公開日 /-create_datetime-/

近年、ビジネスシーンにおけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性が高まっています。従来、DXをめぐる議論が行われるのは、営業やマーケティングなど、顧客と接点を持ち、売り上げ・利益を生み出す部門においてが主流でした。
しかし最近では、バックオフィス部門である法務部門におけるDXの有効性に注目が集まっています。
そこで今回は、法務部門がDXすることのメリット、成功させるポイント、導入を妨げる課題などについて深掘りしてみましょう。
法務部門におけるDXとは、法務業務にデジタル技術を活用し、業務内容および組織の在り方を見直すことを指します。法務部門は法律相談、契約法務、機関法務(ガバナンス)、紛争・訴訟対応、コンプライアンスチェック、知的財産権の管理、債権の回収・管理などを担います。つまり、これら業務の遂行過程をすべてデジタル化するのです。
法務をデジタル化することは、「リーガルテック」とも呼ばれています。リーガルテックは法律を意味するリーガル(Legal)と技術を意味するテクノロジー(Technology)を合わせた造語です。法務とデジタル技術を連携させ、業務の進め方を大幅に革新・効率化することが、リーガルテック導入の目的です。
法務部門のDXを進めることには、具体的に以下のようなメリットがあります。
法務の中でもとくに、契約書作成および送付、登記・電子署名、各種データの調査と分析、紛争解決などの業務を行う際、DXにより大幅な業務の効率改善が見込めます。
契約手続きの工数を減らし、また書類作成時と送付時および情報の収集時と活用時におけるタイムラグも減らせ、法務業務全体のスピード・生産性を高めることが可能です。さらに紙ベースの契約書を作る必要がなくなり、印刷・郵送などの手間も省けます。
契約書のドラフト・レビュー業務において、懸念されるのがミスの発生です。アナログ方式で書類作成をする場合、紙を目で見てチェックする必要がありました。しかし、DXにより書類データをデジタル化することで、AIによる分析などを通して、見落としや記載ミス、あるいは契約内にある法務リスクを自動で抽出可能です。
法務がDXされることで、各種契約データを多用な形で分析することも可能です。収益の傾向、潜在的な利益なども分析でき、経営層の意思決定を支援します。アナログ時代のファイリングされた「書類の束」を前にした状況では難しかった分析が、デジタル化・データ化されることで可能となるのです。
法務部門のDXによる導入成果を高めるためには、自社の法務業務における課題を明確化することが大事です。 「時代の流行りに合わせて、とりあえずDXする」という考え方では、DXを実現しても、導入コストに見合った恩恵を感じられないかもしれません。つまり、DXのツールを導入すること自体が重要なのではなく、何のためにDXするのかが重要なのです。
そのためには、自社の法務が直面している課題を発見することが大切になります。DXを行う前に、法務業務をアナログで行うことが自社においてどんなデメリットがあるのかを明確化しておきましょう。
自社の法務部門が直面している課題を明らかにし、その解決のためにDXを進めるというプロセスを経ることで、DXによるメリットを最大限享受できます。もし分析の結果、自社の法務部門がアナログのままでもなんら課題はない、というのであれば、直近でのDXは必要ありません。
自社の法務部門が直面している課題・問題が、DXによって解消されることが期待できるなら、実現に向けて迅速に行動する必要があります。しかし、法務のDXを進める場合、以下の点が支障になる可能性があります。
法務部門はバックオフィス部門であり、フロントオフィス部門のように直接売り上げ、利益を生むわけではありません。「営業やマーケティング、開発部門などならともかく、管理部門の法務までコストをかけてDXする必要はない」と考える経営トップ層がいる場合は法務のDXは進みません。
実際、DXにはコストがかかるため、予算の都合上、全部門一斉ではなく優先順位をつけて導入が進められることは十分考えられます。その場合、利益を創出する「プロフィットセンター」が優先され、法務のような「コストセンター」(利益は生まず、費用のみかかる部門のこと)は後回しにされる可能性があります。
法務部門のスタッフの中にデジタル技術に対して拒否的な反応があり、それまで適用してきたレガシーシステム(新時代には合わない古いシステム)に固執する人がいる場合もあります。
DXを進めることは、それまでの慣れた業務システムを捨て去り、新たなシステムに移行することを意味します、そのことに法務部門のスタッフ、とくに管理者層にそうした人材がいると、DXは進みにくいです。
電子契約サービスなどを率先して自社で導入しても、取引先企業もそれに対応できるDXを進めていないと運用はできません。取引先が「紙の契約書」にこだわっている場合は、自社もそれに合わせる必要性が生じます。
現在、法務業務の効率化を実現できる多様なリーガルテックが登場しつつあり、法務のDXを進めやすい時代・環境が整いつつあると言えます。しかしそれらを活用するのは人であり、組織です。
実際にDXを進める場合は、デジタル技術の導入によりどのような組織課題が解決できるのか、導入にあたってどのような支障が生じ得るのかを吟味し、自社にとって最適な選択を行うことが重要です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。
債権管理・入金消込効率化『Victory-ONE/G4』導入事例 ~30時間かかっていた入金消込がほんの数十秒に! 伊藤忠エネクス株式会社~
債権管理・入金消込効率化『V-ONEクラウド』導入事例 ~午前中いっぱい掛かっていた消込作業がわずか数分で完了! アデコ株式会社~
クラウド郵便の活用事例 - リモートワークだけじゃない!様々な課題に併せたクラウド郵便サービスの使い方-
請求書の印刷・封入作業をゼロに!電子請求書発行システム「楽楽明細」導入事例集
健康経営ソリューションとして 社宅・社員寮が果たす役割
フレックスタイム制導入のポイント① ~1か月単位のフレックスタイム制~
【弁護士執筆】2026年施行の改正資源有効利用促進法とは?脱炭素・再生材義務化で企業に求められる実務対応
マイクロマネジメントはハラスメントになる?ハラスメントの判断基準と企業ができる対策を紹介
政府や大手企業が表明する脱PPAP ー その問題点と代替案とは?
【経理必見】請求書受領に潜むリスクと対策を徹底解説【セッション紹介】
経理業務におけるスキャン代行活用事例
管理部門兼任の社長が行うべき本業にフォーカスする環境の構築
ラフールサーベイ導入事例集
契約書チェック(契約審査)の重要性とチェックを行う際のポイント
Web請求書の導入にあたり費用対効果を高める方法、お伝えします!
ヤマト運輸、全国4.6万台にクラウド連携ドラレコ 運転日報の電子化で安全教育を強化
ブランド毀損とは?法務が押さえるべきリスクと対応策
「成人発達理論」を活用して、多様化する人材をマネジメントする方法とは
住民票の発行手数料の勘定科目は?仕訳方法や注意点を解説
モバイル端末の業務活用で導入しておきたいMDMの基礎知識
公開日 /-create_datetime-/