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企業が従業員を雇用する場合、必ず「労働保険」に加入する必要があります。
労働保険料は全ての企業で発生する基本的な法定費用である一方で、勘定科目の判断を誤ると経理処理にズレが生じ、決算や税務申告に影響することがあります。
本記事では、労働保険料の仕組みから勘定科目、仕訳処理の正しい方法まで、実務情報をもとに詳しく解説します。
労働保険料とは、労働保険と雇用保険の保険料をまとめた総称です。
いずれも労働者を1人でも雇う事業主に加入義務があり、保険料は賃金総額に応じて計算されます。
労災保険は、業務中や通勤時の事故・災害に備えるための保険制度で、保険料は全額を会社が負担します。
一方、雇用保険は、失業給付や育児休業給付など、従業員の生活を支える制度として運用されており、会社と従業員の双方が負担を分担する仕組みです。
このように、労災保険は「労働者の安全補償」、雇用保険は「雇用の安定」を目的としており、目的と負担区分の違いが会計上の勘定科目にも影響します。
企業負担分は「法定福利費」、従業員負担分は「立替金」として処理するのが正しい経理上の扱いです。
なお、雇用保険料率は業種や年度によって変動し、2025年度(令和7年度・2025年4月1日~2026年3月31日)の一般事業における料率は賃金総額の1.45%(会社0.9%・従業員0.55%)です。
参照:「令和7(2025)年度 雇用保険料率のご案内」|厚生労働省
労働保険料は毎年6月2日~7月10日に行われる年度更新で、前年度の確定保険料と新年度の概算保険料を同時に申告・納付する仕組みになっています。
労働保険料は、誰の負担かによって勘定科目が異なります。
経理処理では、会社負担分を「法定福利費」、従業員負担分を「立替金」で処理するのが一般的です。
会社が負担する労災保険料、および雇用保険料の会社負担分は、ともに「法定福利費」で処理します。
支払い時の仕訳は次のとおりです。
【法定福利費の支払い】
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 法定福利費 | 30,000円 | 現金預金(または未払金) | 30,000円 |
月次で計上し、年度更新で確定額が出た段階で差額を調整します。
特に労災保険は業種別料率が毎年度見直されるため、総務担当者と連携して最新料率を経理処理に反映することが大切です。
従業員が負担する雇用保険料は、給与計算時に天引きし、会社が一時的に預かる仕組みです。
そのため「立替金」勘定で処理します。
【給与支給時】
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 給与 | △△円 | 預金 | △△円 |
| 立替金 | 2,000円 | ||
【納付時】
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 法定福利費 | 27,000円 | 預金 | 30,000円 |
| 立替金 | 3,000円 | ||
この処理を行うことで、従業員負担分が経費として二重計上されることを防げます。
労働保険料は、企業規模や会計処理レベルに応じて異なる仕訳方法が取られています。
小規模法人では一括処理が主流ですが、大企業では内訳管理が求められる傾向があります。
法人会計では、労働保険料は法定福利費として処理するのが基本です。
中小企業では労災・雇用をまとめて計上し、決算時に確定金額との差額を調整します。
上場企業や大規模法人では、「法定福利費-労災保険料」「法定福利費-雇用保険」などの補助科目を用い、保険の種類ごとに負担額を管理します。
法定福利費は損金算入が認められる経費であり、会社負担分はすべて計上可能です。
料率は毎年厚生労働省の告示で改定されるため、年度更新時には必ず確認が必要です。
概算納付分は「仮払金」で処理し、確定後に「法定福利費」へ振り替えると精算がスムーズです。
【概算納付時】
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 法定福利費 | 60,000 | 預金 | 60,000 |
【確定時】
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 法定福利費 | 30,000 | 預金 | 30,000 |
こうした処理を定型化しておくことで、決算や監査時にも整合性を保てます。
年度更新では、確定保険料と概算保険料の双方を合わせて一本の仕訳で記帳する方法もあります。ただし、実務上は概算と確定を区分して管理した方が後の監査対応で明瞭です。
特に還付があった場合、前期の法定福利費を減額修正する必要があります。
こうした精算のタイミングを間違えると税務申告額に影響するため、更新時には経理部門と労務担当の情報連携が欠かせません。
労働保険料は社会保険料と似た性格を持つため、科目処理を誤りやすい項目です。特に、従業員負担分の立替金を精算し忘れるケースや、福利厚生費と混同するケースが多く見られます。
税務調査では、法定福利費の過大計上や福利厚生費との混在が指摘されやすい項目です。
年間の法定福利費が前年と大きく乖離している場合は、料率改定か処理ミスの有無を再点検するようにしましょう。
会社負担分は法定福利費として損金算入できます。
従業員負担分は会社が一時的に預かるだけであり、経費にはなりません。
法定福利費に分類します。
福利厚生費と区別して処理することが必要です。
労災保険料・雇用保険料ともに基本は法定福利費です。
給与から控除した従業員分は立替金で処理します。
非課税取引に該当し、消費税の仕入税額控除の対象外です。
労働保険料は、会社負担分を法定福利費、従業員負担分を立替金とするのが原則です。
料率改定や年度更新のたびに会計処理を見直し、最新情報に基づいた仕訳を維持することが重要です。
中小企業でも勘定科目を明確に区分しておくことで、決算の精度と税務対応の効率が大きく向上します。
制度変更への対応力と会計処理の一貫性を保つことが、信頼性の高い経理運営の第一歩です。
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※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。
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