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企業のデジタル化が急速に進む現代において、ソフトウェアの会計処理に関する相談が経理部門で急増しています。
クラウドサービスの普及やサブスクリプション契約の一般化により、従来の会計処理方法では対応しきれないケースが増えているのが現状です。
本記事では、ソフトウェアの勘定科目について、「金額」「契約形態」「利用目的」の3つの軸を中心とした判断基準を明確にし、経理担当者が迷いやすいポイントを重点的に解説します。
業務で取り扱うソフトウェアの会計処理を正しく行うためには、まず会計上の「ソフトウェア」とは何を指すのかを明確に理解しておく必要があります。
会計上のソフトウェアとは、コンピューターに一定の仕事を行わせるためのプログラムおよび関連文書を指します。
システム仕様書やフローチャートなどの関連文書も含む包括的な概念として定義されています。
ソフトウェアは原則として「無形固定資産」に分類されますが、取得価額や利用目的によって処理方法が大きく異なります。
重要なのは、取得時点での適切な分類判断です。
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ソフトウェアはその用途によって、次の3つに分類されます。
自社利用ソフトウェアは、業務効率化や管理の高度化を目的として導入されるもので、会計ソフトや給与計算システムなどが代表例です。
通常、無形固定資産として計上され、耐用年数にわたって減価償却されます。
販売用ソフトウェアは、市場での販売を目的として開発または取得されるもので、棚卸資産として処理されることが基本です。
開発段階では製作費として費用を集計し、完成時に棚卸資産へ振り替えます。
受託開発ソフトウェアは、特定の顧客からの依頼に基づいて開発されるもので、一般的な受託開発であれば売上原価として処理し、研究開発的な性格が強い場合は研究開発費として費用処理されます。
ソフトウェアの勘定科目は、主に金額・契約形態・利用目的の3つの要素によって決定されます。
金額については、10万円、20万円、30万円が重要な判断基準となります。
金額 | 勘定科目 | 適用条件 |
---|---|---|
10万円未満 | 消耗品費 | 全企業対象 |
10~20万円 | 一括償却資産 | 全企業で選択可能 |
20~30万円 | 少額減価償却資産 | 中小企業等 |
30万円以上 | ソフトウェア | 全企業対象 |
取得価額が10万円未満のソフトウェアは、税務上少額資産として全額損金算入が認められるため、消耗品費として処理することが一般的です。
処理例:年間8万円の会計ソフトライセンス購入
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
消耗品費 | 80,000円 | 現金預金 | 80,000円 |
取得価額が10万円以上20万円未満のソフトウェアは、「一括償却資産」として3年間で均等に償却することが可能です。
この処理方法は、資産計上しつつも減価償却の手間を簡素化できる点で中小企業にとって実務上有効です。
処理例:15万円の業務用ソフトウェア取得(1年目)
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
減価償却費 | 50,000円 | ソフトウェア減価償却累計額 | 50,000円 |
中小企業者等については、20万円以上30万円未満のソフトウェアに少額減価償却資産の特例を適用できます。
この特例により、取得年度に全額を費用処理することが可能です。
処理例:25万円のソフトウェアに特例適用
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
消耗品費 | 250,000円 | 現金預金 | 250,000円 |
ただし、年間取得価額の上限(300万円)があり、資本金1億円以下の法人または常時使用従業員数1,000人以下の法人が対象です。
30万円以上のソフトウェアは、原則として無形固定資産に計上し、法定耐用年数に基づいて減価償却を行います。
処理例:100万円の業務用ソフトウェア取得(耐用年数5年)
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
ソフトウェア | 1,000,000円 | 現金預金 | 1,000,000円 |
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
減価償却費 | 200,000円 | ソフトウェア減価償却累計額 | 200,000円 |
ソフトウェアの会計処理は、契約形態によっても異なります。
特に、買い切り型とサブスクリプション型では、処理方法や使用する勘定科目が変わるため、契約内容を正確に把握することが重要です。
買い切り型とは、ソフトウェアのライセンスを一括で購入し、使用期間の制限なく自社の資産として保有・利用する形式を指します。
