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目次【本記事の内容】
去る3月5日、企業会計基準委員会は、第521回企業会計基準委員会を開催した。
主な審議内容は以下のとおり。
前回(2024年3月10日号(No.1704)情報ダイジェスト参照)に引き続き、企業会計基準公開草案80号「中間財務諸表に関する会計基準(案)」等に関する審議が行われた。
本会計基準の適用初年度に、本会計基準を適用する旨の注記は求めないとするコメント対応案が示され、委員からは特段の異論は聞かれなかった。
次回親委員会(3月18日開催予定)で公表議決される予定。
前回親委員会および第92回税効果会計専門委員会(2024年3月10日号(No.1704)情報ダイジェスト参照)に引き続き、実務対応報告公開草案67号「グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等の会計処理及び開示に関する取扱い(案)」等の審議が行われた。
連結PLにおいてGM課税に係る法人税等を、その他の法人税等と区分表示または注記するかについて、事務局から次の再提案が示された。
・連結PL‥‥GM課税制度に係る法人税等が重要な場合は、当該金額を注記する。
・個別PL‥‥GM課税制度に係る法人税等の金額の重要性が乏しい場合、その他の法人税等に含めて表示することができる。
委員からは賛意が聞かれた。次回親委員会で公表議決予定。
実務対応報告公開草案68号(実務対応報告44号の改正案)「グローバル・ミニマム課税制度に係る税効果会計の適用に関する当面の取扱い(案)」について、コメント対応案および文案等の検討が行われ、委員から異論は聞かれなかった。次回親委員会で公表議決予定。
第213回金融商品専門委員会(2024年3月20日号(No.1705)情報ダイジェスト参照)に引き続き、上場企業等が保有するベンチャーキャピタル(VC)ファンドの出資持分について、本プロジェクトにおいて対象とする組合等に関する次の論点について、審議された。
⑴ 組合等の範囲
前回聞かれた意見を踏まえ、「多数の出資者に対して募集または私募が行われた組合等」等の要件を満たす組合等であることとする再提案が示された。
委員から、「『多数』は金商法の募集の規定に出てくる用語でもあり、結論の背景で用語の意味を明確に」との意見があった。
⑵ 組合等の会計処理
時価評価を強制するか、オプションを認めるかのアプローチで検討が行われ、事務局案として、「組合等の構成資産である市場価格のない株式を時価評価(評価差額は純損益)すること、また、時価評価の対象とする組合等をオプションとして選択とすること」が提案された。
委員からは、賛成意見が聞かれた一方、「その他の包括利益を時価評価(FVOCI)し、オプションとするべき」、「FVOCIで強制がいいのでは」とさまざまな意見が聞かれた。
第144回リース会計専門委員会(2024年3月20日号(No.1705)情報ダイジェスト参照)に引き続き、次の審議が行われた。
⑴ セール・アンド・リースバック(S&LB)取引
転リースにおけるS&LB取引に関して、企業会計基準適用指針16号50項後段の取扱い(S&LB取引によるリース物件をさらにおおむね同一の条件で第三者にリースし、一定の要件を満たした場合、その売買損益は損益計上できる)を引き継ぐとする案が示された。
委員からは特段の異論は聞かれなかった。
⑵ 短期リースの注記
短期リースの注記に含まれる少額リースの取扱いを、原則、「(少額リースを含む)短期リースを注記する」とし、例外として、「短期リースの注記に少額リースを含めないことができる」とする事務局案が示された。
委員からは特段の異論は聞かれなかった。
去る3月11日、財務会計基準機構内に設置されている企業会計基準諮問会議は第50回会合を開催した。
前回までに提案されたテーマ提案について、審議が行われた。現状の対応は次のとおり。
いわゆる現物出資構成による取引に関する会計基準の開発を実務対応専門委員会にテーマアップの評価を依頼しており、その評価は未了である。
