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契約書を取り交わす際、誤記や記載ミスに気づいたときにどう対応すべきか。
修正テープや書き直しがNGであることは多くの担当者が知っていても、「訂正印の正しい押し方」や「誰の印鑑を使うのか」といった点は意外とあいまいなまま処理されていることもあります。
この記事では、契約書訂正時の基本ルールから、押印位置、電子契約での対応までを解説します。
契約書の内容を訂正する場合、民法上の原則として「当事者全員の合意」が必要です。
契約とは、双方の意思表示の一致によって成立するものであり、一方的な記載修正は契約の有効性を損ねることになります。
訂正印の目的は、主に次の二つです。
・改ざん防止:誤りの訂正が正当に行われたことを証明する。
・内容同意の証明:訂正後の内容に両当事者が再度合意していることを示す。
もし、一方の当事者が無断で修正・押印すると、訂正部分が無効と扱われたり、契約全体の信頼性を損ねるおそれがあります。
実務上、契約書の意思内容を示す最終的な証拠が訂正印であり、これに基づいて裁判や監査でも契約の真正性が判断されることになります。
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契約書の誤りを訂正する基本は「二重線」と「訂正印」です。
例えば金額「1,000円」を「10,000円」にする場合は、「1,000円」に二重線を引いて欄外に「10,000円へ訂正」と書き、両者印を押します。
同様に住所、氏名、日付の訂正もこの手順で行います。

・誤字の場合:「取引株式会社」→「取引先株式会社」など、誤字に二重線を引いて正しく書き直します。
また「削除3文字、加入4文字」のように、削除する文字数と追加する文字数を記入します。
・氏名や住所の場合:漢数字を使うことで誤読を防げます。
例:「東京都港区三丁目五番地」など。
・金額の訂正時は数字だけでなく単位を含めて訂正します。
・契約日や条文削除・追記を行う際は、「第3条の2を追記」と明記し、双方で訂正印を押します。
契約案の草稿段階や社内検討用資料では訂正印は不要です。
一方で、署名前や押印後では訂正手順が異なります。
まだ両者の押印が済んでいない場合は、記載を直して再印刷すれば済みますが、押印後であれば訂正印が必須です。
軽微な誤字や印刷ミスでも、法的拘束力を持つ契約書であれば訂正印を押すのが安全です。
電子契約書の場合は別ルールで扱われ、紙と同様の訂正印は使われません。
契約書への訂正印は、契約書に用いた印鑑と同一のものを使用します。
法人契約では会社実印(代表者印)または契約印が原則です。
担当社員の個人印やシャチハタ印は法的効力が認められない場合があります。
認印は社内メモや届出書には使えますが、契約訂正には適しません。
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訂正印は双方押印が前提です。
甲のみが訂正し、乙が押印しないまま契約を進めると、その訂正箇所は未合意と判断される可能性があります。
2社間契約や連名契約の場合、各社の印鑑を訂正箇所付近に押し、仲介業者が関与する契約では三者全員で処理します。
修正テープや上書きは「改ざんの余地がある」と見なされ、法務・監査上不可とされます。
手書き訂正と訂正印のセットによってのみ訂正が有効です。
実際に修正テープ使用の契約が取引先審査で差し戻された事例もあります。
訂正箇所が複数ある場合、基本的に各訂正箇所ごとに訂正印を押す必要があります。
文章全体にわたる変更がある場合は、欄外にまとめて記載しても構いませんが、誰がどこを訂正したか明確に残すことが大切です。
また、欄外や袋とじ部分などの訂正は、印鑑が押しづらい位置になることもあります。
その場合は、近接するスペースに押印し、二重線がわかるように工夫します。
追記や加筆の場合は、余白部分に文言を挿入し、「ここに一行追記」などの注記を入れます。
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訂正スペースが限られている場合、欄外に正しい記載をまとめ、「※上記○行目の文言を次の通り訂正」と記載して訂正印を押します。
それでも不十分なら別紙を添付し、双方の割印を押して連続性を確保します。
別紙の呼称は「別紙1 訂正内容一覧」として明確化しておくとトラブルを防げます。
変更内容が多い場合、元の契約書をそのまま訂正するよりも「一部変更契約書」や「覚書」で合意を取り直すのが安全です。
変更契約書は、既存契約のうち変更箇所だけを特定して明記する形式で、元の契約と併せて保管します。
反対に、契約の内容全体が変わるような場合は「全面変更契約」または新規契約として再作成するのが原則です。
修正が多い契約書は確認も煩雑になり、後の紛争時にどの文言が有効か不明確になるからです。
電子契約では紙のような訂正印の概念はなく、修正が必要な場合は「再締結(差し替え)」が原則です。
プラットフォーム上では編集履歴やログが自動で保存され、改ざん防止機能により真正性が担保されます。
クラウド署名サービスでは、過去の署名データと修正版を紐づけて管理できるため、紙の訂正印よりも証拠性は高くなります。
A:必要です。
押印済みの契約書を訂正する際は、必ず両当事者の訂正印を押してください。
A:代表者印または契約印が原則です。
担当者個人の認印は無効となる場合があります。
A:原則無効です。
双方が同一箇所に押印しないと合意の証明になりません。
A:法的効力を否定される可能性が高く、契約として無効と扱われることがあります。
A:実質的に契約と同様の効力を持つ書類では必要です。
A:制限はありませんが、あまりに多い場合は再作成を検討すべきです。
A:欄外に記載して押印すれば問題ありません。
契約書の訂正印は、法的効力と契約の信頼性を守る重要な証明です。
誤記や修正が発生した際は、必ず当事者全員の押印を行い、正しい方法で訂正してください。
修正箇所が多い場合は「変更契約書」や「再作成」に切り替える方が安全です。
電子契約の普及が進む現代では、従来の訂正印に代わって改ざん防止機能を備えたクラウド署名管理が主流になっています。
紙と電子の両面で訂正ルールを理解し、契約の適正管理を徹底しましょう。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。
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