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請求書に源泉徴収額を記載する方法|必要性や計算方法・注意点について徹底解説

公開日2023/11/11 更新日2023/12/11


「請求書に源泉徴収を記載する必要はある?」
「源泉徴収額の計算方法が知りたい」


経営者やフリーランスなどの個人事業主の方にとって、請求書を発行する際に源泉徴収額を記載すべきか悩むことがよくあるのではないでしょうか。


源泉徴収額を請求書に記載する義務はありませんが、記載したほうがメリットがあります。ただし、源泉徴収の対象とならない業務があるので、請求書を発行する際には気をつけなければなりません。


本記事では請求書に源泉徴収を記載する必要性や計算方法、対象となる業務とならない業務を具体例をあげて解説します。


職業別の源泉徴収税の扱い方についても説明しているので、ぜひ参考にしてください。

請求書に関わる源泉徴収制度とは?

源泉徴収制度とは、給与や報酬を支払う事業者が受取人の所得税を給与から差し引いて、納税者の代わりに国に納付する制度です。


源泉徴収制度の建前は「申告納税制度」であり、納税者が自主的に所得を申告し、税金を納めることが本来の仕組みです。


一般的に源泉徴収制度が採用される理由は、2つあります。


1つ目は、給与から所得税が差し引かれることで、納税者が自ら申告する負担を軽減するためです。


2つ目は、徴収漏れを防ぐためにも有効であるからです。納税者が自主申告をする場合、意図的もしくは誤って納税しない可能性がありますが、源泉徴収制度では事業者が給与支払い時に税金を差し引くため、脱税を防げます。


源泉徴収制度により、納税者は負担を軽減し、国はより効率的に税収を確保できます。

請求書で源泉徴収の対象となる業務

源泉徴収の対象となる業務はサラリーマンと個人事業主・フリーランスで異なります。


それぞれの場合における源泉徴収の対象となる業務について具体的に把握できますので、ぜひお読みください。

サラリーマンの場合

サラリーマンは給与から所得税分を差し引いて源泉徴収されます。源泉徴収は見込み額で行われるため、年末調整を利用して過不足分を調整できる仕組みがあり、税金が返ってくる場合もあります。


ただし次の場合は、税務署への確定申告が必要です。


●年収が2,000万円を超えている
●本業以外で20万円を超える所得がある
●株式売買で20万円以上の利益がある


上記の場合は、自分で確定申告をしなければなりません。年収2,000万円を超えた時は、給与から自動的に源泉徴収されることがないので、適切に確定申告をしましょう。

個人事業主・フリーランスの場合

個人事業主やフリーランスの場合は、すべての業務が対象になるわけではなく、以下のような業務が源泉徴収の対象となります。


●原稿料や講演料など
●弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人などに支払う報酬・料金
●社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
●プロ野球選手、プロサッカーの選手、プロテニスの選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金
●映画、演劇その他芸能(音楽、舞踊、漫才等)、テレビジョン放送等の出演等の報酬・料金や芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
●ホテル、旅館などで行われる宴会等において、客に対して接待等を行うことを業務に支払う報酬・料金
●プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時に支払う契約金
●広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金


引用:No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは|国税庁


次の場合においても源泉徴収の対象となるので気をつけましょう。


●謝礼、研究費、取材代、車代などの名目であっても、実態が報酬と同じ場合
●金銭以外(物品など)で支払う場合でも、報酬と同等と認められる場合


上記の業務で報酬を得た場合は源泉徴収が適用され、源泉徴収税が差し引かれることになります。自身の得た報酬が、源泉徴収に値するかどうかきちんと把握することが大切です。


請求書で源泉徴収の対象とならない業務

個人事業主やフリーランスの場合、主に以下の4つが源泉徴収の対象外となります。


●管理や事務作業の業務委託
●プログラミングやコーディングなどのIT関連業務
●支払先が法人の場合
●行政書士の一般業務


支払先が法人の場合とは、たとえば税理士の顧問料であっても、税理士法人のように法人の形態で行われる業務のことをいいます。


上記の業務に従事する場合、源泉徴収は適用されず、報酬の支払い時に源泉徴収税額が差し引かれることはありません。


ただし、源泉徴収の対象か否かは具体的な取引内容や法人・個人の取引相手によって異なる場合もあります。源泉徴収するかどうかは常に取引先と確認して、適切な申告と納税を行いましょう。

