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現代の企業活動において、契約はビジネスの重要な基盤です。企業が他の企業または個人と何らかの取引をするとき、ほとんどの場合、そこには契約があります。そして、企業活動においては、口約束のみで契約をすることは稀であり、契約書を作成するのが通常です。そのため、契約書を作成し、または契約締結の是非や内容を審査するプロセスである契約審査のプロセスは、法務部門の主要な業務と位置付けられています。
しかし、多くの企業では、契約審査のプロセスを重視する一方で、契約審査の入口である「契約審査受付」のプロセスが軽視されがちです。結果として、不適切な依頼、案件の把握漏れなどにより法務部門の負担が増大し、全体的な業務効率が低下している事例も見られます。
この記事では、契約審査受付のフローが未整備であることの問題点と、これを整備するメリットを考察するとともに、効果的な運用を実現するための具体的な手法やツールについて解説します。
契約審査受付のフローが未整備のままだと、以下のような弊害が生じます。
1. 案件の把握漏れ
依頼がメール、チャットツール、電話、口頭と分散してしまい、法務部門が全体としてどのような案件をどのぐらい受任しているのかや、進行状況を正確に把握することが難しくなります。これにより、案件が放置されるリスクが生じるほか、法務担当者ごとに抱えている案件数や難易度にばらつきが生じることがあります。
2. 依頼内容の不備が発生
依頼元が法務部門への依頼方法を十分に理解せずに依頼することで、契約の内容や背景情報が不足することがあります。この場合、法務担当者側の情報の不足により誤った見立てで契約審査をスタートさせてしまったり、何度も追加の情報を確認したりする必要が生じ、対応の誤りや遅延が発生することがあります。
3. ナレッジの蓄積・共有ができない
受付フローが未整備で、依頼がばらばらなまま放置されていると、案件から得られる知見やノウハウも管理されずに放置されることになりがちです。その結果、過去に似たような案件があるにもかかわらず、その時のナレッジが活かされず、再度無駄なコストをかけて契約審査を行うこととなってしまう可能性があります。
契約審査受付フローを整備することで、法務部門と事業部門双方にとって以下のようなメリットがあります。
1. 業務効率の向上
受付フローが標準化されることで、法務部門は依頼内容を迅速に把握し、スムーズに審査を開始できます。また、依頼の優先順位付けが容易になり、重要な案件への対応が迅速になります。
2. コミュニケーションの改善
標準化された依頼フォーマットを導入することで、事業部門が必要な情報を事前に提供しやすくなります。この結果、法務部門と事業部門間のやり取りが減少し、双方の負担が軽減されます。
3. リスクの軽減
受付内容が一元管理されることで、案件の見落としが防止されるほか、マネージャーが案件の難易度や進捗を把握できるようになることで、契約から生じるリスクを適切に管理できるようになります。
契約審査受付のフロー整備は、例えば以下のような方法で行うことができます。
1. ツールとシステムの活用
(1)メールの活用
契約審査依頼専用の受付アドレスを作成し、契約審査依頼はこのアドレス宛にメールを送る運用に統一します。この方法は導入コストが低く、どの企業でも比較的容易に運用開始することが可能です。
この際、小規模な法務では、案件受付専任の担当者をアサインし、その人のアドレス宛にメールを送る運用も考えられます。しかし、案件の対応漏れや情報の属人化を防ぐ観点からは、契約審査受付用のメーリングリストを作成し、依頼時にはそのメーリングリストを宛先とするかCCに加えてもらう運用の方がより良いと思われます。
(2)チャットツールの活用
最近は、チャットツールがビジネス上広く利用されており、法務への契約審査依頼もチャットツールで行う企業が増えています。この方法は、チャットツールを導入していない企業にとってはコストがかかってしまいますが、既にチャットツールを導入済みの企業にとっては、メールと同様に導入コストが低い方法と言えます。
メールよりも気軽に、素早くやり取りができる点は、チャットツールの大きな魅力です。また、チャットツールのなかにはワークフロー機能があるものもあり、依頼時に法務に連携すべき情報の項目(例えば、取引先、契約類型、納期など)を自由に設定できたり、ワークフローが起動された際の通知先を設定できたりします。さらに、チャットツールの場合、メールとは違って、ツール内の「チャンネル」などと呼ばれる場所に、案件とその後のやり取りが集積されます。蓄積されたやり取りは、日付やキーワードによる検索などで後から参照することも可能です。
