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転籍と出向って何が異なる?人事が対応すべき内容に関して

公開日2018/12/16 更新日2024/09/20 ブックマーク数
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転籍と出向って何が異なる?人事が対応すべき内容に関して

会社員をやっていると、ある日突然「グループ会社・子会社に移ってくれ」といった辞令が下される場合があります。

しかし、それが「出向」であるのか、あるいは「転籍」であるのかによって、人事が行う手続きには大きな違いが出ることになります。

ここでは「出向」と「転籍」それぞれの意味や違い、企業側が行わなければならない対応などについて解説していきます。

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「出向」と「転籍」の違いとは

出向は正式には「在籍出向」、転籍は正式には「転籍出向」といい、これを縮めてそれぞれ「出向」「転籍」と呼びます。

いずれも他の企業に移動して、新たな企業の指揮命令下で就労することを指す言葉ですが、この2者には実は大きな違いがあります。

まず出向ですが、これは元の会社との「労働契約を残したまま」、出向先の企業で業務に従事することを指します。また通常、出向は将来的に元の会社に戻ることを前提として行われます。

転籍は元の会社との「労働契約を終了して」、転籍先と新たな労働契約を結ぶものであり、将来的に元の会社に戻れるという保証はありません。

ちなみに転籍については下記の2種類の方法があります。

A.労働者の同意を得て労働契約を解約し、転籍先と新たに労働契約を結ぶもの

B.元の会社から転籍先に、労働契約上の使用者としての権利を譲渡するもの

Aは通常の転籍、Bは企業の倒産などに伴う事業譲渡の際にみられる方法ですが、転籍はいったん元の会社を退職することとセットになっているため、労働者の個別の同意が必要となります。

一方、出向の場合は、元の会社との労働契約が継続しているため、包括的同意があれば、企業は従業員に出向を命じることができるとされています。この場合の包括的同意とは、出向元となる会社に「業務上の必要があれば出向を命じる」などの就業規則や労働協約などがあり、さらに出向時の労働条件などが規定されているケースを指します。人事においては、このあたりの就業規則の確認も不可欠といえます。

なお出向については、法律で「企業が権利を濫用すること」を禁じており、出向を命じる際には、企業側がその理由や必要性を明確にすることや、労働条件が低下しないように配慮することも必要となります。こうした条件をクリアにせず、企業が権利を濫用しているとみなされた場合は、出向が無効となることも労働契約法には定められています。

出向はあくまで元の会社に在籍したまま別の会社で一定期間働くことであり、転籍は元の会社を退職して別の会社に移る人事異動を指すことを覚えておきましょう。

転籍・出向における人事の手続き

次に転籍と出向における企業側の人事の手続きについてみていきましょう。

上記のとおり、転籍と出向についてはその労働契約や指揮命令のあり方に違いがあります。

転籍の場合、元の会社との労働契約を終了して転籍を行うことから、労働契約は転籍先とのみ結ぶことになり、転籍先の会社の指揮命令の元で業務に従事することになります。

しかし、出向の場合は、元の会社との雇用関係を残して出向先に移動するため、労働者は元の会社と出向先の会社の両方と二重に労働契約を結びます。一般的に出向の場合は、出向元と出向先が出向契約を交わした上で、労働者は労働契約を出向先と締結し、指揮命令については出向先の企業の管理下に置かれることになります。

なお転籍については、労働者の同意が必要であることから、人事においては労働者から合意書を得ることが欠かせません。その際、企業側は労働者に転籍の必要性や、転籍先での賃金や労働時間といった労働条件についても説明する必要があります。また、転籍によって労働条件が低下する場合には、転籍元にはいかにそれを埋め合わせるかといった措置を講じる必要も出てきます。

一方、出向については、包括的同意があれば企業は労働者に出向を命じることができるとされていますが、事前に出向の条件を説明し、同意書などで社員の同意を得ておくことはやはり必要であるといえるでしょう。

