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▼この記事を書いた人
松尾 篤人(まつお あつんど)
株式会社アズパートナーズ
取締役 兼 上席執行役員(経営管理部 管掌)
東証マザーズ上場企業にて経理財務や事業再編(営業譲受・MBO等)の業務に従事。2010年に当社入社以降、経理財務を中心に管理部門全体を統括し、営業やシニア事業の責任者兼務を経て、2024年に上場準備責任者として上場を達成。
プライベートでは20年以上、Jリーグ・川崎フロンターレのファン。娘の誕生予定日と会社の上場予定日が重なるも、1週間差でどちらも無事に迎えられたことが人生の中でも特別な出来事。
皆様こんにちは。私は株式会社アズパートナーズの管理部門責任者をしております松尾篤人と申します。最初に当社のご紹介をさせてください。当社はシニア事業と不動産事業の二つの事業を柱として、今年20周年を迎えた会社です。また、2024年4月4日に東証スタンダード市場に上場することができました。
上場準備期間は3年弱。私はその期間において上場準備の責任者をさせていただきました。この期間は本当に苦しかった(笑)。しかし、上場によって会社全体も社員個々の可能性も広がった。今はそんな印象です。
各社、上場準備過程や乗り越えた課題も様々だと思いますが、これから上場準備をされる方やその過程にいらっしゃる方含めて上場準備に関わるすべての方々に当社のひとつの事例が少しでもお役に立てればと思いますので、ぜひ気軽な感じでこれからの文章を御笑覧いただければ幸いです。
「なぜ上場を目指すのですか?」この質問は、上場準備のスタートからずっと様々な方から聞かれ続ける質問です。上場準備は特に社内全体に大きな負荷がかかります。それと同時に社内が大きく変化していきますし、そのプロセスは大変です。ですので、この「上場の目的」を明確にして社内に浸透させておく必要があります。
当社が上場を目指した理由は大きく3つありました。1つ目は「企業文化の維持と発展」、2つ目は「社会的信用と知名度の向上」、そして3つ目は「介護DXを通じた介護業界の変革」です。
当社は「いい仲間といい仕事!」「チャレンジ!」「楽しむ!」といった言葉がよく使われ、社内の風通しもよくサークルみたいな会社だなと感じています。創業代表者の植村の想いやアイデンティティを次世代につなげさらに社会的信用と知名度の向上を得たい。さらに、当社が2017年に開発した「EGAO link」や、これから発展させる介護DXを通じて「介護業界を変えていきたい!」。その想いを実現するために我々は上場を目指しました。
上場準備を進めるためには多くの外部パートナーの存在が不可欠です。その中でもスタート段階からお世話になるのが主幹事証券会社と監査法人です。
当社は上場準備の決断時点において約17年の実績がありました。そのため、できれば可能な限り最短での上場を目指していました。そこで、上場決断時をN-2期(直前々期)とすることを目標にして外部パートナーの選定を意識しました。
主幹事証券会社は、複数の証券会社からプレゼンをお聞きして野村證券さんにお願いすることにしました。理由は、介護業界に精通していると感じることができるプレゼン内容だったことや、野村証券さんの審査は厳しい?(笑)という評判もありましたが、逆にその審査を超えることができればその後の取引所審査もスムーズになるし、当社が今後成長するうえでも自信になるかなと思っていました。
ちなみに余談ですが、野村證券さんとの最初の面談があった当日が当社代表の植村の誕生日でケーキをもってきてくださいました。「主幹事証券会社選定の決め手はあの誕生日ケーキでした」とよく冗談として話題にしています (笑)。
また、監査法人の選定も大手の監査法人含めていくつかの監査法人さんと面談させていただきましたが、 その中で当社は監査法人FRIQさんにお願いすることにしました。当時、FRIQさんは創業してまだ日が浅かったのですが、大手監査法人にて豊富なIPO監査経験がある方々がパートナーとなって結成されていて安心感がありましたし、この最短の上場準備期間で共に成長していくぞという気概を感じることができたのが決め手でした。
結局、様々な外部パートナーの選定もご紹介を含めた人とのご縁と今後一緒に上場プロジェクトを歩めそうだなという人の共感と信頼の部分が大きいと思います。
ここからは少し実務的なお話をさせていただきます。このN-2期(直前々期)での取り組みは、様々な項目の「整備」が中心となると思います。例えば、機関設計(ガバナンス組織体制)、内部管理体制(内部統制、予算管理、労務管理、規程マニュアル)の整備、資本政策の策定などがあります。
機関設計では、監査役・社外取締役はお声がけから承諾していただくまで時間のかかる手続きなので当社は早めに取り組みました。また、内部管理体制では牽制機能や担当者がその業務に集中して取り組めるかといった観点から兼務体制が論点になります。
