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【社労士執筆】人材流動化時代の控除対応とは？短時間労働者や副業社員が増える企業の年末調整対応

公開日2025/12/04 更新日2025/12/03 ブックマーク数

働き方改革の浸透や、副業・兼業の解禁を進める企業の増加により、雇用形態の多様化と人材の流動化が一気に進んでいます。
その結果、年末調整の対象者判断、扶養控除の取り扱い、申告書の配布・回収など、年末調整業務は従来よりも複雑化しています。

本記事では、短時間労働者や副業社員が増える企業の年末調整対応について解説します。
2025年の税制改正や年末調整対応チェックリストも紹介しますので、年末調整を担当する人事・労務担当者は確認しておきましょう。

[ 目次 ]

西岡社会保険労務士事務所代表
西岡秀泰

生命保険会社に25年勤務しFPとして生命保険・損害保険・個人年金保険販売を行う。2017年4月に西岡社会保険労務士事務所を開設し、労務全般について企業サポートを行う。同時に、日本年金機構の年金事務所で相談員を兼務している。

人材流動化が進む中で複雑化する年末調整業務

最初に、複雑化する年末調整業務の現状と課題について確認しておきましょう。

働き方改革により、短時間労働や副業など「多様な働き方」を求める人材が増えています。また、深刻化する人手不足への対応として、労働者のニーズに応える多様な雇用形態を準備し人材の確保を図る企業が増えています。

その結果、フルタイムの正社員中心の雇用構造が変化し、複数の雇用形態を持つ企業が増えました。こうした企業では、雇用形態に応じた年末調整対応が必要となり、年末調整業務に大きな影響を及ぼしています。

年末調整業務において、企業の主な実務課題は、「対象者判断」「申告管理」「情報共有」の3つです。

1つ目の課題は、雇用形態が多様化する中で、年末調整の対象者の判断が難しくなっていることです。特に、年度の途中で採用した人や退職した人、副業をしている人など、判断に迷うケースが増えています。

2つ目の課題は、申告管理が煩雑になることです。雇用形態によって申告書類の要・不要が異なり、違いに応じて申告書を配布したり、回収した書類のチェックが必要になります。また、副業する従業員の場合、副業先での収入を把握しなければなりません。

3つ目の課題は、副業先との情報共有がしにくい点です。副業する従業員の場合、「扶養控除等申告書」はどちらか一方でしか提出できません。企業間での情報共有の仕組みが整っていないため、重複申告や申告漏れが発生するリスクがあります。

従来の正社員を前提とした年末調整フローのままでは、多様化した働き方や複数雇用に十分対応できず、実務上の限界が見え始めています。
正社員以外の雇用が少数ならば個別対応も可能ですが、その割合が高まると業務が煩雑となりミスを犯すリスクも高まります。

雇用形態に応じて正確に年末調整業務を行うために、マイナポータル連携や電子化といった新たな年末調整フローの構築が求められています。

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