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企業の法務部門は、法科大学院修了者にとって重要な就職先の一つです。しかし近年、法務で求められる人物像に変化が生じているとの指摘があります。ビジネスの場では、どのような法務人材へのニーズが高まっているのでしょうか。
そこで今回は、法務大学院修了生が理解しておくべき法務部門で求められる人材像についてご紹介します。
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業界によって具体的な仕事内容は変わってきますが、どの企業においても法務部門が担当するのは契約・取引法務、組織法務、コンプライアンス対応、紛争対応、国際法務などです。
契約・取引法務とは各種契約書の作成およびチェックを行う業務で、組織法務は株主総会や取締役会の運営業務のことです。コンプライアンス対応とは、従業員に対する法令遵守の周知徹底および相談窓口の運営業務になります。紛争対応では取引先・顧客・利害関係者とのトラブル解決を図る業務、国際法務では海外拠点を設けたときに現地の法律・商慣習に適合するための業務をそれぞれ行います。
これらの業務は、「攻めの法務」「守りの法務」という二つにまとめられることもあります。
攻めの法務とは、企業の業績アップにつなげるために法的な手法・テクニックを使うことを意味します。企業の利益追求のために法的知識を活用するわけです。
一方、守りの法務とは、社外および社内におけるトラブルを未然に防ぎ、もし発生したときは紛争解決のための対応を迅速に行い、リスク軽減を図ることです。トラブルの予防・解決を通して、企業が受ける損失を最小にするために法的知識を用いることを意味します。
法務部門の収入は、一般的には20代後半で500万円前後が相場です。ただし経験・スキル次第では相場を大きく上回り、特に外資系企業では1,000万円超となる場合もあります。
法務担当者というと、数年前まではあくまで法律の専門家という位置づけであり、新卒・転職市場でも法的な観点が重視される傾向にありました。企業が法務部門に求めることも、「法律知識をもとに客観的な視点からアドバイスを提供できること」にあったといえます。
契約書の作成・審査においても、法律文書としての形式的な正確性・適正性が重視され、その業務を着実に行える人材が重視されていました。そのため新卒・転職市場の場では、企業が属する業界に関わる法律知識に詳しい応募者は高評価、そうではない人材には低評価を与えるのが通例でした。
法律知識をもつことが重視されたかつてに比べ、現在では法的な視点だけでなく、ビジネスの視点からもアドバイスができる法務人材が求められるようになっています。つまり法令遵守を重視しつつも、企業の増収・増益にも結び付くような落としどころ・妥協点を見いだせるかどうかが重視されているわけです。
中立的な法律家というより、ビジネスを進める企業人としての意識をもち、現場の担当者とチームを組んで業務を進められる人材へのニーズが高まっているといえます。
また、契約書の作成・審査業務についても、法的内容と直接関係のない文章表現の書き方についてはそれほど時間をかけないのがトレンドとして見受けられます。形式的なことよりも、企業が直面し得る法的リスクの発見とその解消のための代替案の検討に、時間とコストをより注力するようになっているのです。
また、コミュニケーション力もより重視されるようになっています。この場合のコミュニケーション力とは、法律知識をもつ人同士ではなく、法律知識をもたないビジネス現場の人とも人間関係を構築できる力です。「法律知識をもたない人とは、法律の話はできない」といった姿勢・考え方は、これからのビジネスシーンでは低評価の原因にもなりかねません。
このような人材が求められるようになった背景にあるのが、従来の法務部門人材像における「融通の利かなさ」です。
たとえば、ビジネスの現場で取引先・顧客と契約を行う場合、法務部門が法律上の些末な文言や内容で契約審査の進展を妨げると、先方に迷惑をかけることになります。契約書審査に時間をかけすぎることで締結が遅れ、それが要因で事業開始が遅れ、ビジネスチャンスを失ってしまうことも十分に起こり得ることです。
こうした法務部門が形式性を重視するあまり融通を利かせられないことに対する不満が、業界横断的に生じるようになっていき、上記のような求める人材像の変化を生み出しつつあると考えられます。
法務部門である以上、その企業の業界に関係する法律の専門知識をもっていることは前提条件として不可欠です。しかし、そのことだけを強調しても高評価は得られず、それどころか「これからの法務人材としてふさわしくない」として低評価の要因にもなりかねません。
つまり、「ビジネスよりも法律に関心がある」「社員になることの意識が乏しく、あくまで法律の専門家として活躍することを強調する」「法律家であることのプライドを強くもつ」といった姿勢では、これからの就職・転職活動の成功は難しいといえます。
法律家としての視点ではなくビジネスを担う企業人としての当事者意識をもち、現場の担当者と協力しながら業務に取り組む姿勢を見せることが重要になるわけです。
時間をかけて法科大学院を修了したわけですから、就職・転職活動の場では、そこで学んだ法律知識を自分の強みにしたいと考えてしまうところです。
しかし、そこで得た法律知識はあくまで前提条件に過ぎません。それに加えて、学生には「法律知識をもたない人にわかりやすく説明する力」「現場担当者と良好な人間関係を維持し、協力しながらプロジェクトに取り組める力」が求められているといえるでしょう。
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