国民健康保険と社会保険の違いとは?加入条件や保険料、扶養、切替手続きをわかりやすく解説

公開日2026/01/04 更新日2025/12/26 ブックマーク数
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国民健康保険と社会保険の違いとは?加入条件や保険料、扶養、切替手続きをわかりやすく解説

退職や転職、独立など、働き方が変わるタイミングでは「国民健康保険と社会保険、どちらになる?」「国保に切り替える手続きは?」「任意継続のほうが得なのか?」と迷う場面が少なくありません。

本記事では、国民健康保険と社会保険の基本的な違いから、切り替え手続きの流れ、任意継続制度のポイント、「どちらが得か」を考える際の具体的な判断軸、よくある質問までをまとめて解説します。

特に、高所得者や扶養家族の有無によって保険料の自己負担額が大きく変動する点など、管理部門・士業の皆様が実務上で特に気になるポイントを掘り下げて解説します。

[ 目次 ]

国民健康保険と社会保険の違いとは

以下に国民健康保険と社会保険の定義、違いについて説明します。

国民健康保険とは

国民健康保険とは、会社員として社会保険に加入していない人が加入する医療保険制度です。
具体的には、フリーランス・自営業者・無職の方・年金受給者・適用除外事業所で働く人などが対象となり、市区町村が運営主体となっています。

国保には 扶養の仕組みがないため、家族がいる場合はそれぞれ一人ひとりが被保険者として加入することになるため、本人とは別に保険料が発生します。

参照:厚生労働省│「国民健康保険制度」

社会保険とは

社会保険は、企業に雇用されて働く人が加入する健康保険、厚生年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険の5つの公的な保険制度の総称で、このうちの医療保険制度が「健康保険」です。

運営主体は「全国健康保険協会(協会けんぽ)」または「健康保険組合」で、国民健康保険組合は含まれません。
加入者が一定の要件を満たした場合、被扶養者については追加保険料なしで扶養に入れる仕組みがあります。

正社員であれば基本的に加入が義務づけられており、短時間労働者(パート・アルバイト)も、以下の条件を満たせば加入対象となります。
なお、2024年10月以降は、従業員数51人以上の企業が対象です(2025年時点)。

・従業員数51〜100人の企業で働いている
・週20時間以上勤務
・2カ月超の雇用見込み
・月額賃金88,000円以上(残業代・賞与除く)
・学生でない

厚生労働省│「従業員のみなさま 社会保険加入のメリットや手取りの額の変化について」

国民健康保険と社会保険の違い

国民健康保険と社会保険の違いは以下のとおりです。

【国民健康保険と社会保険(健康保険)の比較表】

項目 国民健康保険 社会保険(健康保険)
運営主体 市区町村国保と国民健康保険組合 全国健康保険協会(協会けんぽ)
または健康保険組合
加入対象者 社会保険に加入できない人
(自営業・年金受給者・フリーランス・無職など)
企業に雇用されている人
(条件を満たすパート含む)
扶養制度 なし(家族ごとに保険料が発生) あり(扶養分の保険料追加なし)
保険料 前年の所得や世帯人数などに基づき、
市区町村ごとに算出。本人が全額負担
標準報酬月額に基づいて算出。
会社と本人が労使折半

国民健康保険から社会保険に切り替えるときの手続き

転職や再就職によって社会保険の適用事業所で働くことになった場合、それまで加入していた国民健康保険から、勤務先の社会保険へ切り替える必要があります。

雇用主側の手続き

新たに従業員を雇用した場合、会社が社会保険の加入手続きを行う義務があります。
手続き期限は 入社日から5日以内と定められているため、準備を前倒しで進めることがポイントです。

企業が提出する主な書類は以下のとおりです。

・健康保険・厚生年金被保険者資格取得届
→ 雇用した従業員が社会保険に加入するための届け出

・健康保険被扶養者(異動)届(扶養家族がいる場合)
→ 従業員の家族を社会保険(健康保険)の扶養に入れるための届け出

従業員側の手続き

従業員は、社会保険加入に必要な情報を企業へ提出する責任があります。
入社時に一般的に求められる書類は次のとおりです。

・基礎年金番号のわかる書類(年金手帳・基礎年金番号通知書)
・マイナンバーが記載された書類の写し(マイナンバーカードなど)

