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以前はNASA(アメリカ航空宇宙局)が主導していた宇宙開発も、現在ではイーロン・マスク氏のスペースXをはじめ多くの民間企業が参入し、新たなビジネス分野として注目が集まっています。日本でも堀江貴文氏がインターステラテクノロジズを創業するなど、成長市場と期待されている宇宙ビジネス。一方で、「宇宙ゴミ」の問題が深刻化しているようです。
日本での宇宙開発は、JAXA(宇宙航空研究開発機構)という国立研究開発法人が人工衛星の開発やロケットの打ち上げを行っており、三菱重工やNECなどの大手企業が開発に協力してきました。近年では、宇宙ビジネスにも新興企業が参入しています。
東京理科大発ベンチャーのSPACE WALKERは、小型の宇宙船で地球と宇宙を往復する、日本版のスペースシャトルを計画しています。また、人工衛星に搭載したカメラの映像を楽しめるアプリケーション開発や、宇宙ステーションで使用する掃除機の開発まで、新しい発想の宇宙ビジネスも続々と登場しているのです。
一方で、宇宙ビジネスにもルール作りの必要性が生じています。2002年にアメリカの民間企業が打ち上げた人工衛星は、ミッション終了時に地球軌道のはるか上空に移動させる計画でしたが、燃料不足により十分な高度に到達させられなかったのです。アメリカ連邦通信委員会(FCC)はこの企業が適切な廃棄処理を行わなかったことに対し、民間企業では初となる15万ドル(約2,250万円)の制裁金を科しました。
このような宇宙空間における障害物は、スペースデブリ(宇宙ゴミ)と呼ばれます。現在地球の軌道上には、大きさが10cmを超えるスペースデブリが2万個以上もあり、それよりも微細なデブリは数千万個に及ぶといわれています。超高速で移動するロケットや人工衛星にとっては、衝突すると機体の表面に穴を開けてしまう危険な存在です。
しかも、スペースデブリは発生原因の特定がほぼ不可能です。そのため、人工衛星などに接触して損傷を与えた場合、その責任をどこの国・どの企業が負うべきかについてまだ議論されている最中です。宇宙ビジネスが拡大するなか、宇宙空間でのルールづくりが喫緊の課題だといえるでしょう。
宇宙空間の利用に関しては、日本を含む102ヶ国が加盟する、国連の宇宙空間平和利用委員会(COPUOS)があります。その中の法律小委員会では、宇宙条約・宇宙物体登録条約・宇宙損害責任条約などが制定され、宇宙利用に関わる法的な問題について対応を検討しています。
日本でも独自の法律として宇宙基本法を中心に、宇宙活動法・衛星リモセン法・宇宙資源法などが制定されています。
宇宙ゴミについては、COPUOSでスペースデブリ低減ガイドラインが採択されており、JAXAはスペースデブリの観測を行うほか、その回収や除去を行うプロジェクトを計画中です。このプロジェクトにも民間企業が協力していて、宇宙ビジネスとしての事業化を目指しています。
どこの国にも属さないからこそ、宇宙空間でのビジネス拡大については、国際的に実効性のあるルールの整備が求められています。今回のスペースデブリ問題に対する制裁金のように、違反した民間企業に対する制裁の件数も増えていくでしょう。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。
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