公開日 /-create_datetime-/
2025年12月27日(土)~2026年1月4日(日)は年末年始休業のため、お問合せなどのご連絡は1月5日(月)以降になります。ご了承くださいませ。

東京証券取引所は、プライム市場上場企業の決算情報および適時開示情報の日英同時開示義務化を発表しました。日英同時開示義務化の実施時期は、現在のところ2025年4月をめどに検討しているとのことです。開示の制度見直し実施の狙いや背景、それにともなうメリットや注意点などについて解説していきます。
今回、決算情報および適時開示情報の日英同時開示義務化の対象となるのは、プライム市場上場企業です。プライム市場は、2022年4月に東証の再編によって運用が開始されたばかりで、これまでの東証一部に該当する市場です。
プライム市場上場企業の決算情報等の日英同時開示という制度見直しにより、企業価値向上の促進に加え、これまで情報開示のタイミングが異なっていたことにともなう投資機会の制約の改善にもつながります。また、現在よりも多くの海外投資家を呼び込むことへつなげる狙いもあり、上場維持のために継続した企業努力を促進できる側面も期待できます。
なお、現在のところ開示が義務付けられるのは決算情報と適時開示情報です。有価証券報告書やコーポレート・ガバナンス報告書、IR 説明会資料、株主総会招集通知など、その他の対象書類の義務付けについては継続検討とされています。
現在プライム市場では、適時開示資料、株主総会招集通知、コーポレート・ガバナンス報告書、決算短信、有価証券報告書、IR 説明会資料などいずれかの資料を英文開示している企業は98%を超えており、英文開示の取り組みとしての進展は比較的評価されています。一方で、東証が行った「英文開示に関する海外投資家アンケート」によると、英文開示の内容については72%の海外投資家が不満を示しているとされています。
とくに、日本語と比較して英文の情報量が少ないことや、日本語開示と英文開示のタイムラグに対する不満、さらには中小型株についてはそもそも英文開示の不足が以前から指摘されていました。海外へ目を向けると、台湾など非英語圏における英文開示の義務化も拡大傾向にあることを踏まえ、日本でも日英同時開示の義務化が検討されるに至りました。
では、決算情報、適時開示情報を日英同時開示することにより、どのような変化が起こると予想されるでしょうか。
日英同時開示によって、企業としては市場のグローバル化が期待できるほか、上述のように海外投資家としても投資機会が増加するメリットが期待できます。また英文化については日本語による開示内容の一部や概要でも可能で、あくまでも英文は日本語開示の参考訳程度との認識が示されています。そのため、英文化する負担やコストも想定以上に軽く済む可能性がある点も、利点の1つとして挙げられるでしょう。
日英同時開示の義務化により、文書作成にこれまで以上の労力がかかることを留意しておきましょう。 また、海外投資家が興味を見出せなければ、英語文書作成分の労力のに見合った効果を得られない可能性も考えられます。
さらに、現時点で義務付けられるのは決算情報と適時開示情報のみですが、今後はその他の書類についても日英同時開示が義務付けられることも予想されます。労力やコスト面といった各種負担もその分だけ増加してしまう懸念も生じます。
英語文書作成による効果が得られるとは限らないとなると、そこにかける労力は極力小さくしたいと考えるでしょう。
東証では英文開示のポータルサイト「JPX EnglishDisclosure GATE」の開設をはじめ、翻訳支援サポートなど充実度の高いサービスを展開しています。
それらのサービスを上手に利用することにより、英語文書作成に費やす労力を極力抑えてコンテンツの作成も可能となります。
日英同時開示義務化は、海外投資家の生の声や海外の実績などを踏まえ、市場のグローバル化が必要との判断から行われるものです。 しかしプライム市場に限った場合であっても、日英同時開示のための体制づくりに時間がかかってしまうことも想定されます。その対応として、条件を満たした上場企業には1年間の猶予期間が設けられ、ポータルサイトの開設、さらには英文開示セミナーの開催なども検討されています。
現段階ではプライム市場のみの制度見直しですが、これによって今後どのような影響が起きるのか、またいずれはスタンダードやグロースまで含めた全上場企業が対象となることもあり得るのか、動向に注目していきたいところです。
参考
英文開示に関する海外投資家アンケート調査結果
英文開示 | 日本取引所グループ
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。
事業用不動産のコスト削減ガイド
生成AI時代の新しい職場環境づくり
雇用契約書の記載事項を知りたい方必見!必須事項や注意点を解説
【新卒エンジニア採用】内定承諾の決め手・辞退の本音
債権管理・入金消込効率化『V-ONEクラウド』導入事例 ~午前中いっぱい掛かっていた消込作業がわずか数分で完了! アデコ株式会社~
ダイハラ(ダイアレクト・ハラスメント)とは?方言・訛りへの偏見を防ぐための職場対応を解説
経理から経営企画に転職するには?30代・40代が分析力を武器にするキャリア戦略(前編)
特定保健指導とは?企業の義務や流れ、実施率向上のアイデアを解説
法的証拠と文書管理:タイムスタンプ・監査ログ活用
割印の位置を間違えると契約は無効?実務で迷わない押印ルール
債権管理・入金消込効率化『Victory-ONE/G4』導入事例 ~30時間かかっていた入金消込がほんの数十秒に! 伊藤忠エネクス株式会社~
これなら先方も納得!取引先と請求書電子化をスムーズに進める3つのコツとは?
業務委託契約(Service Agreement)の英文契約書を作成する際の注意点を弁護士が解説
新卒エンジニア採用に20年投資し続けてわかったこと~代表取締役が語る新卒採用の重要性~
契約不適合責任とは?売買契約書で 注意すべきポイントについて
いまさら聞けない!ストレスチェック制度②~5人の登場人物のおさらい~
管理部門の転職はなぜ難しい?成功のカギと未経験からの突破法を徹底解説
副業・学びで自分を超える ロート製薬「ビヨンド勤務」を導入、週3・4日勤務を選択可能
英文契約書における約因(consideration)とは?約因の役割や具体例について、契約法務に詳しい法律事務所が解説
評価の「納得感」を軸に見る人事評価をめぐる上司と部下の認識差
公開日 /-create_datetime-/