億倍×1億倍×1億倍」に上昇するという、とてつもないハイパーインフレが発生した事例だと言われています。
原油価格の高騰は、日本の産業や国民生活にも、さまざまな影響を及ぼし始めています。インフレとデフレのどちらがいいのかの問いに対しては、極端なケースはどちらも歓迎できないというのが答えです。理想は、ゆるやかな物価の上昇にスライドして賃金も上がっていくことでしょうか。インフレかデフレかは、企業業績にも大きく影響するだけに、急激な振れ方をしないことが望まれるでしょう。
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