源泉徴収額を請求書に記載する必要性

個人事業主やフリーランスが請求書に源泉徴収額を記載しなくても、取引先は源泉徴収の義務を負っています。よって、報酬の振込額は取引先が源泉徴収をした後の金額になります。


個人事業主やフリーランスが請求書に源泉徴収額を記載する必要がある理由は、以下の3つです。


●源泉徴収額を計算する手間を省ける
●所得税の支払い忘れのトラブルを避ける
●源泉徴収額を自分で把握できる


個人事業主やフリーランスで請求書について詳しく知らない方は、ぜひお読みください。

源泉徴収額を計算する手間を省ける

個人事業主やフリーランスが源泉徴収額を請求書に記載することで、徴収者(取引先)は個々の報酬に対して源泉徴収を計算する手間を省けます。徴収者は記載された額を納税すればよく、複雑な計算をする必要がありません。


一方、納税者の手続きも簡易化されます。請求書に源泉徴収額が記載されていれば、受け取った報酬に対してすでに源泉徴収が行われていることが明確です。納税者は自らの所得税の計算や納税手続きを容易にできるため、個人の納税の手間が削減されます。


源泉徴収額を請求書に記載することは、徴収者と納税者の双方にとって効率的です。

所得税の支払い忘れのトラブルを避ける

所得税の未払いによって課税額が増えないようにするためにも、個人事業主やフリーランスは源泉徴収額を請求書に記載する必要があります。


所得税の納付期限に間に合わなかった場合「納付加算税」として所得税額の10%相当が徴収される可能性があります。源泉徴収額を記載し、取引先に源泉徴収してもらうことで、納税義務を果たし、未納によるペナルティの回避が可能です。


納税トラブルを防ぎ、税務面での信頼性を高めましょう。

源泉徴収額を自分で把握できる

個人事業主やフリーランスが請求書に源泉徴収額を記載する理由は、自分で源泉徴収額を把握でき、スムーズに納税を行えるようにするためです。


確定申告前に取引先から送られてくる「支払調書」は義務ではなく、必ず送られてくる保証もありません。支払調書とは、源泉徴収の内容をまとめた書類のことです。


請求書に源泉徴収額を記載することで、自分自身が報酬の源泉徴収額を正確に把握できるメリットがあります。正確な金額を把握できれば、納税手続きや税金管理をスムーズに行い、税務上のトラブルを未然に防げます。

源泉徴収額の計算方法

源泉所得税の算出方法は、100万円を境目とした報酬額によって変わります。


●報酬が100万円以下の場合
●報酬が100万円を超える場合


計算が苦手な方でも源泉徴収額の算出の仕方がわかるよう計算例も記載していますので、ぜひ参考にしてみてください。

報酬が100万円以下の場合

報酬額が100万円以下の場合、源泉徴収額は以下の式で計算できます。


源泉徴収額=支払金額×10.21%


10.21%の数値には、所得税が10%、復興特別所得税が0.21%が含まれています。


計算例として、報酬が50万円の場合、次のように算出が可能です。


500,000円×10.21%=51,050円


上記の計算により、源泉徴収額は51,050円となります。

報酬が100万円を超える場合

報酬額が100万円を超える場合、所得の内容によって異なりますが、基本的に源泉徴収額は以下の式で計算されます。


源泉徴収額=(支払金額‐100万円)×20.42%+102,100円


20.42%には、所得税が20%、復興特別所得税が0.42%が含まれています。


例として、報酬が150万円だとすると計算式は次のとおりです。


(1,500,000円-1,000,000円)×20.42%+102,100円=204,200円


源泉徴収額は、204,200円となります。


参照:No.2795 原稿料や講演料等を支払ったとき|国税庁


復興特別所得税は、平成25年から令和19年度までの間に設定された税金であり、その期間の報酬に対して適用されます。令和20年度以降は復興特別所得税は適用されないため、注意してください。

