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今年新たに設立された【J-WEST CFO Community】は、ファイナンス、コーポ―レートに関する知識の還流を通じた、次世代CFOの育成・CFO人材の流動化を目指すCFOのコミュニティです。今回は設立者・平岡氏に、取り組みの背景や想いについてお話を伺いました。
2017年に株式会社カラダノートに転職し、コーポレート部門管掌役員として、2020年に同社の上場をけん引。
現在は、モノづくりベンチャーにて、地方とモノづくりというテーマに掲げ、企業成長にコミットしながらいくつかのベンチャー支援を実施中。
2023年9月より西日本エリアのCFOコミュニティ「J-WEST CFO Community」を設立。
目次【本記事の内容】
──CFOのコミュニティ、「J-WEST CFO Community」を設立されると伺いました。どのようなテーマを設け、どのような方をターゲットにした団体ですか?
「J-WEST CFO Community」は、西日本のCFO人材の育成やCFOマターの知の還流を促して、地域のさらなる活性化を目指すクローズドなコミュニティです。ターゲットは西日本に縁のあるCFO経験者や、CFOを目指したい方です。
──西日本を舞台にしたのはどうしてですか?
僕が広島出身だからというのが大きいですね。きっと他の都道府県出身者と比べても、広島の人って地元愛が特別大きいんじゃないかと思っています。私もそのうちの一人でして、東京を中心に働くようになってからも「広島のためになにかしたい」という気持ちをずっと募らせていたんですね。自分がこれまで経験してきたことを踏まえ、広島を含め西日本地域の産業活性化に貢献できれば、と考えたんです。
──これまでも地元・広島に関わる活動はされていたのですか?
2020年に上場したあとに、広島県が主催している起業家育成を目的にしたベンチャー支援に関わる機会がありました。今の県知事である湯崎さんがもともと起業家だったりすることもあって、3年程前からプロジェクトの一環として取り入れているアクセラレーションプログラムに関わらせていただき、広島県のベンチャーの状況や事業内容について徐々にわかりはじめてきたという感じでした。
──それでCFOコミュニティを。
はい。これまでもCFOに関する相談を経営者の方から多々受けていたんですね。それに地方に行けば行くほど、人材や知識、スキルみたいなところが乏しいんだろうと感じていて。“地産地消”のようにCFOにまつわる問題を解消できる仕組みができないかなと思ったのが、設立のきっかけです。
──コミュニティを設立するに当たり、参考にしたものはあるんですか?
原形は、東京にあるCFOのコミュニティです。僕自身未上場のときから参加させていただいており、同級生みたいな人から先輩CFOみたいな人まで、いろんなCFOとのご縁をいただきました。CFOとして同じような悩みや課題を共有できるみなさんから、実務の細かな情報も共有いただいて、実際に実務で使える具体的なアドバイスに非常に助けられたんですよ。
──東京で参加されていたコミュニティを参考にされたんですね。
東京のCFOコミュニティは、以前マイネットで副社長をやっていらしたグロース・キャピタルの嶺井さんが10年ほど前に始められました。僕は早い段階から参加させていただいて、当初は数十人ぐらいだったと思います。最近のイベントではオンラインを含めて数百人以上集まるようなコミュニティになっているようです。
特にリアルで集まったときに直接顔を見ながら会話できることもあり、ディープな話をよくしていました。まさに、CFOにはそういった場が必要だなと感じております。今は広島含め西日本からでもオンライン参加できるとは思いますが、やはりリアルに勝るものはないなと。そこで「J-WEST CFO Community」の立上げを決意し、嶺井さんに「西日本版のCFOコミュニティをやります」と伝えて許可をとりました。実は嶺井さんも下関出身なので、僕たちのコミュニティの活動にも賛同してもらっています。
──多くの地方都市でベンチャーや中小企業を支援して、産業を活性化する取り組みはありますが、実際はなかなかうまく進まないようです。何が課題だと思われますか?