この場合は、「金額別|ソフトウェアの勘定科目と会計処理」の章で解説している取得金額に応じた資産計上または費用処理を行います。
原則として資産計上の対象となるため、契約内容と金額に基づいた正確な判断が求められます。
クラウド型ソフトウェアのサブスクリプション契約では、継続的なサービス提供を受ける形態が一般的です。
この場合、ソフトウェア本体を購入するのではなく、利用料を支払う構造となるため、資産ではなく通信費や支払手数料として費用処理するのが基本です。
処理例:月額1万円のクラウド会計ソフト
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
通信費 | 10,000円 | 現金預金 | 10,000円 |
年間契約で前払いしている場合は「前払費用」として処理し、契約期間にわたって月次で費用化します。 また、契約期間が複数年にわたる場合は、流動資産と固定資産の区分(1年以内/1年超)にも注意が必要です。
ソフトウェアを無形固定資産として計上した場合、その後の処理として重要になるのが「減価償却」です。
ここでは、耐用年数の考え方や月次処理の方法など、実務で押さえておきたいポイントを解説します。
ソフトウェアの減価償却を行うには、まず「どのくらいの期間で費用配分するか」を定める必要があります。
この期間が「耐用年数」であり、用途によって異なる基準が設けられています。
用途 | 耐用年数 |
---|---|
自社利用ソフトウェア | 5年 |
販売用ソフトウェア | 3年 |
実際の使用予定期間がこれより短い場合は、その期間を採用することができます。
ソフトウェアの減価償却は定額法により行うことが一般的です。
計算例:
月次償却の仕訳:
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
減価償却費 | 16,667円 | ソフトウェア減価償却累計額 | 16,667円 |
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パソコン購入時にプリインストールされているソフトウェアは、一般的にはパソコン本体と一体として「工具器具備品」で処理されます。
ソフトウェアの価額が明確に区分されている場合は、分離して「ソフトウェア」勘定で処理することも可能です。
プリインストールソフトウェアの価額が不明な場合は、パソコン全体の取得価額に含めて処理することが実務上の対応となります。
この場合、パソコンの耐用年数(4年)で減価償却を行います。
ただし、高額な専門ソフトウェアがプリインストールされている場合は、ソフトウェア部分の価額を合理的に見積もり、分離して処理することも検討されます。
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ソフトウェアをサブスクリプション契約で年額を前払いしている場合は、前払費用として処理し、契約期間にわたって費用化することが適切です。
前払費用の処理により、期間損益の適正化が図られ、各月の費用が平準化されます。特に決算期末における期間配分の正確性が重要になります。
複数年契約の場合は、前払費用の流動・固定区分も考慮する必要があります。
1年以内に費用化される部分は流動資産、1年超の部分は投資その他の資産として区分表示します。
自社開発ソフトウェアの開発中は、「ソフトウェア仮勘定」または「仮払金」勘定を使用して開発費用を集計します。完成・稼働開始時点で「ソフトウェア」勘定へ振り替える処理が一般的です。
開発中止や失敗の場合は、それまでの開発費用を研究開発費として費用処理します。
この判断には、プロジェクトの継続可能性や技術的実現可能性を慎重に検討する必要があります。
開発期間が長期にわたる場合は、定期的な進捗確認と仮勘定の内容精査を行い、適切な管理を維持することが重要です。
ソフトウェアのライセンス更新料の処理は、更新内容によって判断が分かれます。
単純な利用期間の延長であれば支払手数料として費用処理し、機能追加やバージョンアップを伴う場合は資産計上を検討します。
判断のポイントは、更新によってソフトウェアの価値や機能が実質的に向上するかどうかです。
保守的な更新は費用処理、価値向上を伴う更新は資産計上が適切です。
ソフトウェアの勘定科目選択は、金額・契約形態・利用目的の3つの要素を総合的に判断して決定することが基本となります。
特に重要なのは処理方法の継続性を保つことで、一度決定した処理方法は同じ性質のソフトウェアについて継続して適用する必要があります。
中小企業においては、一括償却資産や少額減価償却資産の特例を効果的に活用することで節税効果を得ることができます。
また、クラウド化の進展に対応して、サブスクリプション契約の前払費用を適切に期間配分することが重要になっています。
適切なソフトウェア会計により、財務報告の信頼性向上と税務リスクの軽減を実現し、企業のデジタル化を支える経理基盤を構築することができます。
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