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2023年4月、経済産業省が公表している「半導体・デジタル産業戦略」の改定案が発表されました。改定案では、国内の半導体関連産業の売上目標を、2030年までに15兆円とする目標が掲げられています。
本記事では「なぜ半導体の強化が必要なのか」「半導体やデジタルを取り巻く状況」「目標達成のためのロードマップ」の3点に絞って解説します。
今回の目標を掲げた大きな目的は、世界的な競争力を強化することです。 半導体は、私たちの生活において欠かせない存在です。スマートフォンや家電製品だけでなく、自動車や工業機械など幅広いデジタル製品に使用されています。進化を続けるデジタル技術への投資額は、GDPの推移に大きく影響しているといえます。
上のグラフは、デジタル分野への投資額と名目GDPの推移を表しています。青いグラフのアメリカは、投資額の増加とともにGDPも右肩上がりです。一方、赤いグラフの日本は投資額もGDPも横ばいで、デジタル分野への投資が重要であることがわかります。
実際、世界最大級の半導体メーカーであるTSMCを誘致した熊本・九州エリアでは、「関連産業の投資拡大」「人材育成のための連携」「九州エリアの賃金の上昇傾向」といった好循環の兆しが見られます。
また、半導体は安全保障にも役立っていることをご存じでしょうか。たとえばウクライナ・ロシア戦争において、アメリカの宇宙開発企業SpaceXのサービス「Starlink」がウクライナ国民への情報共有を実現しました。最先端の安全保障技術が、官ではなく民によって作られている点が大きな特徴です。
経済産業省は今回の目標達成のために、官民あわせて10兆円を超える投資が必要であるとしています。これまで紹介したような影響をもたらす半導体産業には、高い将来性があるといえるでしょう。官民が一体となって半導体産業を成長させるために、今回の目標が掲げられたのです。
次のパートでは、半導体やデジタル産業を取り巻く状況について詳しく解説します。
日本の半導体市場の規模は、1988年には世界シェア50.3%でした。しかし少しずつ右肩下がりとなり、2022年には6.2%まで落ち込んでいます。日本の半導体産業が巻き返しを図るためには、大きな課題を解決する必要があります。
ここでは世界の半導体・デジタル産業の状況を把握するために、以下の2点を詳しく紹介します。
・脱炭素に向けた取り組みが成長に直結
・エネルギー消費抑制には最先端技術が必要
企業や国家としての競争力強化には、GXのための取り組みが重要です。GXとはグリーントランスフォーメーションの略で、経済の成長とCO2排出削減の両立を目指す取り組みのことです。
GXに重要な「カーボンニュートラル(脱炭素)」目標を表明している国は急増しています。目標を表明している国のGDP総計は、世界全体の約90%です。つまり脱炭素の取り組みや投資は、国家の成長に直結しているといえます。 半導体やデジタル分野において成長を目指す以上、GXの取り組みもあわせて推進することが求められます。
増大するエネルギー消費を抑えるためにも、最先端の半導体を確保することが重要です。半導体は省エネ製品の核となり、エネルギー消費を抑制できる可能性があるからです。 デジタル技術が進歩すれば、情報通信量と電力消費量の増加は避けられません。経済産業省の予想では、2030年の情報通信量は2021年の2倍以上です。
しかし省エネ製品の拡大が広がれば、何も対策しないケースに比べて1割の電力消費量を抑えられるとしています。
エネルギー効率の向上を実現できる半導体は、エネルギー消費量の抑制に役立ちます。
経済産業省は「2030年に15兆円」の目標を達成するために、以下の3ステップを公表しています。
ステップ1では足元の製造基盤を確保するために、以下の取り組みが計画されています。
・国内で半導体を製造するための拠点整備
・日米連携による、信頼性の高い設計・製造拠点の整備
・従来型半導体を安定供給するための体制構築
・装置、部品の安定供給の体制構築
まずは国内で半導体を安定的に製造するための、ハード部分を整備する計画です。 スマートフォンなどに使われている「先端ロジック半導体」から、産業用スペシャリティ半導体まで、幅広い分野の半導体が対象です。
ステップ2の具体的な取り組みは以下のとおりです。
・Beyond2nm実現に向けた研究開発(LSTC)(※)
・NAND・DRAMの高性能化
・SiCパワー半導体等の性能向上・低コスト化
・チップレット技術の確立
・Beyond2nmに必要な次世代材料の実用化に向けた技術開発
※ Beyond2nm:より微細な半導体製造技術で、高性能かつ省電力が実現できる。
ステップ2では、高性能な半導体技術の開発が中心です。次世代計算基盤の実現に必要な技術の確立を目指します。
ロードマップの集大成であるステップ3では、2030年を見据えた技術開発が計画されています。
・光電融合等ゲームチェンジとなる将来技術の開発
・混載メモリの開発
・GaN・Ga2O3パワー半導体の実用化に向けた開発
・光チップレット、アナデジ混載SoCの実現・実装
・将来材料の実用化に向けた技術開発
ちなみに、目標達成のための取り組みとして「人材育成」と「国際連携」も掲げられています。官民一体となり、日本のDX・GX・経済安全保障の実現を目指します。
今回は、2023年に入り改定案が公表された「半導体・デジタル産業戦略」について解説しました。経済産業省は「国内の半導体関連産業の売上を、2030年までに15兆円にする」を目標として掲げています。
今後も発展を続けることが予想されているデジタル分野において、半導体産業は国際的な競争力の強化に不可欠です。目標達成のために具体的なロードマップも提示されていて、官民一体となった取り組みが求められています。
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