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Eコマースで取引件数が増えてくると、注文データと入金データの突き合わせ作業に時間がかかったり、その煩雑さゆえに作業中にミスをしたりするケースも生じます。そうした入金管理の手間を解消する方法の1つが、バーチャル口座の活用です。
そこで今回はバーチャル口座とは何か、その仕組みと種類、活用するメリットについて詳しく解説します。
バーチャル口座は、日本語では「仮想口座」と呼ばれ、事業者が自らの法人口座にひも付く形で作成する振込専用の口座のことです。バーチャル口座は正式な預金口座ではなく、顧客からの代金振込をしてもらうために設置する仮の口座になります。
バーチャル口座を作る場合、預金口座のある銀行に申し込みを行い、銀行が事業者に貸し出す形になるのが通例です。顧客から振り込まれた代金は、バーチャル口座を経由して、本来の事業者の預金口座へと振り込まれます。
バーチャル口座の最大の特徴は、口座を多数開設できる点です。通常の銀行口座の場合、個人・法人が同一銀行で開設できる口座数は原則1つであり、法人口座を複数作る場合は銀行側と別途相談する必要があります。
しかし、バーチャル口座は銀行口座にひも付いた仮想の口座であるため、申請すれば何個でも作成可能です。開設可能な口座数は銀行により変わりますが、制限をとくに設けていないところでは、500口座、1,000口座単位で申し込めます。
なぜわざわざ振込専用のバーチャル口座を作るのかというと、多数の口座を一度に作れる特性を活かし、口座番号を注文もしくは顧客ごとに細かく割り当てるためです。
バーチャル口座には大きく分けて、「注文ごとに口座番号を割り当てる方法」と「顧客ごとに口座番号を割り当てる方法」の2種類があります。注文ごとに口座番号を割り合てる場合、注文と口座番号が1対1で対応するため、入金されると、どの注文からの入金なのか口座番号により瞬時に特定可能です。
普通の銀行口座への振込だと、注文番号と振込者である顧客の氏名や法人名を、明細などを通していちいち手作業で確認する必要があります。しかし、バーチャル口座であれば、入金された際にどの注文への支払いなのか、対応する口座番号により瞬時にわかるのです。
顧客ごとにバーチャル口座を作成する場合は、顧客とバーチャル口座番号がひも付くことになり、入金された際の入金者の特定を口座番号により自動で行えます。
バーチャル口座の活用には以下のようなメリットがあります。
バーチャル口座開設の最大のメリットは、消込作業の軽減化です。消込作業とは、売掛金や買掛金などの債権・債務の残高を消していく作業のことです。売掛金であれば入金が発生した時に、明細と突き合わせをした上でとくに問題がなければ、売掛金の項目を帳簿上から消していきます。
企業間取引の場合、消費者向けの売買とは異なり、「売上=入金」「購入=出費」ではなく、掛売り・掛買いが一般的です。商品やサービスを販売し、実際に入金が発生するまでは「売掛金」の形で帳簿に残り続けます。
ただ、この売掛金への入金は月末などに一気に生じることが多いため、既存の銀行預金口座のみで対応する場合、経理担当者が受け取った支払明細と逐一照合しながら、消込作業を行う必要があります。この消込作業は、金銭の流れを正確に把握するために確認を何度も行うのが通例で、経理担当者にとって大きな負担です。
しかし、バーチャル口座を導入することでその負担を一気に減らせます。注文や顧客ごとに口座番号が割り当てられ、入金もすべて口座番号を介してシステム上で自動的に把握可能です。手作業で消込をする必要がなく、しかも人間によるミスも減らせるため、メリットは大きいといえます。
バーチャル口座では、注文や顧客ごとに入金状況をシステム上でリアルタイムにて確認できます。顧客への入金督促も状況に合わせて早めに行えるため、資金繰り対策にもなります。また、顧客が間違って振込をした場合、手作業だとその確認や修正作業は大変になりますが、バーチャル口座であれば入金間違いのチェックも含めて負担なく対応できます。
オンラインショップの多くは、開業にあたって法人やショップの名義で新規に口座を作るのが通例です。しかし、銀行で口座を開設するには各種証明書類も必要になり、意外と手間がかかります。バーチャル口座は既存の口座にひも付けするだけなので、口座開設の申請時の負担が少ないです。
顧客や取引先が不特定多数で、その注文数が膨大な数に上る場合、バーチャル口座の利点が最も活かされます。このような場合、誰がいつ入金したのかを注文データと照合して確認するのは大きな負担です。とくにBtoBビジネスでは、売上は売掛金として計上されることが通例なため、その消込作業に伴う作業量は膨大になります。それがバーチャル口座であれば、注文や顧客を口座番号ごとに把握できるため、入金時の振込者の特定を容易に行えるのです。
ただし、バーチャル口座を導入するための費用やサービス利用のために月額費用が別途かかること、また、バーチャル口座を運用する際は決済代行会社を利用するため、取引ごとに決済手数料も発生します。この点はバーチャル口座を活用する上でのデメリット・注意点といえるでしょう。
■参考サイト
大手都市銀行が、他行に先駆けて振込手数料の引き下げを決定
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。
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