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本記事では、「未収入金」にフォーカスし、未収入金の基本的な定義や仕訳方法から、よく間違われる勘定科目との違い、さらには回収や対応のポイントまでを詳しく解説します。
経理財務ご担当者向けに、スムーズな会計業務をするために役立つ内容をまとめました。
未収入金とは、企業が本業以外の取引において発生した代金のうち、まだ受け取っていない金銭や金額を指します。本業の売上代金が未回収である「売掛金」とは異なり、不動産の売却や保険金の請求、貸付金の返済など、非売上取引から生じる未収代金を管理するための勘定科目です。
例えば、企業が保有していた土地を売却した際、代金の一部が期日までに未払いの場合、その金額は未収入金として計上されます。また、従業員に貸し付けた金額の返済がまだの場合も、同じく未収入金として扱われます。
・非売上取引に基づく
売掛金が本業の売上に基づくのに対し、未収入金は売上以外の取引から発生します。
・貸借対照表の流動資産に分類
一般的に、未収入金は早期に回収されるべき資産として流動資産に計上されます。
具体例
・固定資産(設備や土地など)の売却代金の未回収分
・保険事故により請求した保険金の未収分
・従業員に貸し付けた金額の未返済分

未収入金の仕訳は、取引内容や発生した状況に応じて正確に処理する必要があります。この章では、未収入金が発生したとき、回収したとき、貸倒れたときの仕訳方法を具体例を交えてわかりやすく解説します。
未収入金が発生するのは、固定資産売却や従業員への貸付金など、主に本業以外の取引に関連するケースです。この場合、「未収入金」勘定を使って記録します。
例:企業が設備を1,000万円で売却し、そのうち500万円を現金で受け取り、残りの500万円を翌月受け取る場合。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 現金 | 500万円 | 固定資産 | 1,000万円 |
| 未収入金 | 500万円 |
未収入金を現金や預金で回収した場合、未収入金を減少させ、回収した資金を記録します。
例:翌月、未収入金500万円を現金で回収した場合。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 現金(または預金) | 500万円 | 未収入金 | 500万円 |
未収入金が回収不能(貸倒れ)となった場合は、損失として計上します。貸倒れリスクを考慮した適切な処理が重要です。
例:未収入金500万円が貸倒れとなった場合。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 貸倒損失 | 500万円 | 未収入金 | 500万円 |
正確な勘定科目の使用
未収入金は本業以外の取引に関連する勘定科目です。売掛金や未収収益と混同しないよう注意しましょう。
・定期的な管理
未収入金の回収状況を定期的に確認し、貸倒リスクを早めに特定することが重要です。
・税務上の確認
未収入金が貸倒れた場合、税務上の処理も適切に行う必要があります。
未収入金の会計処理を正確に行うことは、企業の財務状況を適切に反映させるために非常に重要です。しかし、未収入金には特有のリスクや処理上の注意点があります。このセクションでは、未収入金の会計処理を行う際に留意すべきポイントを解説します。
未収入金は本業外の取引から発生する未回収代金を記録する勘定科目です。本業の売上に関連する取引は「売掛金」として分類されるため、勘定科目の選択を誤らないようにしましょう。
未収入金:固定資産売却や保険金請求など、本業外取引
売掛金:商品やサービス販売に基づく取引
未収入金が発生した背景や取引内容を明確に記録することが重要です。具体的な発生源を記録しておくことで、後から発生した取引の詳細を確認しやすくなり、回収漏れや誤処理のリスクを減らすことができます。
未収入金は、売掛金と同様に貸倒れのリスクがあります。そのため、回収の見込みが薄い場合には、早期に貸倒引当金を設定するなどの対応を行うことが求められます。
貸倒引当金の設定例:未収入金の一定割合を見積もり、損失に備える。
未収入金が貸倒れとなった場合、税務上の損金処理を行う必要があります。税務上は、回収不能の事実が確定した場合に損金算入できるため、回収状況や交渉履歴を記録しておくことが重要です。
必要書類:内容証明郵便や督促状のコピー、交渉記録など
未収入金は、回収予定日に基づいて管理を行い、定期的に確認することが欠かせません。長期間未回収の状態が続くと、資金繰りに悪影響を及ぼすだけでなく、財務状況の健全性が低下します。
回収確認のポイント
回収予定日をスケジュール化
未収入金の一覧を作成し、定期的に更新
未収入金の処理に関連する契約書や請求書、証明書類を適切に保管することが重要です。特に税務調査や監査対応の際に、これらの書類が役立ちます。
未収入金の管理は内部統制の一環としても重要です。定期的な監査や担当者間でのダブルチェックを行い、不正や記録漏れを防ぎましょう。
未収入金は、売掛金や未収収益と同じく「未回収の金額」を扱う勘定科目ですが、発生する取引内容や性質が異なります。それぞれの特徴を比較し、違いを明確に解説します。
売掛金は、本業である商品やサービスの販売によって発生した未回収代金を管理する勘定科目です。一方、未収入金は、本業外の取引で発生した未回収代金を管理します。
売掛金の特徴
発生源:商品やサービスの販売取引
分類:本業に関わる債権
例:取引先に商品を販売し、代金の一部が未回収
未収入金の特徴
発生源:不動産の売却や保険金請求など、本業外の取引
分類:本業以外の債権
例:設備を売却し、その代金が未回収
未収収益は、企業がすでに得た収益のうち、まだ受け取っていない金額を管理する勘定科目です。これに対し、未収入金は取引の対価として受け取る金額を管理します。
未収収益の特徴
