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組織サーベイを「宝の山」に変えるために、人事担当者が知っておくべきこと

公開日2025/03/24 更新日2025/03/24 ブックマーク数
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組織サーベイを「宝の山」に変えるために、人事担当者が知っておくべきこと

次世代リーダー育成をコーチングで支援する、35 CoCreation(サンゴ コ・クリエーション)CEOの桜庭です。

組織の課題を浮き彫りにする「組織サーベイ」は、正しく実施し、結果を活用してこそ課題の改善に繋がるものです。しかし単に結果のデータを鵜呑みにし、対策や改善を当事者任せにしてしまっては、せっかくの「宝の山」をただの石ころに変えてしまいかねません。

本記事では、組織の健康を見極める専門家としての長年の経験から、サーベイ結果を無駄にしないために、人事担当者が注意すべき落とし穴と持つべき視点について解説します。

桜庭 理奈様

▼この記事を書いた人

桜庭 理奈

35 CoCreation合同会社
代表
一般社団法人日本オントロジカル・コーチング協会 代表理事
株式会社メドレー 社外取締役

外資系金融企業での営業・企画推進を経て、人事へキャリアチェンジ。複数の外資系企業において、多国籍な職場環境で戦略的な人事を担当。
2017 年より外資系医療機器メーカーであるGEヘルスケア・ジャパン株式会社の人事本部長、2019年から同社執行役員を務め、JALをはじめ、さまざまな企業と合同で人材フレームワーク創出のパイオニアとして活躍。2020年に35 CoCreation合同会社を創業し、オランダやフランスなどの国際色なコーチ陣と共に、10名規模〜数万人規模の企業まで、経営・組織・リーダーシップ開発コーチング、講演活動を通して、多様なステージにある企業や経営者を支援している。2023年米国の人気書籍「あなたが知らない言葉のチカラ 望む人生の手に入れ方」の日本語訳・監修を勤める。国際コーチング連盟認定PCC 認定コーチなど複数資格を所持。

低い評価のウラに潜むもの

ある企業で、組織サーベイを実施する度に、特定のマネージャーが同じ項目で低いスコアを出していました。「メンバーとマネージャー間の信頼関係があるか」「マネージャーは信頼構築のために努力しているか」といった評価が、毎回著しく低かったのです。

しかし、人事や経営者は、そのスコアを見ただけで「ああ、またこの社員か…」と、その社員についての固定観念を持ち、スコアの原因について深く考えることをしませんでした。「人間関係に難がある人だから」という決めつけで、本人に解決策を講じるよう言いつけたままで放置していたのです。

ご本人と原因について話をすると、自身に何らかの責任があるということは理解されていました。しかし、どうして毎回そのような評価になるのかについて、決定的な原因を把握しているわけではなく、「本当に自分がすべて悪いのか」と一部ではモヤモヤした気持ちを抱えていました。

サーベイ後、重要なのは、数字の奥に隠された真実を探ることです。俯瞰的な視点を持って結果を眺め、固定観念にとらわれず対話をすること。そうしてこそ、これまで見過ごされてきた真実にたどり着けるはずです。

しかし、多くの場合、時間に追われる人事担当者や経営陣は、表面的な数字だけを見て判断してしまいがちです。今回のケースのように、原因について深く話し合えるリソースが社内にないことで、課題の特定がなされず、改善にも繋がらず、最終的にはマネージャーに悪評がついて回るというケースは決して珍しい話ではありません。

部下からの信頼のスコアが低いのは、確かにマネージャーとしての責任かもしれません。しかし、それだけではない可能性もあるのです。もしかしたら、組織全体のコミュニケーション不足や、組織や制度に対する不満など、複合的な要因が絡み合っているのかもしれません。

組織サーベイは、単なる評価ツールではありません。組織の課題を浮き彫りにし、改善への糸口を見つけるための、「対話のきっかけ」であるべきなのです。

負のスパイラルを断ち切るために

今回のケースのように低い評価を受け続けるマネージャーは、周囲から「問題のある人」というレッテルを貼られ、孤立してしまうかもしれません。本人も、改善したいと思いつつも、具体的な解決策が見つからず、苦悩する状況に陥る可能性があります。

しかしさらに厄介なことは、その影響が本人だけでなく、組織全体に悪影響を及ぼすということです。

組織サーベイの結果で繰り返し危険信号が灯っているにも関わらず、会社や組織が有効な対策を講じない場合、社員は「サーベイを実施した意味がない」「会社は何も変えようとしていない」と感じ、不信感を抱きます。

企業によっては、サーベイ結果を社内で共有するケースもあり、そうなるとメンバーのモチベーションやエンゲージメントに悪影響を及ぼす可能性は否定できません。「あの人はやっぱり問題があるんだ」「自分もそう思っていた」といった意見が広まり、人間関係が悪化。せっかくの改善の機会が失われ、組織全体のモチベーション低下に繋がってしまうのです。

このように、組織サーベイの結果が、固定観念や偏見を増幅させ、人間関係を悪化させるケースもたくさん見てきました。組織サーベイは、正しく活用すれば、組織改善のための強力なツールとなります。しかし、使い方を誤ると負の連鎖に陥ってしまう可能性もあるのです。
では、どうすればこの負のスパイラルを断ち切ることができるのでしょうか?

それはデータを鵜呑みにせず、数字の奥にある「なぜ?」を粘り強く追求し、課題を特定して適切な改善策を導くことです。そのためには、対策を現場任せにせず、人事担当者が当事者本人との対話を重ねながら、改善への道筋を伴走することが大切です。「わかったつもり」になっていたことを改めて検証し、深いコミュニケーションをとることでこそ、真の原因と適切な改善策が見えてきます。

対話と成長を促す「コーチング」という解決策

前回の記事で言及した「問いを立てる力」も、今回お話しした「対話力」も、「コーチング」で大切な能力の一つです。

コーチングとは、問題解決の答えは本人に備わっているという考えに基づき、傾聴と対話を重ねながら、本人の目標達成をサポートすることです。コーチは答えを与えるのではなく、本人が課題を解決する方法を生み出せるように導く役割を担います。

組織サーベイにおいても、スコアに問題があった場合には、その部署や従業員本人の中に課題が隠れている可能性が高いです。人事担当者は、サーベイ後に「なぜこのような結果が出たのか?」「従業員が本当に考えていることは何か?」「改善のためには何が必要なのか?」といった問いを立て、現場担当者との質の高い対話を通して真の課題を深掘りしていくことが求められます。本人との対話を重ね、数値の奥にある従業員の感情や考えを理解し、適切な改善策を講じていくことが重要です。

実は、問いを立てたり、本質を問う力は、日本古来の文化にも深く根付いています。禅問答のような、深い洞察を促す問いかけは、まさにその好例と言えるでしょう。しかし現代において、こうしたスキルを他人から体系的に教わる機会は、ほとんどありません。

こうした感覚を取り戻すためには、体系的なトレーニングと実践的な経験を積む必要があります。会社としてコーチング研修に投資するのも一手でしょう。傾聴力や質問力、対話する上での心構えなどをインプットすることで、社員一人ひとりの潜在的なコーチング能力を引き出し、組織全体のコミュニケーション能力を高めることが期待できます。

組織サーベイは、使い方次第で組織を大きく成長させるための羅針盤となります。しかし、その結果を最大限に活かすためには、人事担当者そして組織全体が組織サーベイを「成長の機会」として捉え、全社で取り組むことが何よりも大切です。


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