いろいろある中の一つに、適切な助言ができる人がいない、ということがあると思います。
実際に地元企業の方々と交流する中で、「いいCFOいない?」って経営者の方から相談は非常に多いですし、他にも「上場準備はなにをやればいい?」「ファイナンスとかどうすればいいんですか?」という相談も多いんですよ。もちろん、それらを解決できるCFOを採用できれば良いのですが、なかなか地方都市にそういった人材はいないですし、相談できる相手もいない状況です。
一方で地方出身で東京など大都市圏で経験を積んだ方が、地元に戻ることもまだまだ少ないですし、地元の企業に就職した方が積極的に出て情報を得るという動きも少ないと思っています。
──東京や大阪、名古屋にはわりとベンチャーを起業する人もCFO人材もいるでしょうけど、「じゃあ地方都市に行くか」っていうと、よほどゆかりがないと行かないでしょうし。
そうですね。それこそコロナもあってリモート環境ができはじめたといいつつも、どこまでコミットできるのか。たとえば僕なら東京に家があり、子供もいる現状で、広島100%でコミットできるのかというとなかなか難しいのが現状です。僕は広島に実家があるので、ある程度融通がきく部分はありますが、縁もゆかりもなければ、きっと行かないですよね。
結果、ある程度の成長企業を目指すのであれば、本社を東京や大阪、名古屋といった大都市圏に構えた方が良いよねと。そうなると、ますます地方で起業してもとか、別に地方に本社がある必要がないよねと悪循環になっているんではないかと正直感じてしまいます。
──広島県での転職を促すというより、もう少しアドバイザーみたいなサポート体制で支援する形になってくるんですかね。
そういうのもひとつの選択肢としてあるかなと思っています。今、賛同いただいてる方が大体今20人弱ぐらいいらっしゃるんですけど、僕みたいに東京で上場企業の経営者を経験していたり、ベンチャーのCFOをやっていたという人が大半です。広島の事業会社でそういうことをやっている人はまだまだ少ないんではないかなと感じております。
既に経験がある人が、地方都市の地元に戻ることは難しい部分もあるので、地元にいる人たちが、地元にいながら成長できる機会を作りたいと考えています。コンサルティングのように一時的な支援ではなく、継続的に機会を提供できるようなコミュニティを作りたいです。
──できる人が一度支援して終わりってなると、抜けたあとにそこが空洞化してしまうこともあります。結局、いる人が成長していく必要がありますね。
そうですね。やりたいこととしてはいくつかあるんですけど、現象として起こしたいなと思っているうちのひとつがM&Aです。今ってベンチャーのイグジットとして、IPOだけじゃなくM&Aという事例も徐々に出てきてると思うので、新規事業の一貫として広島の中堅企業が広島のベンチャーを買うという動きがもっと出てくるといいなって。ベンチャーのM&Aは通常良くある事業継承なM&Aとは考え方が異なるので、そういうところもレベルアップしていければ。
もうひとつは、ベンチャーで働きたいと望む人材の循環です。中堅中小企業でくすぶっていて、チャレンジはしたいけど「東京まで出るのはちょっと」というような人を、広島をはじめとする西日本のベンチャーに転職してもらうような流れを作りたい。また、ベンチャーを経験して、中堅中小企業に戻るのも良いと思っています。そういう双方の知識やスキルの向上を目指しているところです。
──地方での経営支援というと、やっぱり顧問の税理士先生がいらっしゃると思うんですが、そのあたりとの棲み分けというか、適切な連携方法などを考えていますか?
基本的にはうまく連携していけると思っています。税理士事務所が強いところは既存事業の延長戦にある会計支援や税務申告、事業承継だと思います。一方で、私たちが支援するのは拡大や変化といった非連続な成長を促すものだと考えています。いわゆる飛び道具というかプロジェクト案件が求められると考えています。地方都市の税理士事務所ではそういった案件を取り扱うケースは稀だと思うので、棲み分けはできるかなと思っています。
──たしかにそうですね。事業承継は別としてM&AやIPOなど、地方都市での発生頻度は少ないので、税理士先生としても相談されても困るかもしれませんね。
もちろん顧問税理士でも一般的な話はできるとは思うんですけど、我々はそれがやりたいわけではなくて。実体験に基づくディープな情報が、我々のバリューだと思っています。なにか困ったらとりあえず相談に来てもらえるような、駆け込み寺みたいな存在になるのが理想ですね。
──「J-WEST CFO Community」では、どのような活動を行う予定ですか?
やろうとしていることはもうほんとに単純で、定期的に勉強会をやって、相互に刺激しあう、それに尽きます。
これまで僕はファイナンス以外にコーポレート全般にも携わってきたので、そういうところも含めて幅広く知識の共有をしていきたいし、事例も含めてみんなで勉強し合いたいですね
──具体的にはどんな活動を想定していますか?
