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懲戒解雇を実施する際に気を付けておきたいポイント4点

公開日2019/04/04 更新日2019/04/05
懲戒解雇を実施する際に気を付けておきたいポイント4点

日本国内で働く従業員は、労働法体系で保護されていることもあり、あらゆる会社はそうやすやすと従業員を解雇することはできません。その中でも例外的に許される場面のひとつが、懲戒処分としての解雇です。では、懲戒解雇はどのような場合に可能なのでしょうか。解雇する側である会社が気を付けておくべき点をまとめてみました。

目次【本記事の内容】
  1. そもそも懲戒解雇とは?
  2. 懲戒解雇に該当するケース
    1. 懲戒解雇に該当するケース1.業務上の犯罪行為
    2. 懲戒解雇に該当するケース2.会社に対する重大な背信行為
    3. 懲戒解雇に該当するケース3.経歴詐称
    4. 懲戒解雇に該当するケース4.ハラスメント
    5. 懲戒解雇に該当するケース5.無断欠勤
    6. 懲戒解雇に該当するケース6.副業禁止違反
    7. 懲戒解雇に該当するケース7.再三にわたる懲戒処分
  3. 懲戒解雇を行う際の注意点
    1. 懲戒解雇を行う際の注意点1.懲戒に関する規定を明記・周知
    2. 懲戒解雇を行う際の注意点2.反論の機会を与える
    3. 懲戒解雇を行う際の注意点3.解雇予告
    4. 懲戒解雇を行う際の注意点4.解雇理由証明書の発行
  4. まとめ

そもそも懲戒解雇とは?

懲戒解雇は、会社の秩序を維持するためのペナルティである懲戒処分の一種であり、会社が従業員を強制的に雇用契約を解除することのできる手続きです。会社から従業員に言い渡すことのできる最も重い処分となります。

従業員に対する懲戒権は会社の持っている権利ではありますが、あくまでも「会社の秩序維持」という目的を果たすために必要最小限度で用いなければならず、無制約に行使できるわけではありません。

労働契約法15条が「使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする」と定めていることからも、懲戒権には一定の制約があることが見て取れます。

同様に労働契約法16条が「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」と定めていることから、懲戒解雇は「客観的に合理的な理由」があり、「社会通念上相当であると認められ」る場合にのみ可能であると読み取れるのです。

懲戒解雇に該当するケース

懲戒解雇に該当するケース1.業務上の犯罪行為

たとえば、経理担当者が不正に会社のお金を着服して、プライベートに流用するのは業務上横領罪ですが、逮捕あるいは起訴された時点で懲戒解雇の対象になりえます。会社の資産を私物化する重大な裏切りであって、懲戒解雇に客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当と認められます。

ただし、本人が容疑を否認し、無罪を主張している場合は要注意です。実際に無罪判決が出されたときには、名誉回復して職場復帰できるようにしておかなければ、不当解雇として責められるおそれがあります。

また、業務とは直接関係がないプライベートの時間帯での犯行であっても、重大な粗暴犯や会社の社会的名誉を傷つけるような犯罪であれば、懲戒解雇が認められるでしょう。たとえば、中学生向けの塾講師が、たとえばプライベート時間であっても中学生に対して性的な嫌がらせを行った場合には、勤務している塾に子どもを預けている保護者の間に不安が広がり、その信頼が失墜しかねません。個人的な過ちでは済まない状況ですので、これ以上雇用し続けるわけにはいかず、懲戒解雇は認められると考えられます。

懲戒解雇に該当するケース2.会社に対する重大な背信行為

営業秘密・個人情報の漏洩、あるいは顧客や取引先に重大な損害を与えたり、在庫を保管している倉庫の失火など会社財産に深刻な損害を及ぼしたり、ネット掲示板やブログ、SNSなどで、会社に対する非難や誹謗中傷などを再三にわたって書き込んだりした従業員に対する懲戒解雇は、許される余地があります。ただし、そうした重大な事故を防止するため、会社が十分な管理責任を果たしていなかったと認められない状況があれば懲戒解雇が認められにくくなります。

懲戒解雇に該当するケース3.経歴詐称

履歴書に書かれた学歴(特に最終学歴)や職歴、あるいは職務経歴書の内容などに、自分を少しでもよく見せるための嘘を書き記したことが発覚した場合に、懲戒解雇が認められるかが問題になります。

たとえば、特定の資格を持っていないのに持っていると詐称したり、高校中退なのに大学卒だと偽るなどです。

しかし、嘘を書けば即、懲戒となるわけではありません。「もし、その嘘がなければ採用されなかったであろう」といえるほどの重大な経歴詐称があれば、会社の採用判断に対する重大な裏切りがあったと認められるため、懲戒解雇が許される余地があります。