さらに転籍や出向を行う際には、人事では各種保険についての手続きも必要となります。

転籍の場合は、通常は社会保険・雇用保険・労災保険の全てが転籍先で適用されることになるため、元の会社の人事においては各種保険の資格喪失手続き、転籍先の人事では各種保険の資格取得手続きを行う必要があります。

一方、出向の場合は、労災保険のみ実際に業務に従事している出向先で適用されることになるため手続きが必要ですが、社会保険や雇用保険については元の会社で継続して適用されることが多いようです。ただしこれは出向元の会社が賃金を全て支払っているケースの話であり、出向先の会社からも賃金が支払われている場合は、その割合が多いほうの会社で雇用保険が適用されます。

人事の手続きとしては、転籍・出向の場合も労働者への理由や条件の説明、各種保険の手続きなどが必要なことに加えて、転籍の場合は個別の労働者からの合意書の提出が欠かせないことを覚えておきましょう。

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有給休暇や退職金について

転籍・出向いずれの場合も、転籍や出向をしたあとに賃金や労働時間、賞与などの条件がどうなるのかということを確認しておくことが重要となりますが、転籍の場合はこれに加えて有給休暇や退職金についての確認も必要となります。

たとえ子会社やグループ会社への異動であっても、転籍は元の会社をいったん退職するという形をとるため、有給休暇が退職とともにリセットされてしまう可能性もあります。

有給休暇については、これまでの日数が転籍先に継承されるかどうかを確認し、有給休暇が転籍に伴ってリセットされてしまう場合は、会社がどのような方法で有給の日数分を補填するかを転籍元と労働者の間で話し合っておく必要があります。

また退職金についても、転籍でいったん勤続年数がリセットされてしまうと、退職金の金額に影響してくるため、元の会社を退職した時点でいったん退職金を支払って清算するのか、勤続年数を転籍先に引き継いで通算とするのかを明確にしておかなければなりません。

転籍・人事においては有給休暇や退職金についても、転籍に伴う扱いの詳細を明確にした上で条件確認書を作成し、従業員の同意・署名を得ておく必要があるといえるでしょう。

まとめ

出向を行うにあたっては、出向先や業務の詳細、出向期間、出向先での労働条件などを、会社と従業員の双方でしっかりと確認しておかなければなりませんが、転籍の場合は上記に加えて有給休暇や退職金に関する扱いも確認し、転籍の合意書とともに文書化しておく必要があります。

いずれにしても、労働者は異動後、新たな会社のルールに沿って業務に従事することになるため、企業においては出向先・転籍先と話し合いや調整を行うことが重要となり、企業が出向や転籍を命じる際には、労働者ができるだけ元の職場環境に近い条件で働けるようにすることも同時に求められます。

とはいえ、転籍や出向は雇用調整の意味合いで実施されるケースも多く、転籍の辞令が実質的には退職勧告として行われていたり、転籍後に正社員だった人が非正規雇用になったりと、労働者にとっては不利な条件での異動が行われるケースも少なくありません。また出向については、実態は人材派遣であるにも関わらず出向を装う「偽装出向」も問題となっています。

転籍・出向後のトラブルを避けるためにも、労働者の側は転籍・出向を命じられた際は企業側とよく話し合い、納得がいかない場合は、条件の交渉を行うことも重要となります。特に転籍については、簡単に同意書や合意書を提出しないほうがいい場合もあります。また、会社から無理な転籍や出向を命じられた場合には、労働組合や都道府県の労働相談センター、弁護士などに相談する必要があるかもしれません。

また、転籍や出向を命じる企業の側は、違法性のある転籍・出向や訴訟などによるイメージダウンを避けるためにも、転籍先・出向先の企業としっかり調整や引き継ぎを行った上で、転籍や出向の必要性や条件を事前に明確に説明し、労働者からの同意を得ておく必要があるといえるでしょう。

■参考サイト
「望まない転勤の廃止」からみるダイバーシティマネジメントの重要性

※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。

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