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事業を行うにあたり従業員を雇用する場合、各従業員と使用者は雇用契約を締結することになります。
雇用契約書の基本知識や雇用契約書と労働条件通知書の違い、記載事項や作成過程において注意しておきたい内容を解説します。
目次【本記事の内容】
企業側では、雇用する際に雇用契約書を個別に作成するのではなく、労働条件通知書の交付と就業規則の提示をもって、雇用契約書の作成に代えている場合も多くあります。
もっとも、就業規則は会社と全ての就業者との共通の労働条件を定めたものにすぎず、また労働条件通知書には個別的な労働条件が記載されているものの雇用契約書のように法的拘束力が発生するものではないため、このような対応をしてしまうと、各従業員の個別の事情を法的に反映させることは難しいというデメリットがあります。
今回は、一般的な就業規則が作成されている場合における、雇用契約書作成時に注目すべきポイントをみていきます。
雇用契約書は事業主と就業者の間で交わす契約書となります。通常は2部作成し、署名・捺印後に事業主と就業者がそれぞれ保管することになります。
一方、労働条件通知書は、事業主から就業者に個別的な労働条件を通知するものとなります。労働基準法第15条はこのような労働条件の明示を絶対的明示事項(詳しくは、後述(本稿2)をご参照ください。)として定めており、これらの事項が記載された労働条件通知書が未発行の場合、労働基準法第120条により、使用者に30万円以下の罰金が科せられることになります。
現在の実務では、労働条件を明示するために、労働基準法第15条1項が定める「使用者が就業者に明示すべき項目」を雇用契約書の中に記載しておくことが一般的となっており、雇用契約書と労働条件通知書をひとつにまとめて作成・運用する企業も増えています。
就業規則が作成されている場合、個別の就業者との労働契約の内容は就業規則にて定められた内容よりも良好なものであること(、つまり就業者に有利であること)が必要であり、個別の労働契約が就業規則に劣る場合には、労働契約法第12条により、その部分は無効となり、就業規則の基準まで上方修正することになります。
したがって、各就業者と個別の条件を含めて、雇用契約書の内容が、就業規則の条件に見合っているかの確認が必要になります。
絶対的明示事項とは、明示すべき労働条件のうち特に重要な項目をいい、昇級に関する事項を除き、必ず書面により通知する必要があります(労働基準法施行規則第5条1項1号~4号、3項、4項)。なお、就業者において通知内容が明確に理解できるものである限り、その記載様式は問われません。
具体的な項目は、以下の通りとなります。
・労働契約期間(期間の定めのある労働契約の場合、更新に関する事項を含む)
・就業場所
・業務内容
・始業時刻と終業時刻
・所定労働時間を超える労働の有無
・休憩時間
・交替制勤務
・休日・休暇
・賃金計算方法・支払日
・退職(解雇に関する事項を含む)
・昇給(必ずしも労働条件通知書による明示でなくてもよく、就業規則の交付などでも足りる)
就業場所について転勤の可能性がある場合には、その内容を雇用契約書の中で明示しておく必要があります。この点、「業務内容の場合によっては就業場所が変更できる」などの就業規則の記載をもって、転勤に対応することも多いですが、この場合「就業場所」の内容が不明確であり、変更先の就業場所が事業所内かそれとも事業所外(転勤)かをめぐりトラブルが発生するおそれがあります。
例えば、同一企業内で転勤の可能性が有る就業者と無い就業者の両方がいる場合には、該当する就業者に転勤を命じることができることを明らかにするためにも、個別の労働契約書に転勤を命じることができる旨を記載・説明しておくことで、転勤について個別に同意を得ておくことが重要になります。
なお、仮に就業規則の中に転勤可能性があることについて明確に記載されていたとしても、個別の労働契約において異なる合意がされる場合には原則としてそちらが優先されます(労働契約法第7条)。
そのため、このような場合であっても転勤の必要があるときには、個別の労働契約締結の際にもその旨を記載・説明したうえで、就業者からの同意を得ることをお勧めします。就業場所の変更(特に転勤)に関する判例の中では、個別の労働契約の内容について、合意に至った経緯(やり取りを含む)や、就業者の当時の状況なども考慮されているため、万が一のトラブルに備えて、これらの事柄についても念のために記録・保存しておくことも有用であること、あわせてご留意いただければと思います。
また、個別の労働契約書には、業務内容の変更を命じることができる旨についても記載しておくべきです。業務内容の変更である配置転換は、会社の事業内容の変更や業績の変化など、様々な理由によってどの就業者にも起こりうるため、慌てることのないよう事前に確認しておくとよいでしょう。
従事すべき業務内容については、個別の業務内容ごとに可能な範囲で具体的に記載することが求められます。例えば、管理監督者に該当すれば、深夜割増は必要ですが、労働時間の制約を受けないことから、就業者こちらに該当する場合であれば、管理監督者であることを明示することが必須となります。また、定められた業務内容が就業者の業務査定や能力不足による懲戒・解雇の判定の基準になることから、就業者と企業との間に認識の違いが出ないように詳細な記載が必要になります。
就業時間(始業時刻、終業時刻、休憩開始・終了時刻)についても具体的な時間を明示する必要があります。
なお、一日8時間又は週40時間を超えて労働を命じる場合は・・・・・・
◆WRITER
弁護士 小野 智博
弁護士法人ファースト&タンデムスプリント法律事務所 代表弁護士
企業の海外展開支援を得意とし、日本語・英語の契約をレビューする「契約審査サービス」を提供している。
また、ECビジネス・Web 通販事業の法務を強みとし、EC事業立上げ・利用規約等作成・規制対応・販売促進・越境ECなどを一貫して支援する「EC・通販法務サービス」を運営している。
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