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少額減価償却資産の特例とは? 明細の書き方や仕訳方法などをわかりやすく解説!

公開日2025/07/16 更新日2025/07/15 ブックマーク数
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少額減価償却資産の特例とは? 明細の書き方や仕訳方法などをわかりやすく解説!

通常、減価償却とは、固定資産の取得費用を、その資産の耐用年数に応じて各会計期間に分割して費用計上していく手続きです。
しかし、一定の条件を満たす場合には、資産を取得した当年度に一括で経費として処理できる制度があります。

本記事では、この「少額減価償却資産の特例」について、制度の概要や対象となる事業者、適用の条件、具体的な会計処理の方法などを解説します。

[ 目次 ]

「少額減価償却資産の特例」とは?

まずは、制度の概要や仕組み、通常の減価償却との違い、金額ごとの会計処理のポイントについて説明します。

制度の概要と仕組み

少額減価償却資産の特例とは、正式名称を「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」といいます。
この制度は、30万円未満の資産を購入した年度に全額経費として計上できるという、中小企業や個人事業主にとって非常に有利な制度です。

通常の減価償却では、例えば25万円のパソコンを購入した場合、耐用年数4年にわたって毎年約6.25万円ずつ経費として計上します。
しかし、この特例を適用すれば、購入した年度に25万円全額を経費として計上できるため、大きな節税効果が期待できます。

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参考:中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例|国税庁

金額基準による処理方法の違い

固定資産の会計処理は、取得価額によって以下のように分けられます。

取得価額 会計処理方法
10万円未満 即時経費化
10万円以上
20万円未満
一括償却資産として
3年均等償却を選択可能
20万円以上
30万円未満
少額減価償却資産の特例を適用で、
即時経費化が可能
30万円以上 通常の減価償却

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「少額減価償却資産の特例」の適用条件と限度額

少額減価償却資産の特例を適用するには、事業者の規模や申告区分など、いくつかの条件を満たす必要があります。

対象となる事業者

この特例を適用するためには、以下の条件をすべて満たす必要があります。

法人の場合

中小企業者等であること、常時使用する従業員数が500人以下であること、青色申告法人であることが条件となります。
ただし、特定法人(資本金1億円超の大法人の子会社など)については、従業員数300人以下という条件があります。

個人事業主の場合

青色申告をしていることが必要です。
白色申告では適用できませんので、注意が必要です。

年間限度額と計算方法

この特例には、1件あたり30万円未満という制限に加えて、年間合計300万円までという限度額があります。

事業年度が1年未満の場合は、月割り計算となります。
例えば、事業年度が6ヶ月の場合の計算は以下のようになります。

限度額 = 300万円 × (事業月数 ÷ 12ヶ月)

例:事業年度6ヶ月の場合 = 300万円 × (6 ÷ 12)= 150万円

適用期限

現在の適用期限は2026年3月31日までとなっています。(2025年7月時点)
この制度は2006年に開始されて以降、2年ごとに延長されており、今後も延長される可能性が高いと考えられます。

税務申告の必要書類

法人の場合、「少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例に関する明細書」の添付が必須です。
さらに、「事業年度分の適用額明細書」も合わせて提出する必要があります。

また、法人税申告書には以下の内容を記載します。

  • 少額減価償却資産の合計取得価額
  • 租税特別措置法第28条の2の適用を受ける旨
  • 明細書を別途保管している旨

これらの記載を忘れると、特例の適用を受けられない可能性があるため、注意が必要です。

参考:「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例制度」を適用する場合の明細書の添付について|国税庁

特例適用時の仕訳処理

少額減価償却資産の特例を適用する場合の、具体的な仕訳方法や会計処理の選択肢について解説します。

基本的な仕訳方法

少額減価償却資産の特例を適用する際の仕訳には、主に2つの方法があります。

方法1:資産計上後に費用振替

購入時に「固定資産」として計上し、決算時に特例を適用して費用(減価償却費)に振り替える方法です。
資産として一度計上したうえで「減価償却費」として費用化するため、帳簿の整合性が保たれやすく、後からの確認もしやすいメリットがあります。

購入時:

借方 貸方
工具器具備品 250,000円 普通預金 250,000円

決算時:

借方 貸方
減価償却費 250,000円 工具器具備品 250,000円

方法2:直接費用計上

購入時から「消耗品費」などの科目で直接費用として処理する方法です。
この方法でも、金額・条件が特例の範囲内であれば問題ありませんが、処理方法が混在すると帳簿管理が煩雑になるため、企業内で方針を定めておくことが望ましいです。

購入時:

借方 貸方
消耗品費 250,000円 普通預金 250,000円

どちらの方法でも問題ありませんが、会社の経理規程や会計ソフトの設定に合わせて選択してください。

会計ソフトでの処理

多くの会計ソフトでは、固定資産管理機能で「固定資産管理」→「新規作成」→「償却区分」で「即時償却」を選択することで、自動的に処理されます。
会計ソフトの操作方法については、各ソフトのマニュアルを確認してください。

償却資産税への影響

償却資産税の対象・非対象

少額減価償却資産の特例を適用した資産は、償却資産税の対象となります。
これは、10万円未満の資産や一括償却資産(10万円以上20万円未満)が償却資産税の対象外となるのと対照的です。

免税点と申告

年度内の償却資産評価額が150万円未満であれば免税となり、納税の必要はありません。
しかし、150万円以上の場合は、申告書の提出と納税が必要となります。

償却資産税の申告は毎年1月31日までに行う必要があるため、該当する企業は忘れずに手続きを行ってください。

「少額減価償却資産の特例」の注意点

消費税の取扱いについて

30万円未満の判定は、消費税の経理方式によって異なります。
税込経理の場合は税込金額で、税抜経理の場合は税抜金額で判定します。

この点を間違えると、特例の適用可否が変わってしまうため、十分注意が必要です。

申告書類の不備について

明細書の添付が必須であり、決算書への記載も必要です。
書類の不備があると、特例の適用を受けられない可能性があります。

年間限度額の管理について

複数の資産を購入する際は、合計金額が300万円以内であることを確認する必要があります。
限度額を超えた分については、通常の減価償却となります。

税務調査での指摘を避けるために

税務調査で指摘を受けないためには、正確な取得価額の把握、必要書類の完備、そして不明な点がある場合は会計士や税理士への相談が重要です。
特に、中古資産の取得価額や付随費用の取扱いなど、判断に迷う場合は、事前に専門家に相談することをお勧めします。

まとめ

少額減価償却資産の特例は、30万円未満の資産を年間300万円まで即時経費化できる中小企業にとって非常に有効な節税制度です。

制度を効果的に活用するためには、青色申告が前提条件となることを理解し、消費税の経理方式による判定基準の違いに注意することが重要です。
また、適切な申告書類の準備を行い、償却資産税の対象になることも考慮して運用する必要があります。

制度を正しく理解し、適切な手続きを行うことで、大きな節税効果を得ることができます。
ただし、税務処理には専門的な知識が必要な場合も多いため、不明な点については税理士等の専門家に相談することをお勧めします。

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