雇用主側は入社後5日以内に手続きを行う必要があるため、従業員は求められた書類を速やかに提出することが求められます。

社会保険から国民健康保険に切り替えるときの手続き

退職や勤務条件の変更により会社の社会保険に加入できなくなった場合、医療保険は国民健康保険へ切り替える必要があります。

社会保険から国民健康保険への切り替えでは、雇用主と従業員がそれぞれ行う手続きがある点に注意が必要です。

雇用主側の手続き

従業員が退職した場合、企業は以下の社会保険喪失手続きを行います。

・「被保険者資格喪失届」の提出(資格喪失日にあたる退職日の翌日から5日以内)
退職者が社会保険資格を喪失したことを日本年金機構に届け出ます。

・健康保険証の回収・返却処理
本人の健康保険証だけでなく、扶養家族分の保険証も返却する必要があります。

・「社会保険喪失証明書」の発行(従業員から依頼があった場合)
法的義務はありませんが、国民健康保険への加入手続きがスムーズになるため、発行して渡すのが実務的には望ましい対応です。

この書類は従業員側が国保加入手続き時に求められることが多いため、依頼があったら速やかに対応しましょう。

従業員側の手続き

従業員は、住所地の市区町村窓口で国民健康保険の加入手続きを行います。 手続きに必要な主な書類は以下のとおりです。

・社会保険喪失証明書(会社から受け取る書類)
・あるいは 離職票・退職証明書(喪失証明書が発行されない場合)
・本人確認書類(マイナンバーカード等)

国民健康保険への加入期限は 退職日の翌日から14日以内 です。

保険料は 資格喪失日の翌日からの月分 から発生するため、手続きを遅らせると未納扱いになる可能性があります。

退職者が選べる「任意継続」とは

一定の条件を満たせば、退職後も引き続き勤務先の健康保険に加入できる仕組みがあります。これが「任意継続被保険者制度(任意継続制度)」です。

任意継続制度を利用できる条件

任意継続を希望する場合は、次の2つの要件を満たしている必要があります。

・退職日までに継続して2カ月以上、健康保険に加入していたこと
・資格喪失日(退職日の翌日)から20日以内に、「任意継続被保険者資格取得申出書」を提出すること

※「資格喪失日」当日は算入せず、その翌日から起算して20日以内が期限となります。※20日目が土日祝の場合は、翌営業日が期限になります。

参照:全国健康保険協会│「任意継続の加入条件について」

退職後も社会保険(健康保険)を任意継続するメリット

勤務先の健康保険を継続利用するメリットは主に3つあります。

① 在職中と同様の給付・サービスが受けられる

人間ドックの補助や付加給付など、加入していた健康保険組合独自の制度を引き続き利用できる場合があります。
福利厚生が手厚い保険組合であれば、メリットは大きくなります。

② 無保険状態を避けられる

転職のタイミングによって新しい保険に加入するまでの空白期間が生じることがありますが、任意継続を利用すればその期間をカバーできます。
万が一医療機関を利用した場合に10割負担になるリスクを防ぐことができます。

③ 国民健康保険より保険料が低くなるケースがある

健康保険料は標準報酬月額の上限が決まっているため、所得が高い人ほど、国民健康保険よりも任意継続の方が保険料が抑えられる可能性があります。

任意継続制度のデメリット

一方で、任意継続には知っておきたい注意点もあります。

① 保険料を全額自己負担しなければならない

在職中は会社と従業員で折半していた保険料を、退職後は本人が全額支払う必要があります。

② 原則として途中でやめられない

任意継続は原則2年間の継続利用が前提で、本人の都合で途中解約することはできません。
やめられるのは、再就職して新たな勤務先の社会保険に加入したとき、2年の加入期間が満了したときなどに限られます。

国民健康保険と社会保険はどちらが得なのか?