繰延資産のうち、株式交付費、新株予約権発行費、社債発行費、創立費および開発費の会計処理について、検討を提案されており、テーマ提言するにあたり、その見直しの範囲を検討することとされていた。
以前の同会議で、上場企業の影響だけでなく非上場会社への影響も調査すべきとの意見が聞かれたことを踏まえ、非上場会社の繰延資産の状況に関する調査の状況と分析が報告された。
事務局から、非上場会社特有に考慮すべき事項は追加で識別されていないとの考察がされた。
委員から特段異論は聞かれなかった。
バーチャルPPA(電力購入契約の一種)の会計処理について、実務対応専門委員会で、テーマ評価に関して次の観点から分析が行われた。
① 会計実務における多様性があるか→必ずしも明らかではない。
② 作成者、利用者、監査人等からのニーズはあるか→今後取引が拡大し重要性が認められるようになれば、作成者・監査人から一定のニーズが生じる。
③ 適時に実務対応報告等の開発が可能か→進め方について「需要家の観点から優先度の高い論点に範囲を限定する(アプローチ1)」と「今後想定され得る取引や海外の取引などさまざまなケースに適用可能な会計処理の取扱いを検討する(アプローチ2)」を検討した結果、アプローチ1について、実務対応レベルの新規テーマとして取り上げる要件を満たしている。
この分析を踏まえ、事務局から、追加情報の収集・分析を行ったうえで、次回以降の同会議に提案する方向性が示された。
委員からの、「追加で収集する情報とは何か」という質問に、事務局から「具体的な会計処理に関する事実関係が明らかでなかったので、その情報を収集したい」との回答がされた。
去る3月4日、SSBJは第32回サステナビリティ基準委員会を開催した。
第31回(2024年3月10日号(No.1704)情報ダイジェスト参照)に引き続き、IFRS S1号、S2号に相当する日本基準の開発の審議が行われた。
審議された具体的な検討事項は主に次のとおり。
⑴ 法令の要請による報告期間と異なる場合
前回、「コメント募集及び本公開草案の概要」の文案について検討を行った際、企業が活動する法域の法令の要請により報告される指標の報告期間がサステナビリティ関連財務開示(および関連する財務諸表)の報告期間と異なる場合についても、質問項目を設定すべきではないかとの意見が聞かれていたため、暫定合意のための投票が行われることとなった。
事務局からは、「一定の要件をすべて満たす場合には法令の要請による指標の報告期間を用いて報告することができる」とする案Aと、「国際基準と同様にサステナビリティ関連財務開示と同じ報告期間としなければならない」とする案Bの2案が示され、投票の結果、案Aが採用された。
⑵ 温対法等のGHG排出量の報告期間との関連
⑴の論点は「気候関連開示基準」における温対法等に基づく温室効果ガス(GHG)排出量の報告期間にも関連するものと考えられるため、こちらも同様に投票が行われることとなった。
事務局からは、次の3案が示された。
(案A)GHG排出量のデータのうち直近のものを用いたうえで、その報告期間がサステナビリティ関連財務開示と1年以上乖離している場合に追加の開示事項を求める。
(案B)サステナビリティ関連財務開示の報告期間とGHG排出量の報告期間示の乖離に上限(たとえば、1年)を設ける。
(案C)温対法等の報告期間がサステナビリティ関連財務開示の報告期間と異なる場合でもサステナビリティ関連財務開示と同じ報告期間を対象としなければならない。
投票の結果、案Aが採用された。
日本版S1号、S2号の文案について、引き続き文案の検討が行われた。
委員からは、適用初年度などの経過措置に関して、「何をもって『適用』とするのか。準拠表明をすることで『適用』となった場合には、翌年度以降は経過措置を使えないのか」などの意見が聞かれた。
事務局は「いま想定しているのは、法令などによって強制されない限りは、経過措置をずっと使えるようにして開示に対するハードルを下げること。法律に基づいて要求された場合には、適用初年度は自ずと決まってくるため、特段の定めを置いていない」と回答した。
次回(3月21日開催予定)、公開草案の公表議決予定。
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