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今回は、株式会社VRAIN Solutionで取締役コーポレート部部長を務める菊地 佳宏氏に、キャリアの中でのターニングポイント、仕事に対する価値観、現職の事業及び組織の魅力を伺いました。経営管理の領域で活躍する菊地氏の考えに触れることで、キャリア形成のヒントを得て頂ければ幸いです。
菊地 佳宏(きくち よしひろ)
株式会社VRAIN Solution
取締役コーポレート部部長
東京証券取引所 グロース市場(2025年4月時点)
早稲田大学商学部卒業。
みずほ銀行で営業として融資及びM&A等のソリューション業務を経験した後、2021年に株式会社VRAIN Solutionの管理部門に入社。現在は取締役コーポレート部部長として活躍。
ーー最初にこれまでのご経歴を教えていただけますか?
早稲田大学卒業後、みずほ銀行に就職し、その後現職のVRAIN Solutionに転職しています。
実は新卒で就職活動をしている当時から、ゆくゆくは事業会社で経営に関わるキャリアを考えていました。ただ、新卒で事業会社に就職する場合、総合職採用が一般的で配属先を選べないので、経営に関わることを目指した場合、遠回りになるのではないかと考えました。そこで、金融機関であれば多くの経営者とのつながりを構築できるし、経営者の考えを吸収できると思い、銀行を選びました。
当時は3〜4年程度、銀行で経験を積み、そこから憧れていたスタートアップやIPO準備企業に転職したいと考えていたんです。実際には、ちょうど転職を想定していたタイミングで大阪転勤になったこともあり、銀行で12年ほど勤めたので、予定よりも長く金融経験を積むことができました。
銀行でのキャリアの終盤は、東京に戻り働いていたのですが、銀行業務の中でも「有望なスタートアップを発掘してこい」というミッションを与えられたので、期せずしてスタートアップを仕事として開拓することになりました。仕事を兼ねて転職先を探している状態でした(笑)
ーー銀行の立場でスタートアップベンチャーに関われるのは、内情が把握できますし、経営者とも対等にコミュニケーションが取れるので良いですね!その流れで、現職とも巡り合ったのでしょうか?
VRAIN Solutionの代表を務める南塲とは、弊社を創業する前から付き合いがありました。私は銀行側の担当として、南塲は営業支援として共通の企業に関わっていたことがあり、しばらくして南塲からVRAIN Solutionを立ち上げるために銀行口座を作ってほしいと、私に依頼をもらいました。
銀行の担当者として南場と仕事をする中で、人が関わることを前提とした製造工程をAIで自動化したいという強い想いに共感しました。また、このビジネスを通じて、高品質で世界に認められてきた「日本のものづくり」を未来に受け継ぎたいという想いに私も共鳴し、2021年にVRAIN Solutionに転職しました。
ーー転職というよりは、伴走していた企業に参画したんですね。お互いに理解してマッチングするのは、理想的ですね。
そうですね。私の父も中小企業の経営をしましたが、常に経営課題の一つに人材確保がありました。実際に、コロナ禍では人手不足で生産が成り立たなくなることも経験していて、この問題はこれから更に悪化していくと感じていました。
この課題を常々感じていたこともあり、南塲が解決しようとしている社会課題と実際に提供しているサービスの価値が他人ごとではなく感じられました。自分自身が解決したい課題だと思っていた領域に挑戦できる企業で、IPO準備中ということで、入社するタイミングも非常に良いと考えてVRAIN Solutionに転職する決断をしました。
ーー事業に強く共感できたのですね。南塲社長にはどのような印象を持っていましたか?
やりきる拘りが強い人間と感じていました。
南場は新卒でキーエンス、その後、エムスリーを経て起業しました。創業当初から「VRAIN Solutionをグローバルに事業展開する企業にする」という明確なビジョンを掲げ、最短でIPOを実現し、事業を拡大していくことを目標にしていました。そして実際に、創業から約4年でのIPOを達成しています。
その「やりきる」という覚悟に、経営者としての大きな魅力を感じました。
ーー現職ではどのような経験を積んでいますか?
入社当初は特に肩書がなく、CFOも別の者が担っていました。 当時のCFOとともにIPO準備を任されて、管理部門を中心に営業と開発以外のあらゆる業務に関わりながら、IPOに向けた体制を構築することが主な業務でした。
銀行時代は融資担当だったので、管理系の業務やIPO準備の経験はありませんでしたが、スタートアップを担当し、単なる融資にとどまらず経営を総合的にサポートする意識を持って関わっていたことが役立ちました。そのおかげで、IPO準備の仕組みも理解しており、スムーズに対応できたと思います。
その後、取締役として管理部門全体を管掌する立場になり、上場を達成しました。現在の最大ミッションは事業価値の拡大です。特にIRの観点から、いかに自社を知っていただくかが、今後の課題だと思っています。
また事業拡大と価値向上を図るうえで、更に上を目指すことも検討事項かと思います。 ステークホルダーへの貢献はもちろん、社会課題の解決にもつながるため、南場のビジョンを達成したいと考えています。
ーー改めて貴社の事業について教えていただけますか?
