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名古屋工業大学などの発表によれば、「誤情報を信じた人の4割はファクトチェックを避ける」といった傾向にあるようです。最近ではコロナワクチン関連の記事や、ChatGPTの生成文など、ファクトチェックが求められる場面も多くなっています。
今回は、名古屋工業大学などのファクトチェックに関する調査や、どのようにファクトチェック活動を進めていくべきかを考えます。
調査*では、誤情報であることがすでに分かっている記事と、事実にもとづいている記事を見せ、「それぞれの記事の内容は正確と思うかどうか」について尋ねました。誤情報であることが分かっている記事を「正確だ」と言った人に対して、ファクトチェック記事へのリンクを表示し、どれだけの人がクリックするかを調査しています。
その結果、訂正記事を選択的にクリックするグループ(57%)と、選択的にクリックを避けるグループ(43%)に分かれました。とくに後者のグループでは、訂正記事のうちの7%しかクリックされておらず、約90%のファクトチェック記事が届いていないことが分かりました。
*調査概要
・調査方法:インターネット調査
・調査対象:誤情報を信じていた20代から60代の506人
ファクトチェックとは、「真偽を検証」するもので、社会に浸透している情報が事実にもとづいているかどうかを確認する行為です。たとえば、あるニュース記事が話題になっていたとしても、それが本当に世の中で起こっているかどうか分かりません。
総務省の「日本におけるファクトチェック活動の現状と課題」でも、ファクトチェックの定義として、「社会に広がっている真偽不明の言説や情報が事実にもとづいているかを調べ、正確な情報を人々と共有する」と書かれています。
ファクトチェックの具体例として、「静岡県の水害写真」があります。これは静岡県の水害直後に、匿名SNSのTwitterで拡散されたもので、ドローンで撮影された水害の写真として話題になりました。しかし後に、その写真はAIで撮影したものだと分かりました。
ここで重要なのは、「誤情報であるかどうかをチェックする」だけでなく、「誤情報であることを人々に共有する」ことです。実際に、この水害写真の事例でも、ファクトチェック専門メディアである「リトマス」によって記事化・共有されています。
国際ファクトチェックネットワーク(IFCN)では、ファクトチェック活動の原則について定められています。綱領に定められている五つの原則は、以下の通りです。
・非党派性と公正性
・情報源の基準と透明性
・資金源と組織の透明性
・検証方法の基準と透明性
・オープンで誠実な訂正方針
見落としがちかつ重要なポイントが、一つ目の「非党派性と公正性」です。ファクトチェック活動を行う際は、特定の政党を批判するような内容になってはいけません。特定の政治的立場によるのではなく、すべてのファクトチェックに同じ手続きを用いて、公正な視点で判断する必要があります。
これはスポーツにおける「審判」と同じような原則です。特定のチーム(政党)に偏ったジャッジをするのではなく、すべての事象に対して同じ基準を持って関わる姿勢が重要になります。
ファクトチェックは、以下の3ステップで行います。こちらは、事実かどうかを確認するだけでなく、それを積極的に公表するケースを指します。
・対象となる言説や情報の選択
・エビデンスの調査と明示
・真偽や正確性についての判定
まずはファクトチェックの対象となる言説や情報を選びます。とくに優先したいのが、「社会的な影響が大きい言説・情報」です。たとえば、新型コロナワクチンに関する記事や自民党の政策といった、人々の生活に大きく関わってくるものになります。
対象となる情報が選べたら、真偽を判定するため、事実関係の調査をします。書籍を参照するだけでなく、関係者への取材を行うことも珍しくありません。こうした活動を通して、「エビデンス」と呼ばれる、誰にとっても明らかな証拠をそろえます。
事実関係を確認できたら、その言説・情報が「正確」もしくは「不正確」であるかどうかを判定します。「正確ではあるがミスリードの要素が強く含まれている」といった場合もあるので、完全なる二者択一にするのではなく、補足情報もしっかりと含めましょう。
ファクトチェックは、個人が誤情報に騙されないようにする作業だけでなく、メディアが真偽検証の内容を公表・共有していく取り組みでもあります。名古屋工業大学の調査からも分かるように、誤情報を信じている人は、自分の考えが訂正される機会があまりないようです。
誤情報に騙される人を少しでも減らすためには、メディアが積極的に情報を発信するのと同時に、教育的な視点でアプローチをするのが重要です。義務教育や高校の授業、大学の講義などに、ファクトチェックに関する内容を盛り込むのもよいでしょう。
さらにこうした情報リテラシーの低さは、若者だけの問題ではありません。すでに社会人となった人にも、何らかの形での「学び」が必要です。企業の研修プログラムに、ファクトチェックの内容を含めるなど、さまざまな方法を使って浸透させる必要があるでしょう。
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