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自己都合退職と会社都合退職、それぞれ何が違う?採用担当者の意見は?

公開日2019/02/08 更新日2019/02/08 ブックマーク数0
自己都合退職と会社都合退職、それぞれ何が違う?採用担当者の意見は

退職といえば、人生を大きく左右しかねない、社会人にとっての一大局面です。ただ、退職には大きく分けて「自己都合」と「会社都合」の2種類あることはご存知でしょうか。しかも、退職した後の取り扱いも、両者で異なります。どのような違いがあるのかを、この記事で具体的に解説いたします。

自己都合退職とは?

自己都合とは、従業員側の仕事上、あるいは私生活上の事情の変化が原因で、退職をすることをいいます。たとえば、次のような原因の退職が自己都合退職となりえます。

  • 転職・起業をするため (キャリアアップや職業変更などの積極的な理由、あるいは会社の業績悪化の予感がしたり、人間関係に悩んだりするなどの消極的理由)
  • 資格試験に向けての勉強に集中するため
  • 大学・大学院への進学、あるいは海外留学のため
  • 結婚して専業主婦・主夫になるため
  • 引っ越しのため(実家に戻る、田舎暮らし希望、上京希望など)
  • 妊娠・出産・育児・介護のため
  • 懲戒解雇を受けた

最後にある「懲戒解雇」ですが、懲戒解雇を決めるのは、職場の最低限の秩序を維持したい会社側の都合ですが、その原因は、法令や就業規則などの基本的なルールを守らない従業員が招いているのです。よって、懲戒解雇された従業員の自己都合退職となります。

自己都合退職ですと、(懲戒解雇処分の場合を除き)その従業員の意思を客観的に示す資料として、退職届(退職願)の提出が求められることが一般的です。退職希望者は雇用保険(失業保険)における特定受給資格者にはあたりません。

特定受給資格者は、再就職などのあてもなく職を失っているために、優先的に雇用保険を適用して保護すべき方を指します。

その点、自己都合退職をする従業員については、自身の判断や事情によって退職を決めているため、雇用保険を適用する緊急性が低いといえるのです。

(ただし、「特定理由離職者」に該当すれば、雇用保険が優先的に適用される余地があります。詳しくは後述します)

自己都合退職をした従業員に対しては、勤務終了日までの給与、および退職金が支払われます。

会社都合退職とは?

会社都合退職は、会社側の都合や判断によって、従業員に対して一方的に退職を言い渡し、労働契約を将来に向けて解除する意思表示を指します。

会社都合退職が行われていることは、慢性的な経営不振に陥っていたり、職場環境が悪化したりしている、その会社の危機的状況の表面化現象ともいえます。そのため、会社の社会的信頼やブランディング価値にも傷が付くおそれがあります。また、官公庁や自治体からの補助金・助成金がストップする可能性も否定できないのです。

次のような場合には、会社都合退職となりえます。

  • 会社の倒産(破産・銀行取引停止処分・民事再生・会社更生など)
  • 特定の事業所・支店の廃止、撤退
  • 会社の業績悪化によるリストラ(人員削減のための退職勧奨)
  • 会社の業績悪化による早期退職制度の募集に、従業員が応募
  • 会社全体の3分の1以上の人員の一斉退職
  • 特定の事業所あたり、30人以上の一斉退職
  • 慢性的に長時間の残業が続いている(目安として、月45時間以上の残業や休日出勤が3カ月以上連続している)。
  • 会社の事情による休職命令を受けて、3カ月以上経っても命令が解除されない
  • 事業所が移転したことにより、自宅からの通勤が困難になった(目安として、一般的な交通手段や経路で、通勤時間が往復4時間以上かかると「通勤困難」とされます)
  • 会社に、給与支払いの遅延や未払いがある
  • 会社から給与の大幅減額(目安として15%以上の減額)の提示があった
  • 会社から事前に説明を受けた待遇や業務内容と、実際の待遇や業務内容が異なっていることが判明した
  • 上司などから、パワハラ、セクハラを受けた。同僚からのいじめを受けた。
  • 配置転換によって、入社当時の希望と異なる部署に就くことになった
  • 会社が法令違反を犯したことが発覚した

このほか、自己都合退職として退職届・退職願を書かされたとしても、会社都合であることを客観的な証拠によって立証することができれば、裁判によって会社都合退職として認められる可能性があります。

