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内部通報システムを導入することで、社員や管理部は自身が抱える問題や見つけた不正行為を匿名で報告し、経営者はそれらの情報を早期に把握し、適切な対策を立てることが可能となります。これにより、企業の法令遵守を保証し、企業イメージや信用を維持・向上させることが可能となります。大手の中古車販売会社である「ビッグモーター」が自動車保険の保険金を不正請求したことが、社会的に問題視されています。さらにそこから派生して、同社が抱えるさまざまな問題が次々とマスコミで報道されています。
不正請求という問題にとどまらず、企業風土・文化まで問われ、社会的信頼を大幅に失う事態となっているのです。
今回はビッグモーターのコンプライアンス問題について深掘りして考えていきます。
ビッグモーターが行った保険金の不正請求の手口とは、顧客から修理依頼があった自動車に対して、会社側でさらに故意に傷をつけることで保険金請求額を水増しする、という内容です。
たとえば、「ひょう被害で修理依頼のあった自動車をゴルフボールでたたき、傷の範囲を大きくした」「ヘッドライトのカバーを傷つける」「ドライバーで車体を傷つける」「塗装の品質を実際よりも高価なものに装う」などの行為があったと報道されています。
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同社の経営実態は以前から問題視される部分がありました。2016年には産経新聞の取材により、営業目標を達成できなかった販売店の店長が、達成している販売店の店長に対して個人負担で現金(罰金)を支払う慣行があることが発覚しています。
当時ビッグモーター側は、慣行ということで会社側が強制していないので違法性はない、と主張していましたが、社会的な規範に反する行為なのは明白です。
そして冒頭でも紹介した保険金の不正請求問題は、2022年に店舗の従業員からの内部告発が発端です。その後、損害保険会社が告発を受けて調査を実施。最終的に33の修理工場で300以上の不正があったことがあらためてわかりました。
損害保険会社側がビッグモーターに対して厳格な調査を求め、同社は外部の弁護士などで構成される特別調査委員会を設置し、調査を開始。その結果、保険金請求において不適切行為があったことが発覚し、マスコミで大きく報じられました。
特別調査委員会は従業員に対してもアンケートを行っており、調査対象となった従業員の約4分の1が、「不正な作業に関与した」と回答。不正請求は一部の社員のみが行ったわけではなく、ほぼ全社的・組織的に行われていた実態が明らかになったのです。
同社では経営陣から、車両修理1件あたりの代金、車両パーツの粗利益の平均額を上げるようにノルマが課せられていたと報道されています。
平均値が低い工場では、会議の場で問い詰められたり、降格させられたりするなど、厳しい処分が下されていたようです。そうした中、保険金の不正請求行為も、ノルマ達成のための慣行として横行していたようです。
保険金の不正請求で大きく社会的信頼を損なったビッグモーターですが、それ以外の組織内の問題もマスコミで報道され、信頼喪失の度合いがさらに増しています。その一つが除草剤による街路樹伐採行為です。
たとえば神奈川県は8月2日、県内にあるビッグモーターの2店舗において、店舗前にある街路樹が除草剤により枯らされている事実が判明したと発表。川崎市内の店舗では、街路樹を伐採していたことも明らかにされました。他にも大阪府や群馬県、広島県など、全国各地の店舗でも、同様の行為が行われていたとの疑いがもたれ、調査が続けられています。
中古車販売業大手のビッグモーターで発覚した保険金不正請求問題ですが、そもそもの問題の発覚は、同社の従業員が保険会社に内部告発があったことで明らかにされました。このことは、もし内部告発がない限り、不正行為があっても発覚しないことを意味します。
そう考えると、現在のところは明らかになっていないだけで、業種業界を問わず、不正行為が多数あるとの推測も可能です。各企業は経営陣・管理者層が自らも含めて法令遵守の体制が出来ているかをチェックし、自社に問題がないかをあらためて確認する必要があるでしょう。
■参考サイト
企業のコンプライアンス(法令遵守)について
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