源泉徴収ありの請求書の書き方

請求書の書き方には厳格な決まりはありませんが、下表の項目を記入することが一般的です。


項目

内容

日付

請求書の作成日付

請求書作成者の氏名や名称

請求書を発行する個人の氏名または企業名

取引先の氏名や名称

請求書を送付する相手の氏名または企業名

取引内容

提供した商品やサービスの具体的な内容

取引金額

商品やサービスごとの金額

支払期日

支払い期限(取引相手がいつまでに支払わなければならないか)

振込先

支払いをするための銀行口座情報や振込先の詳細


また、取引金額の小計から源泉徴収を計算し、その額を記載する必要があります。


一般的な記載順序は次のとおりです。


①小計:商品やサービスごとの金額の合計を算出
②消費税:取引金額に対して課税される消費税を計算
③源泉徴収税:通常、消費税を含めずに小計から源泉徴収税を計算し、その額を明示
④合計:小計に消費税を加えて源泉徴収税を引いた最終的な支払金額を計算し、合計金額を記載


項目を整理して記載することで、請求書の内容がわかりやすくなり、取引先が正確に支払い手続きを行えるようになります。

源泉徴収額を請求書に記載する際の3つの注意点

源泉徴収額を請求書に記載する際に注意したいことは、次の3つです。


①消費税は内税か外税か確認しておく
②源泉徴収を請求書に記載すべきか取り決めをしておく
③支払調書は必要ではないことを知っておく


これらの点に留意することで、請求書の作成をスムーズに行えるようになるため、ぜひ参考にしてみてください。

1.消費税は内税か外税か確認しておく

源泉徴収額や手取りの報酬額が異なるため、消費税については内税か外税か事前に確認しておくことが重要です。


源泉徴収額の計算において、消費税を含んだ額に乗じる方法と、消費税を抜いた額に乗じる方法の2つのパターンがあります。消費税を抜いた額から計算すれば源泉徴収額を減らせ、手取りが増える利点があります。


したがって、外税(消費税額と報酬額を区分)の請求書を作成することが望ましいです。ただし、取引先によっては消費税の考え方が異なる場合もあるので、事前に確認しておくとよいでしょう。

2.源泉徴収を請求書に記載すべきか取り決めをしておく

取引先への請求をスムーズに行えるよう、源泉徴収を自分で請求書に記載するべきか取り決めておきましょう。


取引先によっては、源泉徴収額を自身で計算したい場合もあるため、請求書に源泉徴収額を含めないよう求められることもあります。


契約を交わす際に源泉徴収に関する取り決めを記載しておくことで、請求書の再提出の手間や、納税トラブルを未然に防げます。取引が円滑に進むようにするために、源泉徴収の記載について事前に取り決めるようにしましょう。

3.支払調書は必須ではないことを知っておく

支払調書は必ずしも取引先から送られてくるわけではないので、請求書に源泉徴収額を記載して把握しましょう。


支払調書は年間の報酬と源泉徴収額をまとめたもので、取引先が税務署に申告する際に使用されます。支払調書を見れば源泉徴収額がわかると思われがちですが、取引先には支払調書を発行する義務はないため、請求しても断られる可能性があります。


