40代法務職の転職市場は？求められるスキルや経験、転職成功のポイントを解説

40代法務職が転職を検討する場合、転職市場ではどのような選択肢があるのでしょうか。
「年齢を理由に応募できる求人が限られるのではないか」
「即戦力として高いスキルが求められるのではないか」
「年収は維持できるのか」
など、不安を感じることがあるかもしれません。

まずは転職市場の動向や企業のニーズを理解し、自身にマッチした求人を選択することが大切です。
40代法務に求められるスキルや年収相場、転職成功のポイントを詳しく見ていきましょう。

法務の転職市場動向

転職を検討する際の情報として、法務のニーズや求人傾向など、転職市場の動向を整理します。

法務のニーズは年々増加

企業法務のニーズは年々高まっており、転職市場でも法務人材への注目が続いています。
背景には、事業環境の複雑化とコンプライアンスの強化があり、契約審査、社内規程の整備、M&A関連業務など、法務の役割はますます拡大しています。

法改正の頻度も増えており、専門知識を備えた法務人材は社内の意思決定を支える存在として求められやすい状況です。

加えて、SNSを通じた情報拡散のスピードが早まるなか、リスク管理体制の構築が不可欠となり、法務部門の存在感が増しています。

中小企業やベンチャー企業でもニーズが増加

従来は大手企業を中心に法務のニーズが集中していましたが、近年では中小企業やベンチャー企業でも法務体制の整備が進みつつあります。

特にIPO準備中の企業では、内部統制や上場準備の一環として、法務専任者の採用が急がれる傾向です。
少人数の体制で幅広い業務に対応できる法務人材は評価されやすく、経験を活かせる環境が整っていることも多いです。

企業側は採用難

法務職は専門性が高く、実務経験者の数が少ないことから、企業側は人材の確保に苦戦しています。

特定分野に強みを持つ人材や実務経験豊富な人材は、特に採用競争が激しく、転職者にとっては売り手市場が続いている状況です。

年齢が上がるごとに、企業は即戦力を重視する傾向にあるため、実務経験があれば転職の選択肢は広がりやすいでしょう。

40代法務のニーズは？

40代の法務職に対するニーズは、即戦力を前提としたものが中心です。
実務経験が豊富で、自律的に業務を進められる人材は、管理部門の中でも需要が高い存在です。

法務の仕事は専門性が高く、法令の知識に加えて、ビジネスの流れを理解し状況に応じた判断ができる柔軟な対応力も求められます。
そうした複雑な調整や判断を任せられる40代の法務経験者は、企業から高く評価されるでしょう。

一方、40代で未経験職種へのキャリアチェンジを目指す場合、転職難易度は非常に高いとされています。
なかでも法務は、求められる専門性や知識、資格の点で、40代の未経験者が採用されるケースはほとんどありません。
40代で初めて法務に挑戦する場合は、他業務との兼務で一部の法務に携わる形が現実的です。
比較的小規模な企業でも、事業拡大の過程や業種によって、社内に法務担当者を必要とするケースがあります。
その場合、法務の業務量は比較的少ないため、総務や人事、その他の管理部門業務と兼務で法務に携わる機会が発生します。

40代法務が高年収を目指すには

40代法務が高年収を目指すには、以下のようなキャリアを意識することが有効です。

管理職に就く

法務部長やコンプライアンス責任者など、管理職に就くことで年収アップが期待されます。
経営視点を持ち、社内のリスク管理を担う立場になれば、より高い報酬が見込めるでしょう。

特定の業界で働く

金融機関やメーカーなど、法務の専門性が特に求められる業界では、年収水準が相対的に高い傾向があります。
金融業界では金融商品取引法、メーカーでは知的財産の管理など、専門知識を活かせる分野で評価されやすいでしょう。

大手企業や外資系企業への転職

大手企業は資金力があり、法務職の給与水準も安定していることが一般的です。
また、外資系企業では実力に応じた報酬が得られるため、国際法務のスキルや英語力があれば高収入を狙えます。

ベンチャー企業の法務立ち上げに関与する

法務部門の整備が進んでいないベンチャー企業では、法務の立ち上げに関与することで、高待遇が期待されます。
企業の成長に直接関与できるポジションであるため、やりがいとともに高収入も得やすくなります。

40代法務が転職時に求められるスキル

40代の法務は転職時にどのようなスキルを求められるのでしょうか。
多くの職種で必要とされる40代のスキルは、法務職においても例外ではないようです。

マネジメントスキル

企業内で中核的な役割を担う40代にとって、マネジメントスキルが重要であることは法務職でも同様です。
部門の統括や若手の育成、組織の運営に関与した経験があれば、採用担当者の評価につながりやすいでしょう。

プロジェクトの進行管理やリスクマネジメントも含め、全体の業務が円滑に進むように調整する能力が求められます。
法務は専門性の高い部門のため、部員の知識レベルを把握し、それぞれの強みを活かすマネジメントが期待されるでしょう。

業界知識

即戦力が期待される40代法務は、業界知識を持っていると、より高く評価される可能性があります。
企業法務では、業界ごとの規制や関連法を理解し、適切に対応できることが重要です。

金融業界では金融商品取引法や銀行法、製造業では製造物責任法や環境関連の法令など、業界固有の法令を理解していることが求められます。
業界の動向や最新の法改正を把握し、企業の事業活動を円滑に進めるための視点を持つことが求められるでしょう。

