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冬のボーナス、3年連続で前年比プラスとなる見通し。その背景要因とは?

公開日2023/12/09 更新日2023/12/08


2023年は、「物価が上がっているのに給料は上がらない」という不満の声が上がった年でした。そんな中、民間の調査会社4社が「冬のボーナスの支給額は3年連続で前年増になる」と予測したことに注目が集まっています。 今回は、冬のボーナスが増加の予想と、その要因について解説します。

民間の調査会社が冬のボーナスは前年超を予想

民間企業の冬のボーナスの平均支給額は2.1~2.5%ほど増えると民間の調査会社4社が予測を立てました。インバウンド需要の回復や、円安による製造業の収益アップ、また今年の春闘で基本給を引き上げる動きが広まったことや、人材不足に苦しむ企業が多いことが要因と考えられています。


また、一般財団法人労務行政研究所が10月に発表した「東証プライム上場企業の2023年年末一時金(賞与・ボーナス)の妥結水準調査」によると、全産業ベースの東証プライム上場企業(187社)の冬のボーナスは、単純平均で80万28円、対前年同期比で1.5%増となる見込みです。80万円台は、1970年の調査開始以来初めてのことだといいます。

物価の上昇を勘案すると前年比マイナスとの試算も

金額自体は伸びが期待できる2023年の冬のボーナスですが、配慮する必要があるのは物価の上昇です。もし物価の上昇度合いがボーナスの上昇度合いを上回っていれば、ボーナスの額面額が増えても、実質的には恩恵はないことになります。


みずほリサーチ&テクノロジーズの「2023年冬季ボーナス予測」では、物価上昇を勘案した実質ベースで見た場合、今冬のボーナスは前年比マイナスになる見込みになると指摘されています。計算式は「民間企業一人当たりボーナス支給額対前年比-生鮮食品を除く総合消費者物価前年比」であり、試算によると実質ボーナスは前年比マイナス0.2%です。

円安により製造業は有利

冬のボーナスが上昇した背景には、先述の「社会の賃上げ圧力」「物価上昇分の価格転嫁」に加えて、円安の影響が大きいと考えられます。円安と聞くと、消費者の立場からすると「物価が上がる原因」として捉えられることも多いでしょう。しかし、企業側、とくに製品を作って海外に輸出している国内の製造業にとって、円安はかなり有利な状況なのです。


円安であるということは、海外で製品を販売して獲得した外貨を、より多くの日本円に交換できることを意味します。たとえば、海外での販売価格1万ドルの製品を売り上げた場合、1ドル=100円であれば100万円の売り上げになりますが、1ドル=150円というより円安の状況になれば、150万円の売り上げになります。単純に売上増・収益増が生じるわけです。


製造業は自動車、家電、電子部品といった日本が得意とする分野であり、経済産業省の『2023年版ものづくり白書』によると、2021年度の日本のGDPは547.4兆円で、そのうち製造業は112.5兆円、20.6%を占めています(なお、サービス業は169.4兆円で30.9%、卸売・小売業は74.9兆円で13.7%、不動産業は65.6兆円で12.0%、建設業は30.2兆円で5.5%、その他は94.9兆円で17.3%です)。


実際、円安が進展した2022年度の国内製造業における営業利益の総額は19.0兆円で、この金額は過去10年で最も大きな金額です。製造業が円安の恩恵を受けていることが、国内全体のボーナス平均支給額の押し上げに貢献する、と考えられています

インバウンド需要の増加も後押しに

非製造業も、コロナ禍の鎮静化および円安の後押しを受けてインバウンド需要が回復し、業績が好転している企業が多いようです。観光庁の「訪日外国人消費動向調査」によると、2023年7~9月期の訪日外国人の総旅行消費額(宿泊費、飲食費、交通費、娯楽サービス費、買い物代など)は1兆3,904億円で、コロナ前の2019年と比べても同期比17.7%増となっています。


訪日外国人が日本旅行でお金を使おうとする背景にあるのは円安です。たとえば、アメリカ人が日本で1万円の商品を買う場合、1ドル=100円であれば100ドルを用意する必要がありますが、1ドル150円という円安状況だと、67ドルほどで済みます。円安は外国人にとって、日本旅行をする絶好の機会となるわけです。


宿泊業や観光業など訪日外国人向けのサービスを展開している企業にとっては、円安により顧客が増えれば業績アップにつながります。この点も、今冬のボーナス増をもたらしている一要因と考えられるでしょう。

まとめ

冬のボーナスは3年連続で前年を上回る見通しです。労働者の視点からすると、支給額が増えるのは端的に喜ばしい事態ではありますが、物価上昇分を換算した実質ベースで見ると今冬のボーナス額は前年比マイナスになるとの試算もあります。やはり望ましいのは、実質ベースで確実にプラスとなるようなボーナスアップです。


また、ボーナスを増やせるほど企業の業績が好調であることの背景には、物価高の要因でもある円安が大きく影響しています。日用品は輸入物が多いので、円安はどうしても身近な物の物価高をもたらしますが、一方で輸出やインバウンドに支えられる企業にとっては円安が業績アップをもたらし、結果としてボーナス増につながっている面もあります。



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