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税務申告の精度は、経理担当者の判断一つで大きく変わります。その中でも特に悩ましいのが、支出が「損金算入できるのか」「損金不算入になるのか」という線引きです。
判断を誤ると、税務調査で否認されるリスクや、思わぬ納税額の増加につながりかねません。
本記事では、損金不算入の基本から、よくある迷いやすい勘定科目の扱い、実務でのチェックポイントまで、管理部門が押さえるべきポイントを整理します。
「損金不算入」とは、会社が支払った費用のうち、税務上は損金(経費)として扱えないものを指します。
会計処理では費用として計上できても、法人税法では損金と認められないケースが存在するため、両者を混同すると申告漏れや追加納税のリスクが生じます。
特に役員関連費用や寄附金、交際費の一部などは誤判定が起きやすく、実務でも問い合わせの多い領域です。
まずは損金不算入の基本を押さえることが、正確な税務申告の第一歩となります。
法人税の計算では、企業の支出が損金として認められるかどうかが、最終的な納税額に大きく影響します。
損金算入とは、税務上「経費」として扱うことを許される支出のことで、課税所得の減少につながり、結果として法人税額が少なくなります。
一方で損金不算入は、会計処理としては費用に計上できても、税務上は経費として扱うことが認められない支出であり、課税所得の減額には使えません。
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損金と費用は似た言葉ですが、対象とする基準が大きく異なります。会計上の費用は、企業活動に伴って発生したコストを「発生主義」に基づいて記録するものです。
一方、損金は法人税法が規定する「税務上の経費」であり、会計処理とは別の基準によって判断されます。
つまり、会計上は費用として問題なく計上できる支出でも、税務上は損金算入が認められない場合があるということです。
たとえば、福利厚生を目的とした費用を会計上は「福利厚生費」として処理しても、内容によっては税務では「交際費」扱いとなり、損金不算入の対象となることがあります。
このようなズレが生じたときには、法人税申告書の別表四・五で加算・減算の調整が必要です。
経理担当者は「会計」と「税務」の二つの視点で支出を確認し、どのように申告へ反映させるかを意識することが重要です。
以下では、法人税法上「税金計算では費用扱いできない」代表的な項目を整理しています。
会計処理で費用に計上できても、税務基準では認められないケースがあるため注意が必要です。
租税公課(損金不算入となるもの)
法人税・住民税などの本税に加え、延滞税・加算税・過料・罰金といった懲罰的性質を持つ税金は損金に算入できない。
交際費(限度超過分)
接待飲食費や贈答品費のうち、規定の限度額を超える部分は税務上費用として扱われない。
寄附金(限度超過分)
法人が支出した寄附金のうち、損金算入限度額を超えた金額は損金不算入。
減価償却費(償却限度超過分)
税法で認められた償却範囲を超えて計上した減価償却費は、損金として認められない。
役員報酬(一定要件を満たさないもの)
役員へ支払う報酬のうち、「定期同額給与」「事前確定届出給与」などの税務要件を満たさないものは損金にできない。
例えば、従業員が業務中に交通違反をした際の反則金や罰金のように、制裁として課される支出は税務上の損金に含めることができません。
また、一定額までは経費計上できるものの、限度額を超えると損金算入が制限される項目(交際費や寄附金など)もあります。
こうした支出は「会計上は費用になるが、税務上は費用として認められない」ため、会計処理と税務処理の区別を理解しておくことが重要です。
適切な税務処理を行うためにも、法人税法のルールに沿って勘定科目ごとの扱いを整理し、必要に応じて税理士への確認体制を整えておくことが望まれます。
租税公課には多くの税金が含まれますが、そのすべてが損金として認められるわけではありません。「税金=損金」と誤解されやすく、税目の扱いを間違えると別表調整や税務調査で指摘を受ける可能性があります。
まず、事業活動に伴い通常発生する税金(固定資産税・事業税・自動車税・登録免許税・印紙税・不動産取得税など)は、原則として損金算入できます。
一方、延滞税や加算税、過料、罰金などの“制裁的な性質を持つ負担” は損金不算入です。
勘定科目が「租税公課」であっても、違反や遅延に起因するものは経費扱いできません。
また、法人税・地方法人税・法人住民税のように、企業の所得に対して課される税金 も損金不算入です。
決算上費用として処理しても、申告時には別表四で加算調整が必要になります。
このように、租税公課の税務上の扱いは、税金の種類によって大きく異なります。経理担当者は税目の名称だけで判断せず、「事業に伴う通常負担なのか」「違反・遅延に対する付随的負担なのか」「所得に対する課税なのか」を基準に整理することが重要です。
損金不算入の判断は、勘定科目よりも「支出の実態」を重視するため、現場では似たような支出でも扱いが変わることがあります。
ここでは、経理担当者から特に質問の多いポイントを取り上げ、税務上の考え方をわかりやすく整理します。
役員に対する花束代や慶弔金は、支出目的によって扱いが大きく異なります。一般的に、役員の個人的な慶事・弔事に対する支出は「役員に対する経済的利益の供与」と判断されることが多く、税務上は損金不算入とされます。
とくに、贈答品・祝金・香典などは、社会通念上の範囲を超えると「役員給与」とみなされ、経費にできないケースが典型的です。
一方、会社の業務に密接に関連する節目(例:創業記念イベントでの表彰など)で花束を渡す場合は、会社の行事と認められ、損金算入が認められる余地があります。
ただし、役員個人のイベントと会社行事の境界は曖昧になるケースも多いため、社内規程を整備し、支出理由を明確に記録することが重要です。
従業員を対象とした懇親会の費用は、福利厚生の一環として行われるものであれば、一般的に損金算入が認められます。
社内の親睦を深め、働きやすい職場環境を整える目的が明確であれば、税務上「福利厚生費」と扱えるためです。忘年会や新入社員歓迎会などは、典型的な損金算入の対象です。
ただし、注意すべきは参加者の構成や目的 です。役員のみで開催された飲食会や、特定の少人数を優遇するようなイベントは、税務上「交際費」扱いとなる可能性があり、この場合は一部が損金不算入となることがあります。
経理担当者としては、参加者名簿や開催目的を記録し、福利厚生としての合理性を説明できる状態にしておくことが必要です。
寄附金と広告宣伝費は混同されやすいものの、税務上の扱いは大きく異なります。寄附金は、対価を得ない「無償の贈与」に該当するため、税務では一定の限度額を超えた部分が損金不算入となります。
一方、広告宣伝費は企業の利益追求を目的とした「対価性のある支出」であり、原則として全額が損金算入の扱いとなります。
この場合、判断の鍵となるのは、企業がどのような利益を得るかです。たとえば、スポーツチームへ資金提供を行い、ユニフォームに社名が掲載される場合は、明確な広告効果があるため広告宣伝費となります。
一方で、「名義だけ掲載される」「協賛したが実質的な広告効果がない」と判断されるケースでは、寄附金扱いとされる可能性があります。
支出の内容を整理し、契約書や請求書に広告目的が明記されているかを確認することが、寄附金との線引きに役立ちます。
損金不算入の判断は、「勘定科目」よりも「支出の実態」を正しく理解することが重要です。
役員関連費用、寄附金、交際費、罰金などは取り扱いを誤りやすく、内容によって損金算入の可否が大きく変わります。
一方で、広告宣伝費や従業員向けの福利厚生費など、事業に必要な支出であれば損金として認められるケースが大半です。
日常の経理処理では、支出目的・相手先・資料の有無を丁寧に確認し、税務調査でも説明できる状態を整えておくことが欠かせません。
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※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。
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