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経理として経験を積んでいくと、意識するようになるのが「役職」です。
今後のキャリアを考えるうえでは、どのような役職があり、それぞれにどのような役割やスキルが求められるのか、また昇進・昇格のステップを理解しておくことが重要です。
本記事では、経理の主な役職を6つの段階に分け、それぞれの仕事内容とキャリアアップの道筋について解説します。
経理部門の最前線で実務を支えるポジションであり、経理の基本業務を幅広く経験する段階にあたります。
企業規模や体制によって担当範囲は異なりますが、日次・月次の処理を中心としたルーティン業務が中心です。
数字の正確さや、締切を守るスケジュール管理力が求められます。
主な業務内容は以下のとおりです。
これらの業務を通じて、企業の会計処理の全体像を把握し、経理としての基礎的なスキルを身につけていくことが求められます。
また、正確かつ迅速な処理能力に加え、周囲と円滑に連携できるコミュニケーション力も重要な評価要素となります。
経理主任/リーダーは、実務スキルを備えたうえで、チームの中核として実務とマネジメントの橋渡しを担うポジションです。
決算業務の主担当として全体を統括しながら、後輩の育成やチーム運営にも関与します。
現場の責任者として、実務と組織運営の両面で貢献が求められます。
具体的には、課長や部長といった上位職と現場メンバーの間に立ち、円滑な連携を促進します。
さらに、業務の属人化を避けるため、標準化や効率化の推進も重要な役割の一つです。
業務内容の詳細は以下のとおりです。
このポジションに就くには、日々の実務を正確にこなせることに加え、月次・年次決算を単独で完結できるレベルのスキルが求められます。
また、後輩育成の経験や、チームへの積極的な貢献姿勢が評価されやすく、業務改善の提案や自発的なサポート行動が昇格のきっかけとなることもあります。
上司の指示を待つのではなく、自ら課題を見つけて主体的に行動できるかどうかが、昇格に直結する重要な要素となります。
経理係長は、経理実務の責任を担いながら、チーム運営にも関与する中間管理職です。
プレイングマネージャーとして自ら手を動かしつつ、メンバーの作業状況を把握し、業務全体が円滑に進むよう調整を行います。
上位職への報告・提案も重要な業務です。実務担当者から管理職へと移行する過渡的なポジションといえるでしょう。
主な業務内容は以下のとおりです。
主任やリーダーがプレイヤーとしての側面を強く持つのに対し、係長はよりマネジメントの比重が高まります。
チーム全体の業務進捗を管理し、メンバーの人事評価に関わるなど、ライン管理職としての権限を持つことが一般的です。
経理係長を目指すには、日次業務に加えて、決算業務を主導した経験が求められます。
特に、月次や年次決算を自らの責任で取りまとめた実績があると、社内外からの信頼につながります。
さらに、後輩の育成経験やチーム全体への改善提案など、プレイヤーとしての能力に加えて管理職としての視点を持つことが、昇格への鍵となります。
経理課長は、経理部門の現場責任者として、実務管理・マネジメント・経営層との橋渡しを担う重要なポジションです。
経理業務全体の統括に加え、財務レポートの作成や資金繰り計画の策定、監査法人対応など、高度な判断や調整が求められます。
主な業務内容は以下のとおりです。
経理課長を目指すには、豊富な決算実務経験に加えて、財務報告や資金管理に関する専門知識と実績が必要です。
メンバーのマネジメント経験や、チームを率いて業務目標を達成した実績が、管理職としての適性を示すポイントとなります。
加えて、経営層や監査法人・税理士法人と円滑にコミュニケーションを取れる折衝力も重要な評価要素です。
経理部長は、経理部門全体を統括する責任者です。
経理実務の知見を土台に、経営層の一員として財務面から企業戦略を支援し、組織全体に影響を与える意思決定にも関与します。
「守りの経理」だけでなく、「攻めの経理」として企業成長に貢献する視座や戦略的思考が求められます。
主な業務内容は以下のとおりです。
経理部長を目指すには、経理業務全体の統括経験に加えて、財務戦略に関する高度な知見や、経営層との折衝に慣れていることが求められます。
特に、監査対応、開示業務、システム刷新、内部統制強化といった全社的プロジェクトをリードした経験は、昇格の大きな後押しとなります。
また、社内外の関係者と円滑に調整を行えるコミュニケーション力や、組織を牽引するリーダーシップも重要な評価ポイントです。