(3)専用ツールの活用
いわゆるリーガルテックと呼ばれるサービスも徐々に普及してきています。その中には、契約審査受付についても、専用の機能を提供しているものもあります。導入にあたりコストが発生はしますが、リーガルテックサービスを活用することで、依頼受付から事業部や外部とのやり取りを効率化し、法務部門が契約ライフサイクル全体を効果的に管理できるようになります。
一例として、株式会社LegalOn Technologiesの「LegalOn Cloud」では、契約審査や法務相談を受け付けるための専用機能である「マターマネジメント」が提供されています。この機能では、メールやチャットツールと連携し、そのやりとりや添付ファイルを自動で格納したうえで、契約書のバージョンも管理することができます。また、単に蓄積されたデータを検索できるだけでなく、取引先や契約類型などの情報をベースとし、独自のアルゴリズムで参考となる案件や契約書を提示する機能があり、過去の案件を検索する手間を削減することも可能です。このような機能により、法務に依頼がされてから一時応答が返されるまでの時間が短縮されるなど、法務の生産性向上も行えるものとなっています。
このように、契約審査受付に特化したリーガルテックサービスには、それ相応の大きなメリットがあります。契約審査受付のフローを本格的に整備したいと考える場合には、自社にあったリーガルテックサービスについて情報収集し、導入を検討することをおすすめします。
2. 依頼内容の標準化
契約審査の依頼に対して、法務部門がスムーズに対応できるよう、依頼内容を標準化したフォーマットを作成することが有用です。
一例ですが、フォーマットには以下のような項目を含めると、初動対応が非常に楽になります。
なお、上で述べたメール、チャットツール、専用ツールのいずれを利用する場合であっても、自社の状況にあわせてフォーマットを作成することが重要です。
3. フロー導入と運用プロセスの整備
(1)試験導入
契約審査受付のフローを整備するにあたって、いきなり全社に対してフローの新設や変更を適用させるのは、非常にリスクが高い行為です。事業部門にとって受け入れがたいフローを設けてしまうと、案件の管理がより困難になったり、必要な案件が法務に依頼されなくなったりするなどの弊害が生じる可能性もあります。
そのため、一部の部署で新しいフローを試験的に導入し、課題や不満点を収集したうえで、その結果を基にフローを確定させることが重要です。
(2)マニュアルの整備
事業部門にとって、契約審査の依頼は通常の業務とは異なり、不慣れな場合も多くあります。そのため、契約審査依頼のやり方を解説したマニュアルを整備することは極めて重要です。
マニュアルを整備する際には、(1)で述べた試験導入時のフィードバックを踏まえ、わかりにくいと思われる部分や、法務部門にとって重要な部分(例えば、依頼フォーマットなど)については、特に丁寧に解説することをおすすめします。
(3)全社への展開
フローが確定し、マニュアルの整備を終えたら、これらを全社に向けて展開します。その際、一度アナウンスすれば十分だと考えるのではなく、全社定例や四半期ごとのタイミングなど、定期的に周知を行うことが重要です。また、イントラネットなどに必要な情報を掲載し、事業部門の担当者がいつでも情報を確認できるようにすることも大切です。
(4)継続的な改善
フローを全社に展開した後も、法務の審査体制の変化や、依頼の数や種別の変化に応じてフローを見直し、継続的な改善を行う必要があります。そのためには、契約審査の受付件数、対応完了までの期間、事業部門の満足度などの指標をモニタリングし、フローが適切に機能しているかを確認することが重要です。
契約審査受付フローを整備することは、単なる業務効率化にとどまらず、法務部門が事業部門に提供する価値を高めることにつながる重要な取り組みです。適切なツールの導入や運用体制を確立することで、企業全体のリスク管理能力を強化することもできます。契約審査の入口である「契約審査受付」のプロセスが法務部門にとって重要であることをしっかりと認識したうえで、受付フローの整備・改善に取り組んでいきましょう。 この記事が、法務部門と事業部門のやり取りを効率化し、契約業務の提供価値向上のための一助となれば幸いです。
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