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去る2月27日、企業会計基準委員会は第144回リース会計専門委員会を開催した。
前回(2024年3月10日号(No.1704)情報ダイジェスト参照)に引き続き、企業会計基準公開草案73号「リースに関する会計基準(案)」等に寄せられたコメントへの対応の方向性と個別事項について、審議が行われた。
第138回(2023年12月20日号(No.1697)情報ダイジェスト参照)にて、短期かつ少額のリースに係る費用については短期リースに該当するため、注記の対象とする公開草案を変更しないこととする事務局案を提案していたが、これに対して、「少額リースが注記の対象外なのは金額的なインパクトがないから。短期かつ少額になると注記の対象になるという解釈には賛成できない」と反対意見が聞かれていたため、追加的に審議する運びとなっていた。
今回、事務局が財務諸表利用者のニーズを把握するため、アウトリーチを行った結果、次の意見が聞かれた。
⑴ 短期リースおよび少額リースの両方を注記することが出発点である。
⑵ ⑴を踏まえたうえで、仮に少額リースの注記を求めないとしても、短期かつ少額のリースについては開示すべきである。
⑶ 短期リースと少額リースは性質が異なるが、短期リースの注記に少額リースを合算して開示するほうが、少額リースを注記しないことよりもまだ望ましい。
⑵の短期リースの注記に含まれる少額リースの取扱いについて事務局は「短期リースの金額を注記する趣旨は、金額的に重要性のあるリース負債がオンバランスとなる可能性があるからである。当該趣旨を踏まえると、金額的に重要性がない少額リースの金額を含めて開示する意義は乏しい」とし、次のように公開草案から変更する事務局案を示した。
① 原則:(少額リースを含む)短期リースを注記する。
② 例外:短期リースの注記に少額リースを含めないことができる。
また、⑶の短期リースに少額リースを合算する場合の取扱いについては、「⑵の取扱いについて例外を設けることで、少額リースの金額基準を軸に短期リースと少額リースを区分して管理することが可能であると考えられるため、⑶の取扱いは認めない」とする事務局案を示した。
専門委員からはおおむね賛意が聞かれたが、「原則と例外を逆にすべき」との意見も聞かれた。
事務局は「親委員会でも検討する」と回答した。
企業会計基準適用指針16号50項後段の定め(リース会社に資産を譲渡してリースバックを行い、同一条件でユーザーに転リースする取引で一定の要件を満たす場合に企業がリース会社に売却した時点で損益を計上することを認めるもの)が本適用指針案に踏襲されていないため、同様の会計処理が認められるのか否か明らかにすべきとのコメントが寄せられていた。
事務局は「本適用指針案BC113項に記載のとおり、転リース取引は機器等のリースにおいて仲介的な役割を果たす取引であり、企業会計基準適用指針16号50項後段で想定されている取引も同様であると考えられ、同項後段の取扱いを引き継ぐことも考えられる」とし、引き継ぐ場合の収益の認識の要件を次のとおりに整理する事務局案が提示された。
セール・アンド・リースバック取引によりリースバックした資産について転リース取引を行う場合、中間的な貸手は、リースバック取引を考慮せず、収益認識会計基準などの他の会計基準等に照らして資産の譲渡に係る損益を認識することができる。
専門委員からはおおむね賛意が聞かれた。
去る2月29日、企業会計基準委員会は、第213回金融商品専門委員会を開催した。
第211回専門委員会(2024年2月20日号(No.1702)情報ダイジェスト参照)に引き続き、上場企業等が保有するベンチャーキャピタル(VC)ファンドの出資持分の会計処理について審議が行われた。
前回専門委員会で示された、本プロジェクトの対象である組合等の範囲に関する事務局案に、「CVC等を対象外であることを明確にしてほしい」、「財務諸表の信頼性の観点から、内部管理目的や参考値としての時価評価を含めるべきではない」、「スタートアップの定義があいまい」などさまざまな意見が聞かれた。これを踏まえ、事務局から、次の再提案が示された(太字・見え消し線は前回提案との変更点)。
本プロジェクトの対象は次の要件を満たす組合等とする。
⑴ 多数の出資者に対して募集または私募が行われた組合等である。
⑵ 組合等の運営者は出資された財産の運用を業としている者である。(前回提案と変更なし)
⑶ 組合等の構成資産である市場価格のない株式について、組合等の決算書において時価で評価されている。
⑷ 組合契約等において、投資対象を専らスタートアップ企業市場価格のない株式としている。(以下、削除)
専門委員から、方向性には賛同する意見が多く聞かれた。また、「⑴の『多数』は、人によって数字が異なる。もっと明確になる言葉はないか」との意見が聞かれた。
組合等の会計処理について、時価評価を強制するか、オプションを認めるかのアプローチを検討することとされており、事務局から次の3つの案をもとにして分析が示された。
(案1) 公正価値オプションと同様の枠組みを設ける。国際的な会計基準との整合性を高めるため、時価評価(評価差額は純損益)する選択肢を設ける。
(案2) 組合等の構成資産である市場価格のない株式を時価評価(評価差額は純損益)する。なお、時価評価の対象とする組合等をオプションとして選択とする。
(案3) 組合等の構成資産である市場価格のない株式を時価評価(評価差
額はその他の包括利益)する。なお、時価評価を強制する。
事務局から、国際的な会計基準との間の整合性をとる一方で、時価の差額を純損益とすることを強制することが難しいといった理由から、案2が提案された。
専門委員からは、「市場価格のない株式の時価評価の信頼性への懸念から、純損益に計上するのが妥当か疑問。案3の処理でオプションとすることがいいのでは」との意見が複数聞かれた。
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