大切なのは請求書で源泉徴収額を正確に計算し、証拠を手元に残すことです。確実に税務申告が行え、トラブルを避けられます。

【職業別】請求書の源泉徴収税の扱い方

源泉徴収税は職業によって扱い方が変わります。どのように扱われるか、次の3つの職業別に紹介します。


●ライター
●デザイナー
●エンジニア


対象となる職業の方は、ぜひ参考にしてください。

ライター

ライターの場合、原稿料が源泉徴収の対象となります。


請求書を作成する際は、源泉徴収額を正確に算出することが重要です。また、契約を交わす前に源泉徴収額について確認を取ることも大切です。


事前に正確な源泉徴収額を把握することで、支払いや確定申告に関するトラブルを未然に防げます。


きちんと確定申告をすることで、前払いした税金が戻ってくるケースもあるので、自分の報酬額と源泉徴収額を確認して、必要な手続きをしましょう。

デザイナー

デザイン業務は源泉徴収が必要ですが、注意したいのは、プログラミング業務は対象外であることです。


たとえば、ある企業からウェブデザインとウェブアプリケーションの開発を依頼された場合です。


ロゴデザインやレイアウトの設計などのデザイン業務が含まれる一方、デザインで設計されたウェブページを実際にコード化するプログラミング業務が発生します。請求書を記載する際には、デザイン業務の料金とプログラミング業務の料金を分けて明示する必要があります。


クライアントに対してわかりやすく、各業務の料金が明確な請求書を提出することで、税金の取り扱いにも適切に対応できるでしょう。

エンジニア

エンジニアの一般的な仕事であるプログラミングやコーディング、Webサイトの開発は源泉徴収の対象外です。


ただし、自分の仕事に関する原稿を書いたり、講演をしたりする場合は源泉徴収の対象となるので注意が必要です。


取引先が誤って源泉徴収額を差し引いていることもあるので、振込金額が満額であるかをきちんと確認しましょう。給与や請求金額に関するトラブルを防げます。


源泉徴収に関する知識を持ち、適切な取引をすることが大切です。

インボイス制度開始後の源泉徴収の取り扱いについて

インボイス制度(適格請求書保存方式)の開始後も、源泉徴収の取り扱いはこれまでと変わらず、従来どおりの方法で行われます。


令和5年10月1日に開始されるインボイス制度は、消費税の仕入れ税額控除を受けるための新たな仕組みです。


インボイス制度により、事業者は取引先から受け取ったインボイス(請求書)に記載された消費税額を、自社の仕入れ税額控除として利用できるようになります。


仕入れ税額控除を受けるためには、インボイスに記載されている登録番号を、請求書に適切に記載する必要があります。


よって、これからは事業者からインボイスの登録番号を要求されることが増えるでしょう。

請求書・源泉徴収についてよくある質問

請求書・源泉徴収についてよくある質問について回答します。


●見積書に源泉徴収額を記載する必要はありますか?
●源泉徴収税の納付はどのような方法がありますか?


上記のことを疑問に思っている方は、ぜひ以下の内容をご確認ください。

見積書に源泉徴収額を記載する必要はありますか?

見積書を作成する段階では、源泉徴収の金額を記載する必要はありません。


見積書では商品やサービスの内容や価格を示すだけで、最終的な金額が確定していないからです。


最終的な金額が決定し、取引が成立した後に請求書で源泉徴収額を記載しましょう。

源泉徴収税の納付はどのような方法がありますか?

源泉徴収税の納付方法は次の5つです。


●現金
●クレジットカード
●e-tax
●ネットバンキング
●スマホアプリ


スマホアプリを利用して「国税スマートフォン決済専用サイト」から支払えば、PayPayのような電子マネーでの支払いが可能なため便利です。手軽に支払いを済ませられて、納税手続きがスムーズになります。

まとめ:源泉徴収制度を理解し、正しく請求書を発行しよう

源泉徴収は、対象となる業務とならない業務があるため、しっかりと確認してから請求書を記載しましょう。


ただし、取引先によっては請求書に源泉徴収額を記載してほしくない場合があるので、取引の契約をする際に取扱い方を決めておくことをおすすめします。


源泉徴収額の計算は手間がかかり、業務量が増える懸念がある場合は、見積・請求書発行システムを利用することで、業務の効率化を図りましょう。


見積・請求書発行システムを導入すると自動的に源泉徴収額を計算し、請求書に適切な金額が記載されます。手作業での計算や記載作業の手間を省けるだけでなく、正確性も向上します。


見積・請求書発行システムの導入を検討している場合は、下記リンクから無料で資料請求ができるので、ぜひご活用ください。


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