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自社株買いってどういうもの?誰にメリットがあるの?

公開日2019/04/13 更新日2019/04/14
自社株買いってどういうもの?

株式会社とは、自社株を発行して投資家から経営資金を調達し、集めたお金で事業を展開する会社のことです。株式を購入してくれる出資者の存在によって、初めて成立する会社であると言えます。

しかし株式会社は、自社の株式を自ら購入する「自社株買い」を行う場合もあります。経営資金を集めるために発行したはずの株式を、自社で買い取るのです。なぜこのようなことを行うのでしょうか。

今回は、自社株買いとは何か、何のために行うのかについて見ていきましょう。

自社株買いとは?

自社株買いとは、株式を発行した企業が、市場の時価で自ら株式を買い戻すことです。通常の株式売却と異なるのは、買い取った株式を「消却」できるという点にあります。自社株を買うことにより市場で取引される発行済みの株式数を減少させ、その結果、株式1株当たりの価値を上昇させることができるのです。

急成長中の企業であれば設備投資などに資金を積極的に投入することで業績を上げ、株式の市場価値を高めることができるでしょう。しかしある程度成熟した企業だと、そのような方法での価値上昇は望みにくくなり、自社株買い等を実施する方が、市場での評価・株価を高めやすいのです。

自社株買いは株主還元につながる

1株当たりの価値を高めて株価上昇をもたらす自社株買いは、株主の資産価値を上昇させるため、株主に利益を還元する「株主還元」となります。

また、株主還元の代表的なものとして「配当金」がありますが、自社株買いによって発行済み株式数減少すること1株当たりの配当金が上昇するため、この点も株主のメリットと言えるでしょう。

話を分かりやすくするため、会社が持つ100個の饅頭(純利益)を5人の株主で分け合う状況を考えてみます。この場合、株主1人当たりがもらえる饅頭は20個です。しかし、もし会社が株主の1人から株式を買い戻す「自社株買い」を行ったら、株主は4人となり、株主1人がもらえる饅頭は25個へと増えます。自社株買いにより、1人当たりの分け前・配当金が増えるわけです。

自社株買いによる株価上昇効果①

株価収益率(PER)が低くなり、株価に割安感が生じる

自社株買いによる株価上昇の効果を示す指標として、「株価収益率(PER)」があります。株価収益率は「株価÷1株当たりの利益」で計算され、数値が少ないほど株式が割安であることを示す指標です。

例えば、株価が500円、当期純利益100万円、発行済み株式数1万株という状況を想定してみましょう。この場合、1株当たりの利益は、100万円÷1万株=100円となり、株価収益率は、500円÷100円=5倍と計算されます。もし、ここで自社株買いにより発行済み株式数が8000株になったら、1株当たりの利益は、100万円÷8000株=125円。株価収益率は500円÷125円=4倍と低くなるのです。

自社株買いが行われたとき、株価収益率を5倍として計算すると株価は125円×5=625円となります。つまり、元々は500円だった株価が、自社株買いにより625円まで上昇すると期待される=価値が上昇する、というわけです。

自社株買いによる株価上昇効果②

株主資本利益率(ROE)が向上し、株式市場での評価アップにつながる

株主資本利益率(ROE)は株主資本を使ってどれだけ利益を挙げているかを示す指標で、数値が高いほど投資対象としての評価が上昇し、株価アップにつながります。「当期純利益÷株主資本」で計算されるため、自社株買いによって分母である株主資本が減ると、株主資本利益率は上昇するのです。

例えば、当期純利益が100万円、株主資本が1000万円の場合を想定しましょう。この場合、株主資本利益率は「100万円÷1000万円」で10%となりますが、自社株買いによって株主資本が800万円になると「100万円÷800万円」で12.5%へと上昇します。それだけ「投資しがいのある株式」と市場で評価され、株価アップにつながるのです。

購入した自社株をストックオプションとして活用することもできる

自社株買いした株式は通常「消却」されますが、「金庫株」という形で保管することもできます。保管した株式については、株主還元の1つである「ストックオプション」として活用されることが少なくありません。

ストックオプションとは、会社が前もって決めておいた価格で、企業の経営層や従業員が自社株を買える権利を与えることです。もし元々の株価が1株1000円だとして、ストックオプションで200株買える権利を得たとしましょう。その後、企業が成長して株価が1株3,000円まで上昇したとき、ストックオプションの権利を使って1株1,000円で200株買えば、単純計算で40万円の利益を得られるわけです。企業の役員、従業員にストックオプションを認めると、株価が上がれば自分の利益につながるので、企業を成長させようという意欲が高まります。

M&A対策としても行われる自社株買い

企業買収(M&A)の対策として自社株買いが行われることも多いです。自社株買いをして株価を上げると株式が購入しづらくなるので、それだけ買収のリスクを低くできます。また、自社株買いにより自社株の持ち株比率を上げることにより、買収を仕掛ける企業が購入できる株式を減らすこともできるのです。

まとめ

自社株買いは株価、配当金の上昇につながるため、株主への利益還元につながります。株主にとっては、おおむねポジティブに受け止められる行為であると言えるでしょう。

一方で、自社株買いで購入した株式をストックオプションとして活用すれば企業で働く人にとっての利益となり、さらに購入した自社株を消却せずに金庫株として保管することで、敵対的買収を避けることもできます。

企業経営上、様々な目的のもとで行われている自社株買い。ビジネスパーソンとして、基本を押さえておきましょう。

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