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2024年4月1日に改正金融商品取引法が施行されました。この記事では、改正のポイントとして、四半期開示制度の見直しと、ソーシャルレンディング等に関する規定の整備を中心に解説します。
※2024年3月時点の情報に基づきます。
▼この記事の執筆者
吉岡公認会計士事務所
公認会計士
吉岡 博樹 様
企業規模を問わず財務・経営の支援を数多く行なうほか、これまでセミナーや大学院の講師、商工会議所の相談員を務める。経営者や経理担当者に役立つ情報をHPで配信中。
旧制度では、上場企業等に対し、取引所規制により四半期および期末に決算短信の開示が、金融商品取引法(金商法)により四半期・期末に四半期報告書と有価証券報告書の開示が求められていました(図表1)。もっとも、四半期ごとに決算短信で開示される内容と、四半期報告書の内容は重複している箇所が多く見られます。
サステナビリティ情報など中⻑期的な企業価値に関連する非財務情報等の開示内容の充実が図られている昨今、この重複開示は実務担当者にとって過度な作業負担となっていました。
また、取引所規制では決算期末後45日以内に決算短信を開示することが求められています。この点、四半期における決算短信については、金商法に基づく四半期報告書の法定提出期限が45日とされていることから、四半期決算短信は「決算発表の早期化の要請」の対象とはされていないものの、実務上は両者の開示時期が近く、非効率な開示といえる状況でした。
そこで、実務負担を軽減し、開示の効率化を図るべく、四半期開示制度が改正されました。
改正により四半期報告書が廃止され、決算短信に一本化されました。開示時期が早いほうの決算短信に一本化し、情報開示の適時化を図ったものと考えられます。
上場企業等では、図表1のとおり四半期報告書の提出が不要になり、第1および第3四半期では決算短信の提出で足りることとされました。一方で、事業年度開始後6か月間の経理の状況等を記載した半期報告書を提出することが、新たに義務づけられました。
なお、有価証券報告書の提出が必要な非上場会社等においては、改正後も半期報告書を提出する点に変更はありません。また、非上場会社等が上場会社等の開示制度を任意に選択できる点は、改正後も維持されています。
四半期報告書が廃止されたことで、日本の開示制度が後退したと誤解され、海外投資家から日本企業への投資規模が縮小するという事態が生じる可能性も考えられます。そこで改正後は、四半期報告書を廃止する一方で、従来の四半期報告書で開示されていた、投資家にとって有益と考えられる情報を、決算短信に引き継ぐかたちでの開示が義務づけられました。
経理担当者としては、特に注記事項について、半期報告書と同水準のセグメント情報等の注記が求められること、およびキャッシュ・フロー計算書の開示を省略する場合にはキャッシュ・フローに関する注記が求められることとなった点に留意が必要です(図表2)。
2024年4月1日以後開始する四半期会計期間から適用されます。そのため、決算期によっては期中から四半期報告書が廃止され、決算短信に一本化されます。経理担当者においては、特に2024年の四半期ごとの開示資料を早めに整理・把握しておくことをお勧めします。
ソーシャルレンディングは、企業等と、不特定多数の投資家で構成される資金提供者をインターネット経由で結びつけ、ファンドを通じて資金を融資する仕組みをいいます(図表3)。
企業等が資金調達を検討する場合、まずは金融機関からの融資を検討すると思われます。
しかし、特に創業段階や成長初期にある企業では、取引実績が少なく金融機関の融資審査が通らない、あるいは審査が通ったとしても、融資条件や融資額の面で思うような借入れを受けられないという問題がありました。
この点、ソーシャルレンディングでは、多数の資金提供者から少しずつ集めた資金を元手に企業が融資を受けられる仕組みとして、創業段階や成⻑初期にある企業でも比較的融資が受けやすいというメリットがあります。
一方、資金提供者と企業等をつなぐファンド事業者は、有価証券等に投資する投資運用業者の位置づけではなく、第二種金融商品取引業者に該当することから、旧法では運用報告書を資金提供者である投資家に交付する義務はありませんでした。
そのため、融資を受けた企業が当初と異なる目的で資金を使用しても、投資家がタイムリーにそのことを把握できないという事態や、融資を受けた企業の財務状況が著しく悪化しているにもかかわらずファンドの募集が継続されるといった事態が発生し、投資家の保護が求められていました。
改正により、ソーシャルレンディングを運用するファンド事業者について、運用報告書に関する規定の整備が定められました。
改正後は、運用報告書の交付が担保されていないファンドの募集等は禁止されるなど、主に資金提供者である投資家への情報拡充を通じて投資家を保護することに重点が置かれています。
ソーシャルレンディングによる資金調達はいまだ発展途上ですが、改正により投資家が安心して資金提供を行なう機会が増えることで、創業段階や成長初期にある企業はもちろん、リスクの高い新規事業に取り組む企業や、金融機関の融資枠を使い切っている企業が、資金調達手段のひとつとして検討するケースが増加する可能性も考えられます。
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