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Q:弊社の役員が今月20日、自己都合で退職することが先月決まりました。役員報酬に関しては締め日と言う概念がないので、日割りで支給することは難しいと本人に伝えたところ、「そんなはずはない。日割りができないなら、1ヵ月分支給したらいい」と強く言われてしまいました。
よくよく話を聞くと、本人も一般従業員から役員になるとき、肩書が変わる自覚はあったようですが、給与のしくみが変わることはあまり理解がなかったようです。
実際、役員が退職した月の給与はどうするのがベストですか?
A:まず考え方として役員報酬は年棒制です。その年額を月割にして支給していくということです。
取締役とは、従業員と違い法人と雇用契約ではなく委任契約により業務に従事します。よって、役員報酬は締め日がなく、日割という概念はありません。
また、今回の自己都合による退職の理由が詳細に分かりませんが、自己都合であるならば、委任契約違反ということで取締役会を開催し、その退職日の属する月の役員報酬につき減額するという決議をすればいいかと考えます。
その旨は、代表取締役及びその他の取締役の方々にご相談されてはいかがでしょうか?
取締役の報酬については、会社法第361条に、「取締役の報酬、賞与その他の職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益についての次に掲げる事項は、定款に当該事項を定めていないときは、株主総会の決議によって定める」とあります。
株主総会で決めるのは、以下の3点です。
1. 報酬等のうち額が確定しているものについては、その額
2. 報酬等のうち額が確定していないものについては、その具体的な算定方法
3. 報酬等のうち金銭でないものについては、その具体的な内容
いずれにしても、役員報酬は年俸制ですから、辻本弘仁先生のアドバイスにもあるように、取締役会を開き、支払う方法を決めてもらうことが賢明なようです。
ところで、世の中の役員たちは、役員報酬をどのぐらいもらっているものなのでしょうか。「役員四季報2019年版」(東洋経済)によると、1位は、ソニーの平井一夫氏で、役員報酬総額は27億1,300万円でした。
日本企業の役員報酬は、欧米諸国に比べると、かなり低いと言われていますが、「役員四季報2019年版」には、年1億円以上の役員報酬を得ている上場企業役員トップ500人をランキングで紹介しています。
欧米諸国に比べると低いとされている日本企業の役員報酬ですが、年々高額化しているようで、高額な報酬を望むなら、やはりトップを目指さなければならないようです。
企業に勤めていると、通常であれば退職時は退職金が発生しますが、役員についてはどうなのでしょうか。
役員の場合は、労働者と違って、労働基準法などで退職金の支払いが義務付けられているわけではありません。会社と役員の間で、退職金(退職慰労金)の取り決めが必要で、会社法によって「役員報酬を定款または株主総会決議によって決めなければならない」と定められています。
ちなみに、2019年の役員報酬でトップだったソニーの平井一夫氏の退職金は、2017年度に20年ぶりの最高益更新に導いた功績への対価として11億8,200万円が支払われたそうです。
退職する役員の、報酬の支払方法に関しては、会社法、定款、株主総会の議決に則って、処理をしていくことになりそうです。滅多に起こることではないので、相談者も、かなり困惑したでしょうが、管理部門なら、あらゆる場面を想定した対処法を学んでおくことも必要といえるでしょう。
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