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目次【本記事の内容】
去る2023年12月6日、企業会計基準委員会は第139回リース会計専門委員会を開催した。 第138回(2023年12月20日号(No.1697)情報ダイジェスト参照)に引き続き、企業会計基準公開草案73号「リースに関する会計基準(案)」等に寄せられたコメントへの対応の方向性と個別事項について、審議が行われた。
公開草案ではサブリース取引の例外的な取扱いが提案されているが、適用対象は、中間的な貸手が一切のリスクを負わず、かつ、限定的な権利のみを有する取引に限定されている。すなわち、適用指針案88項で、⒜サブリースの借手からリース料の支払を受けない限り、ヘッドリースの貸手に対してリース料を支払う義務を負わない、⒝ヘッドリースの支払額は、サブリースで受け取る金額にあらかじめ定められた料率を乗じた金額である、⒞サブリースの契約条件や借手が存在しない期間における原資産の使用方法を決定する権利を有さない、という3つの要件が定められている。 これに対して、次のコメントが寄せられた。
① 中間的な貸手がヘッドリースに対してリスクを負わないサブリース取引(以下、「本取引」という)について、前記⒞の要件を満たすことを要しないことを定めるべき(他に、⒞の要件自体を削除するコメントも寄せられている)。
② 本取引の識別要件について明確化を図り、原則的な会計処理についてもガイダンスを定めるべき。
③ 本取引の例外処理に係る要件について、企業会計基準適用指針30号「収益認識に関する会計基準の適用指針」の本人・代理人と同様の要件を判断の指標として定めるべき。
事務局はこれらのコメントに対して、分析の結果、公開草案を変更しない考えを示した。
専門委員からは、「88項は不動産のパススルー型のリースを想定して作られていると思うが、要件に合致する場合は設備機器も対象になるのか」といった意見が聞かれた。
事務局は、「要件に完全に合致するのであれば88項の適用が妨げられるものではない」と回答した。
去る2023年12月12日、企業会計基準委員会は第208回金融商品専門委員会を開催した。 金融資産の減損に関する会計基準の開発に関して、ステップ4(信用リスクに関するデータの詳細な整備がなされていない金融機関に適用される会計基準の開発)について、第207回専門委員会(2023年12月10日号(No.1696)情報ダイジェスト参照)で、ステップ4を採用することが見込まれる金融機関へ意見聴取するとされたことを受け、全国地方銀行協会、第二地方銀行協会から、次の論点への意見が示された。
① 債権単位での信用リスクの著しい増大(SICR)の判定
② 複数シナリオの考慮を含めた結果の確率加重
③ 実効金利法に関連する論点(金融商品の測定に関する論点を含む)
(1)全国地方銀行協会
地方銀行のこれまでの償却・引当に係る創意工夫や信用リスク管理高度化の取組みを踏まえ、費用対効果を検証のうえ、実務負担に配慮した検討を要望する旨が示された。
そのうえで、①では現行の実務の債務者単位かつ期末時点での信用状況の判定を可能とすること、②では銀行が現在行っているリスク管理の取組みを踏まえること、③では貸借対照表価額=貸出金残高とし、償却原価法の適用や手数料の繰延べは、簡便な方法を採用(または現行実務を継続)すること、そのほか、債券への引当への配慮をすることの要望が示された。
(2)第二地方銀行協会
地域金融機関のリスクテイク力や発生コスト等の観点から、可能な限り現行実務を許容することの要望が示された。
専門委員からは「地銀、第二地銀に導入するには一定の配慮が必要だと伝わった」との意見が聞かれた。
去る2023年12月11日、SSBJは第27回サステナビリティ基準委員会を開催した。 第26回(2023年12月20日号(No.1697)情報ダイジェスト参照)に引き続き、IFRS S1号、S2号に相当する日本基準の開発の審議が行われた。 審議された具体的な検討事項は主に次のとおり。
日本版S1基準においてIFRS S1号の定めを日本基準特有の要件を追加したうえで取り入れる。
また、日本版S1基準において、IFRS S1号55項⒜のように何らかのガイダンスを「参照し、その適用可能性を考慮しなければならない」とする定めを取り入れるべきかどうかが論点になるとして、次の3つの案を示し、案Bを事務局案とした。
(案A)IFRS S1号55項⒜(以下、「55項⒜」という) のように何らかのガイダンスを「参照し、その適用可能性を考慮しなければならない」とする定めを取り入れることはしない。
(案B)55項⒜のように何らかのガイダンスを「参照し、その適用可能性を考慮しなければならない」とする定めを取り入れるものの、特定の時点(たとえば、ASBJが日本版S1基準の公開草案を公表する日とすることが考えられる)で公表されている「SASBスタンダード」を「参照し、その適用可能性を考慮しなければならない」ガイダンスとする。
(案C)55項⒜の定めをそのままの形で取り入れ、「SASBスタンダード」を「参照し、その適用可能性を考慮しなければならない」ガイダンスとする。
委員からは、国際的な整合性や、改正の可能性があるSASBスタンダードを特定の時点のものとして限定していることから、案Bを支持する声が多かったものの、案A・案Cについてもそれぞれ賛意が聞かれたため、事務局は「意見が割れているので悩ましいが、いずれかに決めて公開草案を出していきたい」と回答した。
日本版S2基準においてIFRS S2号の定める4項目を取り入れるとともに、結論の背景において、具体的にどのような指標等が開示されるのかは、企業によって異なることになると考えられる旨を説明する。 さらに、前記4項目の指標等の例を示して、補足文書を開発する。
また、気候関連のリスクおよび機会ならびに投下資本に関する産業横断的指標等の開示については、IFRS S2号ではそれを要求する根拠が明示されておらず、TCFD提言を引き継ぐこと自体が目的であるようにも見受けられ、わが国の関係者の間でも賛否両論が聞かれている。そこで、事務局は次の2案を検討したが、わが国ではTCFDに賛同する企業が多く、TCFD提言に基づく開示を行う企業が増えていることや、国際的な整合性の観点から、案Bを事務局案とすることとした。
(案A)TCFD提言を引き継ぐ以外の理由がないことから、これらの定めを日本版S2基準に取り入れない。
(案B)IFRS S2号と同様にこれらの定めを取り入れる。
委員からは、案Bに対する賛意が聞かれたものの、どちらか判断しかねている委員も多くみられたため、事務局は「次回に持ち越す」と回答した。
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