弊社が現在提供しているソリューションは、品質検査を自動化するAIシステムと工場内の幅広い自動化課題に対応するコンサルティングです。
多くの企業では、不良品の検出を依然として人の目で行っていますが、弊社のソリューションはこれをAIで判定し、検査工程の効率化と精度向上を実現します。
AIを活用した品質検査プロダクトは他社からも提供されていますが、多くは自社のプロダクトの提供にとどまります。一方、弊社のソリューションは、お客様の生産現場のラインに入り込み、仕様検証から稼働までを包括的にサポートする「ワンストップサービス」を提供している点が特徴です。
企業が検査の自動化を検討する場合、AIだけでなく、カメラや照明といった周辺機器の選定や、不良品をライン外に排出する仕組みの構築も必要になります。そのため、導入企業は複数の関係者と調整を行う必要があり、このプロセスが大きな負担となっています。 最悪の場合、関係者の調整が上手くいかず、自動化が実現できないままプロジェクトがとん挫することもあります。
そこで弊社は、自動化をワンストップで提供することが最善策だと考えています。 プロジェクトの企画段階からAIプロダクト、カメラ、生産ラインの装置までを構築し、導入企業の負担を最小限に抑える仕組みを整えています。弊社が中心となり、自動化を実現するところまで伴走します。
少子高齢化の影響で製造現場の人材確保が難しくなる中、多くの企業にとっての目的は「AIの導入」ではなく、「自動化の実現」です。私たちは、企業ごとのニーズに応じた最適なソリューションを提供し、自動化を実現します。
ーーワンストップのサービスというのは、導入企業には非常に心強いですね。貴社のAIプロダクト自体の特徴もあれば教えてください。
AI検査とルールベース検査の併用ができ、検査内容に合わせて最適な検査方式を選べるようにしています。ルールベースと言われるものは従来からある技術で、色の濃淡差を基に判定します。たとえば、白い紙の上に黒い点があると、色の変化が認識され、NGと判定します。この方式は、色の変化が色の変化が明確な対象に対して高い精度を発揮しますが、形が異なっていても色が似ている場合、誤判定が発生することがあります。
一方で、AI検査での判定方式は、形や色など複数の要素を組み合わせた判断が可能で、より高い精度を実現します。たとえば、ルールベース検査では判定精度が95%までしか向上しないケースでも、AI検査なら98%まで向上することがあります。わずか3%の違いと思うかもしれませんが、製造業においてはこの精度の差が業績に大きく影響します。 弊社は導入企業に寄り添い、どの方式が最適かを見極め、最適な検査方法を提案します。
ーー事業とは別の観点で、組織の魅力は何だと考えていますか?
成長フェーズにあり、環境の変化に富んでいることですね。
管理部門は会社自体が成長・変化しているタイミングでないと、毎年同じことの繰り返しになりがちです。事業の拡大や営業所の増加といった変化があるからこそ、状況に応じた管理体制の構築や新たな課題への対応を経験できるのだと思います。会社が成長に伴い新たな組織が増えますので、従来のルールでは対応できない場面も増えてきます。会社のフェーズに合ったルールを作り上げ、それを全社に浸透させる経験を積むことができます。自ら作った仕組みで会社を動かせるやりがいを感じることができます。
また、成長・変化の中で、新たな仕事や役割にチャレンジできるので、キャリアアップにも最適だと思います。特定の業務だけをやるというよりは、スキルや経験をさらに高め、責任のある仕事にチャレンジしたい方におすすめです。自然発生的にさまざまな業務が発生するので、多くの挑戦機会があると思います。
そのため、成長意欲のある方には、やりがいを感じていただける環境だと思います。会社の勢いに乗って、自発的に改善提案し、会社の成長を後押ししてくれる方と一緒に働きたいと思っています。
ーーManegy読者の方が、直ぐに取り組めることとして、CFOの皆さんにおすすめの書籍を伺っています。何かございますでしょうか?
三菱UFJフィナンシャルグループやニコンでCFOを務める徳成氏が執筆した「CFO思考」をおすすめします。本書では、CFOは単なる金庫番ではなく、経営の一翼を担い、事業拡大のために適切なリスクを取ることの重要性が説かれています。また、IRを通じて企業の姿を投資家に伝え、企業価値の向上に貢献する役割についても詳しく解説されています。CFOとしての視点や考え方を学ぶうえで、非常に参考になる一冊です。
ーー貴重なお話をありがとうございました。グローバルな事業展開を目指される株式会社VRAIN Solutionでのますますのご活躍を楽しみにしています。
インタビュアー
清水 悠太(しみず ゆうた)/ 株式会社MS-Japan マーケティングDivision / 執行役員
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