会社が今後も継続するかどうか危機的な状況にあることも「会社都合」ですし、会社が従業員に一方的な不利益を強いている状況を改善しようとしないことも「会社都合」となります。

パワハラやセクハラを行っている上司が経営陣(会社側の人)ではなくても、経営陣が上司のパワハラやセクハラを知っていて止めさせる措置を講じないのは、会社に課される「職場環境配慮義務」を果たしていないことから「会社都合」とされるのです。

会社からの退職勧奨を受け入れることは原則として「会社都合退職」となります。一方で、会社からの退職勧奨を知って、自ら退職を願い出ることは「自己都合退職」となりますのでご注意ください(あるいは、双方の合意に基づく雇用契約の解除)。

会社都合退職である場合、従業員から退職届や退職願の提出はありません。

会社都合退職の場合、辞めさせられる従業員の側にとっては、突然の出来事であり、心の準備も再就職先の手配もできずに、無職として社会へ放り出されることにもなりかねません。そこで最低限の手当として、法は会社に「30日以上前もっての解雇予告義務」を課しています。

もし、どうしても30日未満で退職させたい場合には、30日分の給与額に相当する「解雇予告手当」を従業員に支払うことによって、30日以上前の予告に代えなければなりません。

たとえば、会社都合退職の通告から5日後に退職させるのなら、給与額25日分の解雇予告手当を支払う必要があるのです。

失業給付金に関して

失業給付金は、退職者がハローワークに離職票を提出することによって支払われる失業者の生活や再起を支援するための公的保険金です。過去6カ月間の平均月給の半額から8割ほどを目安として、1日あたり6000~8000円を上限に支払われるのです。

すでに触れましたが、会社都合退職であれば、失業保険の給付金が緊急に支払われますが、自己都合退職であれば、給付金の支給が遅れる点に違いがあります。

会社都合退職では、最短で退職から7日後から支給が始まりますが、自己都合退職では退職から3カ月以上経ってようやく支給され始めます。また、自己都合退職では退職から6カ月後まで、会社都合退職では約1年後まで支給される点でも異なります。

なお、自己都合退職であっても、「特定理由離職者」に該当する場合は、会社都合退職と同等の条件で例外的に保護されます。

次の条件に該当する自己都合退職者ならば「特定理由離職者」とされる可能性があります。

  • 体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者
  • 妊娠、出産、育児等により離職し、受給期間延長措置を受けた者
  • 父若しくは母の死亡、疾病、負傷等のため、父若しくは母を扶養するために離職を余儀なくされた場合又は常時本人の看護を必要とする親族の疾病、負傷等のために離職を余儀なくされた場合のように、家庭の事情が急変したことにより離職した者
  • 配偶者又は扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難となったことにより離職した者

次の理由により、通勤不可能又は困難となったことにより離職した者

  • 結婚に伴う住所の変更
  • 育児に伴う保育所その他これに準ずる施設の利用又は親族等への保育の依頼
  • 事業所の通勤困難な地への移転
  • 自己の意思に反しての住所又は居所の移転を余儀なくされたこと
  • 鉄道、軌道、バスその他運輸機関の廃止又は運行時間の変更等
  • 事業主の命による転勤又は出向に伴う別居の回避
  • 配偶者の事業主の命による転勤若しくは出向又は配偶者の再就職に伴う別居の回避

転職の際の印象に関して

自己都合退職ならば、さほど問題視されませんが、会社都合退職であれば、どんな事情があって退職となったのか、採用担当者は気になるところでしょう。人事部の採用担当者も「会社側」にいる立場の従業員だからです。

リストラによる人員削減・退職勧奨などで、そのターゲットになったということは、「仕事ができないからじゃないか」「じつは勤務態度が悪いのではないか」と勘ぐられるおそれがありますので、誤解を解く説明が必要です。

まとめ

自己都合退職では、雇用保険(失業保険金)での保護は比較的薄いですが、会社都合退職だと、従業員側の落ち度が小さいことが一般的ですので、手厚く保護される可能性が高くなります。ただ、会社都合退職ですと、転職の面接でその「会社都合」について根掘り葉掘り確認されるおそれがありますので、事前に回答を準備しておきましょう。

※本記事に記載の内容についての詳細は関係省庁にご確認ください

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