国民健康保険と社会保険(健康保険)はどちらが良いのか、迷う方は少なくありません。
しかし、保険料や受けられる保障は、収入・家族構成・働き方といった個人の状況によって大きく変わるため、単純に「どちらが得」と断言することはできません。 最適な選択は個別の状況に大きく依存しますが、一般的に以下の傾向があります。

・扶養家族がいる場合:社会保険(健康保険)が有利になりやすい ・高所得者の場合:社会保険(健康保険)が有利になりやすい(傷病手当金などの所得保障も含む)
・所得が低い場合:国民健康保険が安くなる可能性がある

扶養家族がいる場合の比較

社会保険(健康保険)には、家族を「被扶養者」として追加費用なく加入させられる仕組みがあります。配偶者・子ども・親などが要件を満たしていれば、本人が保険料を支払うだけで家族全員が同じ健康保険に加入でき、扶養分の保険料負担はゼロです。

一方、国民健康保険には扶養という制度がありません。そのため、世帯の加入者一人ひとりに 均等割などの保険料がかかり、家族が多いほど負担が増えやすい仕組みになっています。

扶養家族が多い家庭では、一般的に社会保険のほうが保険料負担が軽くなる傾向があります。

全国健康保険協会│「被扶養者とは?」

収入や働き方による比較

保険料の計算方法にも大きな違いがあります。

【国民健康保険と社会保険(健康保険)の比較表】

項目 国民健康保険 社会保険(健康保険)
保険料の算定方法 前年の所得などをベースに算出 給与を基にした「標準報酬月額」で算定
保険料負担 本人が全額負担 会社と本人の労使折半
保険料の特徴 所得が低いと安くなる場合あり
所得が高いと保険料も上がりやすい
所得が高いと保険料も上がるが、企業負担があるため自己負担は抑えられやすい
所得保障制度 傷病手当金などの所得保障は原則なし 傷病手当金・出産手当金などの所得保障制度あり

どちらを選ぶべきか迷うときは?

保険料や制度の違いは複雑なうえ、家族構成・今後の収入見込み・働き方などで最適な選択肢が変わってきます。判断が難しい場合は、以下へ相談するのがおすすめです。

・市区町村の国民健康保険窓口
・勤務先の人事・総務担当者
・社会保険労務士(社労士)

自身の収入状況や家族構成を伝えれば、保険料の試算や適した制度のアドバイスを受けることができます。

国民健康保険と社会保険に関するよくある質問

以下に国民健康保険と社会保険(健康保険)に関してよくある質問を紹介します。

扶養にできる収入はいくらまで?

社会保険の扶養に入れるかどうかは収入要件が基準となり、一般的には年間収入130万円未満(60歳以上または障害者は180万円未満)が目安とされています。

また、被保険者本人の収入の半分未満であることも条件に含まれます。勤務時間が長く一定の収入がある場合は、扶養ではなく自身で社会保険に加入しなければならないケースもあります。

退職後の保険切り替えの最適なタイミングは?

社会保険の資格は退職日の翌日に失効するため、国民健康保険や任意継続への切り替えはできるだけ早く行う必要があります。

国民健康保険は資格喪失日から14日以内に手続きが求められ、未加入期間を放置すると医療費が全額自己負担になる可能性があります。再就職の時期によっては任意継続の方が負担を抑えられる場合もあるため、早めに選択を検討することが重要です。

社会保険(健康保険)の任意継続と国民健康保険のどちらが安い?

保険料は収入や家族構成によって大きく異なるため、どちらが安いかは一概に決められません。
標準報酬月額が高い場合は任意継続のほうが保険料を抑えられることがあり、扶養家族が多い場合も任意継続が有利になることがあります。

一方、前年の所得が低い人は国民健康保険のほうが安くなるケースもあります。最終的には双方の保険料を試算して比較することが確実です。

社会保険と国民健康保険の保険料はいつから変わる?

保険料の適用は資格取得日と喪失日に連動します。退職して国民健康保険へ切り替える場合は、退職翌日から国民健康保険の資格が発生し、その月から国民健康保険の保険料が対象となります。

逆に国民健康保険から社会保険に加入する場合は入社日が資格取得日となり、その月から社会保険料が発生します。給与計算にも影響するため、資格日を正確に把握しておくことが大切です。

まとめ

国民健康保険と社会保険(健康保険)は、いずれも医療費負担を軽減する重要な制度ですが、加入条件や保険料の仕組み、扶養制度の有無など、その特徴は大きく異なります。

転職・退職・独立といった環境の変化があると、どちらの制度に加入すべきか判断を迫られる場面も増えます。

本記事で解説した手続きの流れや任意継続制度、保険料比較のポイントを理解しておけば、制度変更時の不安を大きく軽減できるはずです。

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