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【会計】中間財表・パーシャルスピンオフ・GM課税関連の基準等、公表─ASBJ 旬刊『経理情報』2024年4月10日号(通巻No.1707)情報ダイジェスト/会計・監査・法務

公開日2024/04/08 更新日2024/04/07


【会計】中間財表・パーシャルスピンオフ・GM課税関連の基準等、公表─ASBJ

去る3月18日、企業会計基準委員会は、第522回企業会計基準委員会を開催した。
主な審議内容は以下のとおり。


■基準案等の公表議決

前回親委員会(2024年4月1日号(No.1706)情報ダイジェスト参照)に引き続き、図表1の基準案等の審議が行われ、いずれも出席委員全員の賛成で公表議決された(3月22日公表)。


■JICPA実務指針等の移管プロジェクト

⑴ 移管方針の公開草案
日本公認会計士協会が公表した実務指針等のASBJへの移管に関して、移管指針の適用や個別の移管指針(図表2)を示した移管指針公開草案の文案の検討が行われた。
委員から特段の異論は聞かれず、次回(4月2日開催予定)、公表議決予定。


⑵ 継続企業・後発事象に関する実務指針等の移管に係る調査研究
第519回親委員会(2024年3月1日号(No.1703)情報ダイジェスト参照)に引き続き、「継続企業及び後発事象に関する調査研究」について検討が行われ、これらの開発の方向性について次の事務局案が示され、検討された。


① 継続企業
会計と監査を切り分ける観点から、監査・保証実務委員会報告74号「継続企業の前提に関する開示について」の内容のうち、会計に関する指針に相当する記載は表現を変えて引き継ぐ等の方向での開発を行う。


② 後発事象
定義について、後発事象の発生日の基準に「財務諸表の公表承認日」を取り入れる。金商法上の財務諸表における修正後発事象の取扱いについては、現行の取扱いを引き継いで開示後発事象に準じて取り扱う。



委員からは、「この調査研究を公表するにあたっては、その位置づけの検討を」という意見が聞かれ、事務局から「文書の効力について検討していく」との回答が聞かれた。


(図表1) 公表議決された基準案等

・企業会計基準33号「中間財務諸表に関する会計基準」等
https://www.asb-j.jp/jp/accounting_standards/y2024/2024-0322.html
・改正企業会計基準適用指針2号「自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準の適用指針」等(パーシャルスピンオフの会計処理)
https://www.asb-j.jp/jp/implementation_guidance/y2024/2024-0322.html
・改正実務対応報告44号「グローバル・ミニマム課税制度に係る税効果会計の適用に関する取扱い」
https://www.asb-j.jp/jp/practical_solution/y2024/2024-0322_01.html
・実務対応報告46号「グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等の会計処理及び開示に関する取扱い」等
https://www.asb-j.jp/jp/practical_solution/y2024/2024-0322_02.html

(図表2) 個別の移管指針

ア 移管指針公開草案1号「ローン・パーティシペーションの会計処理及び表示(案)」
イ 移管指針公開草案2号「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針(案)」
ウ 移管指針公開草案3号「連結財務諸表におけるリース取引の会計処理に関する実務指針(案)」
エ 移管指針公開草案5号「株式の間接所有に係る資本連結手続に関する実務指針(案)」
オ 移管指針公開草案6号「連結財務諸表等におけるキャッシュ・フロー計算書の作成に関する実務指針(案)」
カ 移管指針公開草案7号「持分法会計に関する実務指針(案)」
キ 移管指針公開草案8号「研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針(案)」
ク 移管指針公開草案9号「金融商品会計に関する実務指針(案)」
ケ 移管指針公開草案10号「特別目的会社を活用した不動産の流動化に係る譲渡人の会計処理に関する実務指針(案)」
コ 移管指針公開草案11号「研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関するQ&A(案)」
サ 移管指針公開草案12号「金融商品会計に関するQ&A(案)」
シ 移管指針公開草案13号「特別目的会社を活用した不動産の流動化に係る譲渡人の会計処理に関する実務指針についてのQ&A(案)」
ス 移管指針公開草案14号「土地再評価差額金の会計処理に関するQ&A(案)」
※ 移管指針公開草案4号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針(案)」については、パーシャルスピンオフの会計処理の開発に伴い、会計制度委員会報告7号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」が改正されるため、今回は検討されていない。

【会計】SSBJ基準案、公表議決─SSBJ

去る3月21日、SSBJは第33回サステナビリティ基準委員会を開催した。
第32回(2024年4月1日号(No.1706)情報ダイジェスト参照)に引き続き、IFRS S1号、S2号に相当する日本基準の開発の審議が行われた。
審議された具体的な検討事項は主に次のとおり。