大きく4つを想定しています。
1つめは、「資本政策に関連する情報共有」です。IPO、M&A、IRといったところの基本的な知識だったり、そこでのネゴシエーションだったり、スキルや知識、自分たちが経験した事例の共有ですね。
2つめは「人的資本に関する情報共有」で、人事制度や教育制度、採用ってどうやってるのか?みたいなところをみんなで共有しあうという目的。
3つめは「事業モニタリングに関する情報共有」。どうやって事業側を支援しているんだっけ?というところ、事例の共有というものをできればなというところです。
4つめは「バックオフィスに関する情報共有」。バックオフィス全般的なチームビルディングみたいなところや、システムをどういうふうに使っているのか?といったところを共有していきたいと考えています。
大きくこの4つをベースにしながら、テーマを絞りつつ定期的に勉強会をする形を目指しています。その中で、何かプロジェクトに参画する機会が出てくれば、その案件に合わせて柔軟に対応します。たとえば我々のコミュニティがどこかの会社に携わって、みんなで課題をつぶしあうというのもおもしろいかなって。まだ、これからなので、最初は手さぐりになりますが、新しい取り組みなので積極的に色々なことに取り組んでいこうと思います。
──上場企業やIPOを準備されてきた企業のCFOから聞けるというのは、向上心のある管理部門の方からしたらすごくいい機会ですよね。
そうですね。ただ広島県だと、そういう人に巡り合うまでに時間がかかっちゃう感じがあるので、こうしてメディアに出させていただけるのは非常にありがたいです。一方ではちゃんとした人が発信していかないとコミュニティの質が下がっちゃうので、基本的には知り合いの知り合いであったり、僕が面談させてもらってコミュニティにふさわしいと判断した人だけに参加してもらって、徐々にコミュニティを拡大していきたいと思っています。
──企業の成長を促そうというところにテーマ性を置くのであれば、やはりよりつっこんだ話をしないといけないでしょうから。「ネットで拾える情報だよね」というレベルになってしまっては物足りない。
そうです。対象となるターゲットがだんだん狭まってくる難しさはありますが、質の部分には拘らないと本末転倒だと考えています。コミュニティを成立させるために、質を維持しながらどう広げていくかが、正直課題ではありますね。
──具体的に実施予定の企画はありますか?
イベント兼交流会をやろうと思ってます。今年12月までは人を集めていくというところに私がコミットしていて、今後は広島でイベントをやる予定ですし、いろいろなところに顔を出してこの団体の趣旨や背景を説明して賛同者を増やしていきたいと考えています。
──基本的にはCFOに限らず管理部門の方が参加するようなイベントですよね?
そうですね。ちょっと曖昧な表現も入れてはいるんですけど、基本的にはベンチャーだったり中堅中小企業の事業会社で、CFOや管理部門トップをやっていたり、それに準じるような経験をされている方です。もうひとつ重要なのが、中国・四国に縁があるかどうかっていうところ。出身地ではなく、「今勤めてます」でも全然いいんですけど、一応そういった縁がある方というのを参加条件にしています。
──現在の目標や、ベンチマークしている事柄はありますか?
ちゃんと定期的にイベントをやるというのが大前提です。マイルストーンとしては、12月に第1回目をやること。あとは参加メンバーも、初年度は20人くらいで、2年目はその倍、3年目はさらにその倍に増やしていきたいと楽観的に考えています。もちろん人数を焦って広げるようなことはせず、ちゃんと質を担保できる形で徐々に広げたいと強く思ってます。
──ゆくゆくは行政や教育機関との連携なども視野に入ってくるかもしれないですね。
そこまでいってくれるといいですけど。
ただ、はじまったばかりですから、無理やり大きくしようとは考えていません。コミュニティの質を担保しなくてはいけませんから。あえて会社にしていない理由もそこにあって、みんなでじっくり育てていこうと思っています。短期間で結果を出すっていうよりは中長期で腰を据え、5年後10年後の西日本を考えていきたいですね。
──今後が楽しみです。
自分の中で10年はコミットして頑張ろうと思っていて、もう何がなんでもやめないつもりではいます。人が順調に増えるかどうかは自分のがんばりとアイデア次第かなと思っていますが、積極的にいろいろな方に協力してもらおうと考えています。
──私もお力添えできることがあればぜひ。これからの展開が楽しみなので、フェイスブックをしっかりチェックさせていただきますね。
もし発信をさぼっているように見えたら、ぜひご指摘いただけると(笑)。また我々の活動に興味があり、我こそはという方がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽にフェイスブックからコンタクトしていただけますと幸いです。
インタビュアー
清水 悠太(しみず ゆうた)/ マーケティングDivision / 執行役員
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