当時、私がシニア事業と管理部門を兼務していたため、管理監督責任という意味でも管理部門に専念するということでシニア事業の役割を解消することになりました。
また、当社が苦労したのは内部統制整備です。内部統制プロセスにかかわる3点セット(業務記述書、フローチャート、リスクコントロールマトリクス(RCM))の整備は当社の業務を可視化するという意味でも有効だと思いますが、なかなかの時間を要しました。
その他、資本政策の流れでは、社員のインセンティブプランの設計でストックオプション制度や従業員持株会を整備しました。せっかく上場するのであれば、上場時もその後も社員が資産形成に寄与できてさらに頑張って株価を上げようと思える仕組みが大切だなと思います。
この時期はN-2期で整備した内容がしっかり運用されているかという評価と決算短信などの開示資料作成のトライアル、そして、野村證券さんの場合には中間審査が始まります。
審査期間は約4か月あり、書類一式の提出後、質問を文書で受取り、当社では約430ページに渡る回答書を作成し、ヒアリング面談を経て最終審査までに必要な改善項目を抽出してもらうという流れでした。
当社の場合には、審査に入る前の事前資料提出段階でⅠの部・Ⅱの部の作成に苦労しました。また、この時期から提出資料と質問回答書作成の膨大な量と期限の短さに四苦八苦することになります。進捗管理表にて役割分担とスケジュールを確認しながら、日々、進捗率を少しでも変えることで何とかモチベーションを維持していました。
N期(申請期)は上場があと1年と近づき、上場を現実的に意識し始めます。この段階では中間審査で指摘された事項の改善を経て、最終審査、上場申請へと向かっていきます。
当社の中間審査の結果(改善項目)は、決定的に改善できないような項目はありませんでした(他社の場合にはこの段階でストップしてしまうこともあるようです)。それでも、当社においても改善すべき項目は複数多岐にわたり、その改善と運用評価を粛々と進めていきました。
また、この時期では「利益計画の蓋然性」というキーワードが社内に浸透されていきました。従来は、ストレッチした高い目標しか社内にはなかったので、達成可能で合理的に社内外に説明できる利益計画の策定と実行という意識の転換にも苦労しました。この利益計画は今後の予実管理の精度、中期計画、上場前のオファリング価格にも影響を与えますので、まずは確実に利益計画を達成していくという風土がこの時期に社内で醸成されていったと思います。
いよいよ、上場申請から取引所審査、ファイナンス手続き、そして上場へと突き進んでいきます。 この段階になってくると忙しさはピークです。取引所審査、ロードショーの準備、開示書類作成が同時並行で進みながら上場日を迎えます。
この中で、特にファイナンス手続きに伴う公開価格決定は極めて重要です。他社の場合には、公開価格が既存株主から納得されず上場が中止となったり、何とかお願いしてダウンラウンドで上場したりという話も聞きます。当社の場合にはロードショーの結果も踏まえて、適正な公開価格にて納得して進めることができたと思っています。
そして、いよいよ当社の場合も数々の困難を乗り越えて、無事、計画通りに上場日を迎えることができました。
上場日当日は野村證券さんのトレーディングルームを見学させていただいた後、東京証券取引所に関係者が集まってセレモニーが行われました。東証の電光掲示板に当社名の「株式会社アズパートナーズ」が掲載され、鐘を鳴らした時には万感の思いでした。
ちなみに、鐘を鳴らすのは「五穀豊穣」に由来して5回が通例となっていて、当社の場合には代表の植村が一番で、その後、シニア事業部、不動産事業部、経営管理部のメンバーが鳴らし、最後は私が鳴らしました。
「計画通りに上場できた理由は何ですか?」と聞かれることがあります。 逆に上場準備を延期せざるを得ない理由で大きいのは、利益計画の未達とコンプライアンス項目の未改善だともよく言われました。
上場した各社さんにヒアリングすると、様々な困難やドラマがありギリギリまで上場できるかどうかわからなかったという会社さんが多いように思います。ですので、最終的にはやるべきことをただひたすらやりきることしかないと思います。
ただその中でも、上場できた最大の理由は何かと聞かれれば、私は、物事をやりきるための「チームワーク」なのだと思います。これは社内だけでなく社外の協力会社さんとも一緒に心を共にしてやりきる力です。
私は、この困難に満ちた上場プロジェクトを一緒に乗り越えてくださったパートナーの方々に心から感謝しています。
そして今回、当社アズパートナーズは上場することによって新しいステージに立てました。また、多くの方々に当社を知っていただき、ステークホルダーも増え可能性も広がりました。
当社は、これからもやれること、やるべきことはたくさんあると思っていますので、上場を糧にさらに挑戦し成長していきたいと考えています。
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