■「国家の安全保障を脅かす可能性のある情報」

オブザーバーである金融庁から、SSBJ基準にて独自に設けることが議論されてきた「国家の安全保障を脅かす可能性のある情報」について、次のような見解が示された。「仮にISSB基準において、『国家の安全保障を脅かす可能性のある情報』の開示を求められる場合があるとすると、それは日本企業のみならず海外の企業にとっても問題になるため、まずは当該情報の開示がISSB基準において求められるのか否かについてISSBに明確化を求めていきたいと考えている。そのうえで仮に『国家の安全保障を脅かす可能性のある情報』の開示が必要となるケースが見込まれる場合、そうした情報開示の必要がないことを金融商品取引法の枠組みでも示していきたい。そのため、『国家の安全保障を脅かす可能性のある情報』を開示しないことを認める定めを公開草案に含める必要はない」。
委員からは特段異論は聞かれなかった。


■SSBJ基準案、公表議決

日本版S1、S2基準について前回までの意見を踏まえた変更点と「国家の安全保障を脅かす可能性のある情報」をセクションごと削除した文案が事務局から示された。
委員からは異論は聞かれず、「サステナビリティ開示基準の適用」、「一般開示基準」、「気候関連開示基準」の3つのSSBJ基準を構成する文案について、全委員の賛成で公表議決された。

【監査】四半期レビュー基準、期中レビュー基準に改訂へ─企業会計審議会総会

去る3月12日、金融庁は企業会計審議会総会(会長:徳賀芳弘・京都先端科学大学副学長・京都大学名誉教授)を開催した。
審議事項は主に次のとおり。


■四半期レビュー基準の期中レビュー基準への改訂に係る意見書(案)

⑴ 主な改訂内容


① 名称変更
四半期レビュー基準を「期中レビュー基準」と名称変更する。
② 期中レビューの目的の改訂
現行の四半期レビュー基準で規定されている適正性に関する結論の表明に加えて、準拠性に関する結論の表明を期中レビュー基準に導入し、特別目的の期中財務諸表に対する結論の表明の位置づけを明確化している。
③ 実施基準の改訂
特別目的の期中財務諸表には多種多様な期中財務諸表が想定されることから、実施基準において、監査人は特別目的の期中財務諸表の期中レビューを行うにあたり、当該期中財務諸表の作成の基準が受入れ可能かどうかについて十分な検討を行わなければならないこと等を明確化している。
④ 報告基準の改訂
適正性に関する結論の表明について特別の利用目的に適合した会計の基準により作成される期中財務諸表の場合を付記するとともに、準拠性に関する結論の表明について規定するなど、期中レビュー報告書において記載すべき事項を明確化している。



なお、不正リスク対応基準は期中レビューには適用されない。
また、本改訂を踏まえ、「監査に関する品質管理基準」第16の改訂も行われた。


⑵ 適用時期
期中レビュー基準および改訂品質管理基準は、原則として2024年6年4月1日以後開始する期中財務諸表に係る会計期間の期中財務諸表に対する期中レビューから適用する。



本意見書案についての説明に対して、委員からは異論は聞かれず、神田潤一内閣府大臣政務官に提出された(3月27日公表)。

【法務】公開買付け・大量保有制度等に関する金商法改正案、公表

去る3月15日、「金融商品取引法及び投資信託及び投資法人に関する法律の一部を改正する法律案」が国会に提出された。
わが国資本市場の活性化に向けて、資産運用の高度化・多様化および企業と投資家の対話の促進を図りつつ、市場の透明性・公正性を確保するため、「公開買付け」、「大量保有報告」等に関する制度を整備するもの。
2023年12月25日公表の金融審議会「公開買付制度・大量保有報告制度等ワーキング・グループ」報告の内容が盛り込まれている。
主な内容は次のとおり。


■公開買付規制

公開買付制度の対象取引の拡大に関する次の規定が改正される。

⑴ 取引の透明性・公正性を確保するため、市場内取引(立会内)も「3分の1ルール」の適用対象にする。
⑵ 企業支配権に重大な影響を与えるか否かの閾値を、議決権行使割合や諸外国の水準を踏まえ、議決権の「3分の1」から「30%」に引き下げる。


■大量保有報告制度

大量保有報告制度における「共同保有者」の範囲の明確化等、次の改正が行われる。

⑴ 複数の投資家が「経営に重大な影響を与えるような合意」を行わない
 (配当方針や資本政策の変更といった、企業支配権に直接関係しない提案を共同して行う場合等を想定)限り、「共同保有者」に該当しないことを明確化する。
⑵ 現金による決済が予定されているデリバティブ取引のうち、一定の要件を満たすものを大量保有報告書の提出義務の対象とする。