CFO(Chief Financial Officer)は、企業の財務戦略を統括し、経営層の一員として重要な意思決定に関与するポジションです。
単なる経理・財務責任者にとどまらず、投資判断や資金調達、事業成長の推進といった経営的な役割を担い、企業価値の最大化に貢献します。
主な業務内容は以下のとおりです。
CFOを目指すには、上場企業やIPO準備企業における財務責任者としての実績が評価されます。
加えて、資金調達、IR、投資戦略の策定・実行など、経営に直結する業務に関与した経験が求められます。
経営層と同じ視座で議論できる戦略的思考力と、企業の持続的成長に向けた意思決定ができる判断力が不可欠です。
自身の昇進・昇格がなかなか進まないと感じている方もいるのではないでしょうか。
その要因は、単なるスキルや経験の不足にとどまらず、職場での立ち振る舞いや評価基準の理解といった、さまざまな要素が影響していることもあります。
昇進や昇格を妨げる要因として、以下のようなケースが考えられます。
どれだけ成果を出していても、それを上司や評価者に伝えられていなければ、評価につながりにくいのが現実です。
定量的な成果(コスト削減、業務効率化など)を数字で示したり、業務報告の中で工夫や改善点を丁寧に共有するなど、積極的な自己アピールが必要です。
現在のポジションで求められる役割だけでなく、次の役職に必要な視点や責任範囲を理解できていないと、評価者から「まだ準備が整っていない」と見なされる可能性があります。
上司と定期的にキャリア面談を行い、求められている期待値を明確にすることが有効です。
上司・同僚・他部署との連携が不十分だと、個人の努力や成果が組織貢献として認識されにくくなります。
報連相をこまめに行う、他部署と連携するプロジェクトに積極的に関わるなど、信頼関係の構築を意識しましょう。
将来的にどのような役職に就きたいのか、そのために何を身につけるべきかが明確でないと、日々の行動にも一貫性がなくなり、昇格に対する意欲が伝わりにくくなります。
キャリア目標を言語化し、短期・中期・長期でやるべきことを具体化することが重要です。
一方で、着実に昇進・昇格を実現している人材には、いくつかの共通した行動習慣や考え方があります。
与えられた業務をこなすだけでなく、「上司だったらどう判断するか」「この業務の目的は何か」といった一段上の視点を持ちながら行動しています。
先回りして課題を捉える力や、組織全体への影響を意識した判断力が身についており、上司からの信頼につながりやすくなります。
自分の担当範囲にとどまらず、チームや他部署の課題にも関心を持ち、必要に応じて関係者と連携しながら問題解決に動く姿勢が見られます。
業務改善や新しい仕組みの導入に際しても、関係者を説得し巻き込む力を持っているため、組織にとって欠かせない存在と認識されやすくなります。
自部署に閉じこもらず、他部署の同僚や他社の専門家とのつながりを意識的に作っています。
こうしたネットワークを通じて得た情報や視点を業務に活かすことで、より俯瞰的・戦略的な判断ができるようになります。結果として、組織横断的な課題にも対応できる柔軟性が評価されるでしょう。
自己分析を継続的に行い、自分の得意分野や改善すべき課題を客観的に把握しています。
そのうえで、弱みを補う努力を惜しまず、強みを活かせる場面では積極的に発言・行動しています。このような自己理解と成長意欲の高さは、周囲からの信頼にもつながります。
将来的にどのような役職やキャリアを目指すのかを具体的に描いており、それに必要なスキルや経験を逆算して日々の行動目標を設定しています。
このように明確なビジョンを持って主体的にキャリアを築こうとする姿勢は、上司や評価者にも前向きに映りやすく、昇進につながる要素となります。
昇進・昇格は、単なる実力や年次の積み重ねだけでは実現しません。
次の役職に求められる役割を理解し、それにふさわしい行動を継続的に取ることが重要です。
また、自身の貢献を可視化し、評価者に適切に伝える力も、現代の経理職には欠かせない要素です。
経理職には段階的な役職があり、それぞれに求められる役割やスキルは異なります。
自身の現在地と目指すポジションを明確にし、不足しているスキルを補うことで、着実にキャリアアップを実現できます。
「次のステップが見えない」「自分の経験でどこまで目指せるのか分からない」といった不安がある方は、MS-Japanなど経理職の転職支援に強いエージェントに相談することも有効な選択肢です。
客観的な視点から自身の強みや課題を整理し、最適なキャリアの方向性を見出せる可能性が高まります。
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