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賃上げと人材確保時代に求められる管理部門の新たな役割

公開日2025/05/08 更新日2025/05/07 ブックマーク数
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賃上げと人材確保時代に求められる管理部門の新たな役割

物価上昇と人材不足が続くなか、多くの企業が賃上げに踏み切っています。
その背景には、物価高が続くなかでの生活支援に加え、優秀な人材の確保・定着という切実な経営課題が背景にあります。
賃金は企業のブランド力を示す指標でもあり、その設計と運用には慎重かつ戦略的な判断が求められるようになっています。

当社が行った調査(※1)でも、2024年に実施した人事施策で最も注力した施策として、多くの企業が評価制度や報酬体系の見直しに着手しており、これまで以上にタレントマネジメントを経営戦略の一環として位置づける動きが強まっています。
こうした中で注目されるのが、管理部門の役割です

▼この記事を書いた人

松葉 治朗
jinjer株式会社
CPO / ジンジャー人事DX総研 所長

2014年に新卒入社したベンチャー企業で、新規事業の企画、営業、管理など幅広い業務に従事。
2015年9月に大手人材企業に転職し、クラウド型人事労務システム「ジンジャー」の立ち上げに参画。
現在は最高プロダクト責任者として、統合型データベースを軸としたHRコンパウンドサービスのプロダクト戦略の立案と実行を行いながら、ジンジャー人事DX総研(旧:jinjer HR Tech総研)の所長として、人事DXに関する様々な発信をおこなっている。

1.法改正に対応する、実務・制度設計力の強化が必須に

最低賃金の引き上げや、月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率の見直し(※2)など、賃金に関連する法改正が立て続けに行われています。
これにより、企業は法改正に即した迅速な制度対応と、コンプライアンスの徹底が求められています。
とくに、就業規則や賃金規程などのアップデートには、管理部門が中心的な役割を担う必要があります。

また、法への対応にとどまらず、賃上げが企業に与える財務的影響の可視化や、将来的な人件費のシミュレーションも不可欠です。
人事と経理が連携し、柔軟かつ実行可能な施策に落とし込む力が、これまで以上に求められています。

2.公平性と納得感を両立する賃金制度設計

賃上げが進む一方で、課題となるのが「社員の納得感」です。
単に給与を引き上げるだけでは、持続的なエンゲージメント向上にはつながりません。
むしろ、賃上げが一部の社員のみに限定された場合、不満や誤解を生むリスクすらあります。

そこで重要になるのが、透明性のある評価制度と、誰もが理解できる報酬設計です。
例えば、役割・成果・能力といった多面的な指標をベースにした等級制度や、キャリア形成に寄り添う中長期的な成長モデルを示すことで、社員一人ひとりが将来の自分に期待を持てる制度設計が求められます。

評価や賃金に関するコミュニケーションも重要です。
管理部門は、給与改定の背景やルール、将来的な展望などを分かりやすく社員に伝える役割を担うことで、不信感の払拭と、組織としての納得感の醸成を図る必要があります。

3.管理部門の役割は「守り」から「攻め」へ

これまでも管理部門は、法令遵守やコスト管理といった“守り”の役割を担ってきました。
しかし、これからの時代には、人材戦略と経営資源の最適化という視点を持った“攻め”の役割が求められるでしょう。

たとえば、業務の効率化を図るためのBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)活用や、タレントマネジメントシステムの導入による、スキル・評価・配置履歴に基づいたデータドリブンな人材分析は、従来の管理部門の枠を超えた取り組みだと言えます。
これらは単なるコスト削減ではなく、より価値ある業務にリソースを集中させるための戦略的判断であると言えます。

また、従業員の声を制度設計に取り入れたり、現場との対話を通じてリアルな課題を吸い上げたりする“社内コンサルタント”としての役割も強まっていくでしょう。
単なる制度運用にとどまらず、社員と経営の双方が納得できる着地点を導き出す“調整力”が、今後の管理部門には不可欠です。

4.まとめ:いま管理部門に求められる視点とは

賃上げと人材確保が企業課題となる今、管理部門の果たすべき役割は大きく変化しています。
コストと人材、制度と現場、法令と戦略、それぞれのバランスを取りながら、経営に資する意思決定に必要な情報を可視化し、持続的な人材戦略を支える“企業の頭脳”としての役割が、いま管理部門に求められています。

賃金制度の透明化と評価の公正化を通じて、社員のエンゲージメントを高めながら、人材定着と採用競争力を両立させる。
今こそ管理部門が企業の「土台」から「成長エンジン」へと進化するタイミングではないでしょうか。

※1
jinjerBlog「2025年度取り組み予定の人事施策に関する実態調査」
※2
厚生労働省「月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます」


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