柔軟性

法務職の仕事は、常に法律や規制の変化に対応しながら進める必要があります。
企業の経営戦略や市場環境が変化する中で、状況に応じた柔軟な判断ができる人材が求められます。

法務担当者は単に法令を遵守するだけでなく、経営層や他部門と連携しながら現実的な解決策を提示する役割を担うことが少なくありません。
状況に応じて適切な対応を取り、調整役としての働きができる法務人材は、転職市場で優位に立ちやすいです。

英語スキル

グローバル化が進む中で、英語スキルを持つ法務人材の需要は高まっています。
外資系企業はもちろん、海外展開を進める日系企業でも、英文契約書のレビューや国際的な法規制への対応が求められる場面が増えています。

特に英文契約の作成や交渉に関わった経験があれば、転職活動で大きな強みとなるでしょう。
TOEICのスコアや海外案件の実務経験をアピールすると、採用担当者の目に留まりやすくなります。

40代法務が転職時に評価される経験

転職の際に、40代の法務が評価されやすい「経験」についても確認しておきましょう。
キャリアアップに活かせる法務経験として、特に注目されるのは以下の4つです。

コンプライアンス対応

企業の法令順守が強く求められる中、コンプライアンス対応の経験を持つ法務人材は、高く評価される傾向です。
特に、社内規程の整備や社員向けの研修実施、内部監査の対応に携わった経験があれば、即戦力として見られるでしょう。
不祥事の未然防止やガバナンス強化に貢献した実績をアピールできれば、一段と評価されやすくなります。

国際法務

企業の海外進出やグローバル化が進む中、国際法務の需要は増しており、その経験を持つ法務人材も重宝されます。
海外取引に関する契約書の作成やチェック、各国の法規制への対応、外国企業との交渉などに携わってきた経験があれば、転職市場でも優位に立ちやすいでしょう。

英語での契約交渉や、国際的なコンプライアンス体制の整備に関与した経験なども評価対象です。

M&A経験

企業の成長戦略としてM&Aが活発化している状況に伴い、法務の役割にも注目が集まっています。
デューデリジェンスの実施、契約交渉、統合プロセスにおける法的課題の対応など、M&A関連の業務経験がある法務人材は、特に評価される傾向です。

M&Aの実務を主導した経験があれば、経営層と連携しながら企業の重要な意思決定を支える役割を担うことも可能でしょう。

知的財産の管理・運用

製造業やIT業界を中心に、知的財産の管理・運用スキルが求められています。
特許や商標の出願・管理、ライセンス契約の締結、知的財産権の侵害リスクへの対応などに携わった経験があれば、企業からの評価につながります。

さらに、新規事業の展開に伴う知的財産の戦略的活用に関わっていれば、採用選考においてかなり有利です。

40代法務が転職を成功させるためのポイント

最後に、40代の法務として転職を成功させるためのポイントに着目しましょう。

求人市場を分析し、自分の強みを活かせる企業を選ぶ

新卒採用が人材確保の中軸となる大手企業では、40代を対象とした法務求人は限られています。
求人市場をよく見極め、幅広い選択肢を視野に入れながら、自分の強みを活かせる企業を選ぶことがポイントです。

例えば、中小企業では法務が経営に近い立場で関与する機会があり、法的リスク管理や戦略法務などの専門性が発揮しやすいでしょう。
法務機能の整備を課題とするベンチャー企業では、多岐にわたる法務知識を活かせるはずです。

面接対策を徹底し、即戦力であることをアピール

前述のとおり、40代の転職で企業側が求めるのは即戦力となる人材です。
そのため、面接では過去の経験を具体的に伝える必要があります。

例えば、「新規事業の立ち上げに伴い、契約書のテンプレートを整備した」「法改正に応じて社内ルールを見直し、コンプライアンス強化に取り組んだ」といった具体的なエピソードを交えると、採用担当者に自身の強みが伝わりやすくなります。
また、変化に対応してきた経験などを踏まえ、新しい環境への適応力や柔軟性を示すことも、面接対策として重要です。

転職エージェントを活用して、企業とのマッチングを強化

法務職の求人は、一般の転職サイトには掲載されていないものも多いため、転職エージェントを活用することが有効です。
特に法務などの管理部門に特化したエージェントでは、法務の非公開求人を扱っているため、希望条件にマッチした企業と出会いやすくなります。

応募書類の添削や面接対策などの支援を受けることで、希望に合った企業への転職成功率を高めることができます。
自分の市場価値を把握するためにも、早めに転職エージェントに相談しておくことをおすすめします。

まとめ

法務の重要性が見直される昨今、即戦力となる40代の法務職は、転職市場において注目される存在です。
企業によって異なるニーズを理解し、自身の強みを明確にすることで、新たな環境での活躍につながるでしょう。
求人数は限られるものの、マネジメント経験や専門知識を備えた法務人材を高待遇で迎える企業も見受けられます。

転職活動では、求人市場の動向を見極め、選択肢を広げながら強みを活かせる企業を選ぶことが肝要です。
転職エージェントを活用すれば、非公開求人の紹介や面接対策の支援を受けることも可能です。
周到な準備を行い、40代からの法務キャリアを前向きに築いていきましょう。