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AI(人工知能)の進化は、企業の業務プロセスに革命をもたらしています。中でも、人事・総務・経理といった管理部門では、業務の効率化や意思決定の高度化を目的に、AI技術の導入が加速度的に進んでいます。
しかし、AIは単なる業務効率化ツールにとどまらず、活用のあり方によっては企業の信頼やコンプライアンスに直結するリスクもはらんでいます。本記事では、管理部門におけるAI活用の現状と、それに伴う法的・倫理的課題、そして今後求められるガバナンス体制について解説します。
▼この記事を書いた人
松葉 治朗
jinjer株式会社
CPO / ジンジャー人事DX総研 所長
2014年に新卒入社したベンチャー企業で、新規事業の企画、営業、管理など幅広い業務に従事。
2015年9月に大手人材企業に転職し、クラウド型人事労務システム「ジンジャー」の立ち上げに参画。
現在は最高プロダクト責任者として、統合型データベースを軸としたHRコンパウンドサービスのプロダクト戦略の立案と実行を行いながら、ジンジャー人事DX総研(旧:jinjer HR Tech総研)の所長として、人事DXに関する様々な発信をおこなっている。
これまでAIといえば、製造業やマーケティング領域での活用が注目されてきましたが、最近では人事労務、経費精算、契約書管理に至るまで、管理部門の定型業務にもAIの活用が進んでいます。
たとえば、弊社が公開した調査(※1)では、企業の約34%が「人事労務業務においてAIを利用している」と回答しました。
また、AIを利用する目的としては「メールや報告書など文書作成業務の効率化」「文章の添削」「企画時のアイデア出し」など、多岐にわたる用途が挙げられました。
これにより、時間のかかる作業の自動化や、人の手では困難だった大量データの解析が可能になります。特に、離職予測やエンゲージメント分析、ダイバーシティ評価といった「予測型の意思決定」が求められる領域において、大きな効果が期待されています。
これまで属人化しがちだった業務や定型業務も、より迅速かつ精度高く実行できるようになっていると言えるでしょう。
AIの活用が進む一方で、その利用には個人情報の取り扱いや意思決定の公正性といったリスクも存在します。国内外の法整備も進みつつあり、企業はこれらに対応した運用体制を整える必要があります。
たとえば日本では、2022年の個人情報保護法の改正(※2)によって、データの取得・利用目的の明示義務が強化されました。欧州でもGDPR(一般データ保護規則※3)が厳格に適用され、AIによる自動的な意思決定に対する説明責任が求められています。このように、AI活用に関する法規制は日本国内に限らず、国際的にも強化が進められている状況です。
さらに注目すべきは、アルゴリズムのバイアス問題です。AIは過去のデータを学習して判断を下しますが、学習データに偏りがあると、性別・年齢・人種などにおいて不公平な結果を導き出す恐れがあります。とくに人事や評価領域でのAI活用においては、こうした「見えない差別」をいかに防ぐかが企業の倫理として問われる時代になってくることが予測できます。
AIを業務に取り入れる際、どのようなAIを選定するかだけでは不十分だと言えます。 具体的に「どのように使うか」、「どの範囲まで使うか」、「どのような影響を及ぼすか」を見極め、企業として管理していくことが不可欠です。そしてその責任の一端は、管理部門が担っていると考えています。
まず必要なのは、「AI活用に関する社内ガイドラインの整備」です。
AIを利用する目的・範囲・制限を明文化し、社員が安心して利用できるルールを作ることが第一歩となります。
2つ目に必要なのは、「アルゴリズムの監査体制」です。
定期的にAIの出す判断ロジックをレビューし、不当な偏りや差別が含まれていないかを確認するプロセスを設ける必要があります。最近では「AI倫理委員会」の設置や、社外有識者のアドバイザーを取り入れる企業も出てきています。
またその際、AIから生成した情報や判断に対しても、最終的な意思決定は人間が責任を持つという「ヒューマン・イン・ザ・ループ(HITL)※4」の原則を忘れてはなりません。便利さの裏側にあるリスクを常に意識し、判断に「説明責任」を持てる体制こそが、今後の管理部門に求められることであると考えています。
いま、企業に求められているのは、AI活用を“止める”ことではなく、“正しく使いこなす”ことです。そのためには、技術リテラシーの向上とともに、倫理的観点からの運用基準を自ら定義・監督する力が求められます。
具体的には、以下のような視点が注目されています。
管理部門は、こうした問いを“経営目線”で投げかけ、全社のAI活用の品質と信頼性を担保するリーダー的存在となるべきです。
AIがもたらす業務効率化の恩恵は確かに大きいです。しかし、それは企業にとってリスクと隣り合わせでもあります。とりわけ、個人情報や意思決定に深く関わる管理部門にとって、「技術と倫理のバランス」をいかに取るかは、今後の最重要課題の一つです。
AIはもはや一部の専門職だけのものではなく、すべてのビジネスパーソンが向き合うべき「共存するパートナー」となりつつあります。その活用を支え、統制を担う管理部門の役割は、今後さらに存在感を増していくことでしょう。
※参考:
※1:jinjer Blog「人事労務業務の生成AI利用に関する実態調査」
※2:個人情報保護委員会「令和2年改正個人情報保護法 特集」
※3:個人情報保護委員会「EU(外国制度)GDPR(General Data Protection Regulation:一般データ保護規則)」
※4:SIGNATE Cloud「ヒューマン・イン・ザ・ループ(HITL)とは?AI開発で重要な理由、メリット」
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