業務内容や職場の雰囲気から「大卒程度」の条件で求人を出していたにもかかわらず、大卒の求職者が高卒と偽って応募し、採用されたことが発覚した場合にも、経歴詐称として懲戒解雇の対象になりえます。  

懲戒解雇に該当するケース4.ハラスメント

セクハラの中でも、強姦や強制わいせつに類する悪質なもの、パワハラの中でも脅迫・強要・暴行・名誉毀損にも匹敵する非常に荒っぽいものは、その被害の深刻さや会社秩序を乱す程度が根深いことから、懲戒解雇の対象となりえます。

懲戒解雇に該当するケース5.無断欠勤

会社に雇用されるということは、(出産や育児、介護などで休業・休暇を取っていない限り)勤務日には出勤して労働力を提供する法的義務を負うことを意味します。

従業員の無断欠勤は、会社に対する重大な背信行為となりえます。おおむね14日~1カ月以上にわたって、正当な理由もなく無断欠勤を続けている場合には、懲戒解雇の対象となります。

ただし、出勤簿やタイムカードを準備していない、あるいは無断欠勤の従業員に対して正式な出勤命令を複数回にわたって発する行為を怠るなど、会社による勤怠管理が不十分な場合には、無断欠勤の事実を客観的に証明できないこともあり、懲戒解雇が認められにくくなります。

懲戒解雇に該当するケース6.副業禁止違反

勤務時間外にはリラックスして疲れを回復し、会社に対してまっとうな労働力を提供してもらうため、従業員に対して勤務時間外の副業を禁止する場合があります。この副業禁止規定に違反し、疲労回復の余地がないほど長時間にわたる副業を行っていれば、懲戒解雇を行える可能性があります。

ただし、休日に週に1回、3~4時間程度のアルバイトをしていた程度であれば、懲戒解雇が認められるほどの副業禁止違反とはいえないと解釈されています。

また、副業禁止を就業規則に明記し、職場で周知させていなければ、副業禁止違反に対して懲戒することはできません。

懲戒解雇に該当するケース7.再三にわたる懲戒処分

遅刻や欠勤、セクハラ、パワハラ、二日酔い状態での出勤、賭博行為、勤務時間中に急にいなくなるなど、職場の秩序を乱す行為を何度も繰り返し、過去に訓戒や減給などの懲戒処分を再三にわたって受けていた場合には、違反の累積を理由に懲戒解雇が認められる余地があります。

懲戒解雇を行う際の注意点

懲戒解雇を行う際の注意点1.懲戒に関する規定を明記・周知

就業規則や雇用契約書に、懲戒解雇の可能性を含む懲戒処分の内容や、懲戒の対象となりうる事項について、できるだけ具体的に明記し、従業員に周知していなければ、懲戒解雇は認められません。

なぜなら、何をすれば懲戒解雇をされてしまう可能性があるのかを明記しなければ、従業員の行動の自由を不当に拘束し、萎縮させるおそれがあるからです。

懲戒処分の周知について、職場でいつでも就業規則を閲覧できる状態にしておく必要まではありません。ただ、従業員が会社側に就業規則の閲覧を要求したときに、いつでも提示できる状態にはしておかなければ「周知」とは評価されません。

懲戒解雇を行う際の注意点2.反論の機会を与える

会社は懲戒解雇の前に、その従業員自身による弁明や、労働組合との話し合いのチャンスを与えなければなりません。従業員の側にも言い分や同情の余地がある可能性があるため、それを聞き入れなければ、会社都合の一方的な解雇だと裁判所に認定されかねず、後で無効となるおそれもあります。

懲戒解雇を行う際の注意点3.解雇予告

たとえ、従業員側が一方的に悪い場合であっても、解雇は30日前に予告しなければなりません。どうしても即刻解雇をする場合には、30日以上の給与額に相当する「解雇予告手当」を支払わなければなりません。

これらの予告や手当を免れるには、労働基準監督署に対して「解雇予告除外認定の申請」を行わなければなりません。ただ、認定がおりるまでには1週間程度の日数がかかりますし、多くの証拠書類を提出しなければならず、手続きは煩雑です。

懲戒解雇を行う際の注意点4.解雇理由証明書の発行

上司が部下を叱って、「お前なんか辞めてしまえ」と言い放つ場合があるかもしれませんが、これは懲戒解雇にはなりません。解雇は書面によって行わなければならず、しかも、なぜ懲戒解雇に値するのかを明記した「解雇理由証明書」を発行しておくべきです。

関連記事:社会保険労務士が作成した「解雇理由証明書」のテンプレート

まとめ

懲戒解雇は、いわゆる「クビ」であり、懲戒処分の中でも最も厳しいペナルティです。最も厳しいからこそ、後で「不当解雇」として提訴される訴訟リスクを回避するため、会社としても十分に適正な手続きを踏んでから行わなければなりません。

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