■その他

その他、資産運用の高度化・多様化の施策として、投資運用業者の参入促進、非上場有価証券の流通活性化等が盛り込まれている。

【会計】リースに関する結合分離適用指針の改正、検討─ASBJ、リース会計専門委

去る3月13日、企業会計基準委員会は第145回リース会計専門委員会を開催した。
前回(2024年3月20日号(No.1705 )情報ダイジェスト参照)に引き続き、企業会計基準公開草案73号「リースに関する会計基準(案)」等に寄せられたコメントへの対応の方向性と個別事項について、審議が行われた。


■結合分離適用指針の改正案に関する検討

⑴ 企業結合におけるリースの識別
公開草案に対して、「使用権資産およびリース負債の認識、測定に関する簡便的な取扱いが適用できる旨の定めを追加することの要否」の検討を要望するコメントが寄せられていた。
事務局は「本公開草案は国際的な会計基準との整合性を図る目的があり、IFRS3号『企業結合』と同様の定めを取り入れる」としたうえで、IFRS3号28B項で使用権資産について、基本的にはリース負債と同額で測定することを求めている一方、リースに市場の条件と異なる条件がある場合にはリース負債の測定額から調整することを求めている点につき、次の2案を示した。

市場の条件と異なる場合の調整については次のいずれかの取扱いとする。
(案A)リースが市場の条件と異なる場合には、使用権資産の額を調整する
(IFRS3号)
(案B)リースが市場の条件と異なる場合の定めを取り入れない


専門委員は「あえてIFRSとの基準差を設ける必要がない」などの理由から、案Aを支持する意見が多く聞かれた。
また、3月14日開催の第114回企業結合専門委員会でも同テーマについて審議され、同様の理由から案Aが支持された。
3月18日開催の第522回親委員会でも審議されたが、委員からは、案A、案Bとも支持する意見が聞かれた。


⑵ 経過措置
原則的な取扱いとして企業結合取引を過去のすべての期間に遡及適用する場合、過去に実施したすべての企業結合取引の取得原価の配分を見直すこととなる。前記⑴に関する遡及適用に伴う実務上の負担への対応として、次の追加的な経過措置を設ける事務局案が示された。

① 企業結合日に識別可能資産および負債とされていたリースについては、企業結合日において従前の取扱いに従って算定したリース資産およびリース債務等の金額と同額で会計処理する。
② 前記⑴案Aを採用する場合には、市場の条件と異なる場合の調整を免除する。


専門委員から異論は出なかった。第114回企業結合専門委員会および第522回親委員会でも異論は聞かれなかった。


■貸手のリース期間・リース料

⑴ 貸手のリース期間の選択適用
第138回専門委員会にて、貸手のリース期間もIFRS16 号と整合的な取扱いにすべきという意見が聞かれていたため、事務局は例外的な取扱いとして、IFRS166号と整合的にする旨を提案していたが、例外的な取扱いとすることに異論が出たため、次の事務局案を提案した。

リースを構成する部分としない部分への定めと同様に、次の2つの期間を貸手のリース期間として条件なく会計方針の選択として認める。

① 貸手のリース期間を、借手のリース期間と同様に決定する。
② 貸手のリース期間を、解約不能期間に再リース期間を加えた期間として決定する。


専門委員からは賛意が聞かれた。第522回親委員会でも特段の異論は聞かれなかった。


⑵ フリーレント等の配分に係る会計処理
第140回専門委員会にて、貸手のリース料には「指数又はレートに応じて決まる変動リース料」が含まれないことを明記する提案を行った。
これに対してフリーレントの会計処理に関して聞かれた次の懸念点につき、事務局で再検討を行い修正案が示された。
まず、貸手のリース期間を「解約不能期間に再リース期間を加えた期間」を企業が選択する場合、オペレーティング・リースに該当する不動産賃借では解約不能期間で無料部分が配分され、リースの経済実態を示さない可能性がある。この点に関し、事務局は、オペレーティング・リースに関する会計処理について、次の修正案を示した。

ただし、貸手が借手のリース期間について本会計基準案第30項⑵を適用して決定する場合に当該貸手のリース期間に無料賃借期間が含まれるときは、貸手は、当該貸手のリース料について契約期間にわたり計上する。


次に、前記の「指数又はレートに応じて決まる変動リース料」は貸手のリース料には含まれないという記載を行うと、本会計基準案が企業会計基準適用指針16号の取扱いを踏襲しているにもかかわらず、現行の取扱いと整合しないおそれがある。この点に関して、賃料改定条項が付されているリース料は、貸手のリース料に含まれることを結論の背景に追記する案が示された。
専門委員からは特段反論は聞かれなかった。第522回親委員会でも審議され、委員から、特段異論は聞かれなかった。


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本記事は、旬刊誌『経理情報』に掲載している「情報ダイジェスト」より抜粋しています。
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