発生源:利息や家賃、配当金などの収益
分類:収益の認識タイミングによる債権
例:貸付金に対する利息が発生したが、未回収
未収入金の特徴
発生源:固定資産売却代金や従業員貸付金の未回収分
分類:収益ではなく、取引に基づく未回収金
例:不動産売却代金の未回収部分
| 項目 | 売掛金 | 未収入金 | 未収収益 |
|---|---|---|---|
| 発生源 | 本業取引(販売・サービス) | 本業外取引(資産売却など) | 収益の発生(利息・家賃など) |
| 分類 | 債権 | 債権 | 収益 |
| 具体例 | 商品を販売し代金が未回収 | 設備を売却し代金が未回収 | 貸付金の利息が未回収 |
科目の選択ミスを防ぐ
売掛金、未収入金、未収収益は性質が異なるため、取引の内容を明確にし、正しい科目を選択することが重要です。
発生源を正確に記録する
未収入金や未収収益は、発生した原因や背景を具体的に記録しておくと後の管理がスムーズになります。

未収入金の相殺とは、企業が取引先と相互に債権・債務を持つ場合に、それらを差し引きして決済することを指します。相殺を行うことで、現金の移動を伴わずに未収入金の回収を実現することができます。これは、双方の取引関係がある場合に有効な方法であり、資金繰りの効率化にもつながります。
未収入金の相殺は、以下のような状況で用いられることが一般的です。
取引先との支払・受取の調整
取引先に対する未収入金と、同じ取引先への未払金がある場合に相殺を行う。
グループ会社間取引
グループ企業間で未収入金と未払金が発生している場合、決済を簡略化するために相殺する。
例 1: 取引先との相殺
企業Aが取引先Bに対して以下の債権・債務を持っている場合:
未収入金:1,000万円(設備売却代金の未回収分)
未払金:500万円(取引先Bからの仕入代金)
この場合、500万円分を相殺する仕訳は以下のようになります。
| 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
|---|---|---|---|
| 未払金 | 500万円 | 未収入金 | 500万円 |
例 2: グループ会社間の相殺
親会社が子会社に対する貸付金(未収入金)を持ち、同時に子会社への未払金が存在する場合、貸付金と未払金を相殺して清算します。
契約内容の確認
相殺が可能かどうかは契約条件に依存するため、取引契約書に相殺条項が含まれているか確認します。
税務上の影響
相殺による未収入金の消滅が、税務上どのように扱われるかを確認する必要があります。特に、消費税の計算に影響が出る場合があるため注意が必要です。
相殺証明書の作成
相殺を行った場合は、証明書を作成して記録を残します。これにより、後々の監査や税務調査に備えることができます。
グループ内取引の透明性
グループ会社間で相殺を行う場合、適切な価格設定や透明性の確保が求められます。
未収入金の回収は、企業の資金繰りを安定させるために欠かせないプロセスです。しかし、取引先の事情や支払い遅延などで回収が滞ることもあります。このセクションでは、未収入金の効果的な回収方法や、回収が困難な場合の対応方法を詳しく解説します。
未収入金が発生した場合、あらかじめ決めた手順に基づき回収作業を進めることで、スムーズな対応が可能です。
基本的な回収プロセス
・期日が過ぎた場合はリマインドする
支払い期日が過ぎた場合、すぐにリマインドメールや電話で確認します。
・再請求書を送付する
支払いが遅延している理由を確認し、必要に応じて再請求書を送付します。
・直接訪問する
大口取引の場合や支払い意欲が見られない場合は、直接訪問して状況を確認します。
未収入金を適切に管理することで、早期の回収が可能になります。以下のポイントを押さえましょう。
回収予定表の作成する
未収入金の一覧表を作成し、回収予定日や対応状況を可視化します。
定期的なチェックを行う
回収状況を定期的に確認し、未対応の案件がないか監視します。
担当者を決める
未収入金の回収を担当する責任者を決め、対応の進捗を管理します。
回収が困難な場合は、法的手段を検討することも必要です。内容証明郵便の送付や弁護士への相談を行い、適切な対応を取ります。
・内容証明郵便を送付する
支払いの正式な督促を行うため、内容証明郵便を送ります。これにより、法的手続きの準備段階を整えます。
・調停や訴訟を検討する
大きな金額が関わる場合や交渉が難航する場合は、調停や訴訟を視野に入れます。
未収入金が貸倒れとなるリスクを最小限に抑えるため、以下の対策を講じます。
・与信管理の徹底する
取引先の信用調査を定期的に行い、支払い能力を確認します。
・貸倒引当金の設定する
未収入金の一定割合を引き当て金として計上し、貸倒れリスクに備えます。
取引信用保険を活用することで、未収入金の貸倒れリスクをカバーできます。特に大口取引先との契約が多い場合に有効です。
取引先の支払い能力に不安がある場合、信用調査会社の情報を活用することで、未収入金発生のリスクを事前に抑えることができます。
取引先との関係を悪化させないためにも、回収時の対応にはマナーと配慮が必要です。強引な回収ではなく、丁寧なコミュニケーションを心がけましょう。
未収入金は本業外の取引で発生する未回収代金を管理する重要な勘定科目です。本記事では、未収入金の定義や仕訳方法、売掛金や未収収益との違い、会計処理時の注意点、回収・対応方法、相殺の概要について解説しました。
未収入金は、適切な管理や処理を怠ると貸倒れリスクや資金繰りの悪化を招く可能性があります。正確な勘定科目の選択、発生源の記録、回収プロセスの徹底などを心がけることで、企業の財務健全性を維持し、資金管理を効率化することが可能です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。
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