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出張手当は、従業員の立替負担を減らし、経費精算を効率化できる便利な制度です。
一方で、金額設定や運用方法を誤ると課税対象となる場合もあり、税務上の注意が欠かせません。
本記事では、出張手当の相場、非課税の条件、経理処理、そして規程整備のポイントを実務目線でわかりやすく解説します。
まずは、自社の支給ルールが「相場」と「税務基準」の両方に沿っているかを確認してみましょう。
出張手当とは、従業員が出張の際にかかる食費や雑費などの実費精算が難しい支出を補うための手当です。
たとえば、出張先での朝食代や軽食、移動中の飲料代、通信費、ちょっとした交通費など、領収書が取りにくい小口の支出を想定しています。
一方、出張費や交通費は、実際に支払った金額を領収書に基づいて精算する費用です。
新幹線や飛行機、バス、タクシーなどの交通費、ホテルや旅館などの宿泊費は、原則として実費精算の対象になります。
つまり、出張費・交通費は「使った分を精算する」ものであるのに対し、出張手当は「出張中にかかる細かな負担をあらかじめ補う」といった特徴があります。
出張手当を設けることで、従業員が都度立て替える手間を減らし、経理担当者の精算処理が楽になるでしょう。
出張手当の金額は企業によってさまざまですが、一般的には国内出張か海外出張かによって水準が大きく異なります。
財務省による「民間企業における出張旅費規程等に関するアンケート報告書」によると、国内出張の場合は日当平均が2,621円、海外出張の場合は日当平均が5,441円となっています。
参照:財務省│民間企業における出張旅費規程等に関するアンケート報告書
また、役職や勤務地域によって支給水準は異なります。
管理職や役員クラスには責任や外部対応の比重を考慮して一般職より高めの手当を設定する企業が多く、東京や大阪などの都市部では物価を反映して支給額を上乗せするケースも見られます。
一方、地方勤務者や短時間出張では、日当を控えめに設定するなど実態に即した調整が一般的です。
業種によっても差があり、製造業や建設業など出張頻度が高い業界では、支給額を抑えつつ宿泊費や交通費を別途手厚く精算するケースが多い一方、コンサルティングや営業職中心の業界では、手当を高めに設定することで出張時のモチベーション維持を図る傾向があります。
出張手当を決める際は、単に他社相場に合わせるのではなく、
・出張の頻度(多い職種ほど手当を低めに設定)
・出張先の物価や宿泊費相場
・支給対象者の職務内容や責任範囲
といった観点を踏まえて、「合理的で説明できる支給基準」を明文化することが重要です。
とくに税務上は、支給根拠が曖昧な高額手当は「給与扱い」とみなされるリスクがあります。
経理や人事部門では、社内データや統計資料を参考にしながら、適正な水準を定期的に見直す仕組みを整えておくと安心です。
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出張手当は企業においては経費であり個人においては所得税法上原則として非課税扱いですが、そのためには明確な条件を満たす必要があります。
非課税とされるのは「実際に出張を行い、その際の通常必要な費用を補う目的で支給される場合」です。
つまり、支給額が合理的な範囲内であり、出張の実態があることが前提です。
所得税基本通達9-3では、出張旅費・日当などを非課税とするには、「出張の目的・行程・期間・職務等に照らして通常必要な範囲の金額」であることを求めており、その判断にあたっては「支給額の妥当性」「役職や地域差などの合理性」が基準とされています。
また、出張手当は、消費税法上、課税計算として課税仕入になります。
消費税基本通達11-2-1、11-2-2では、以下のように記載されています。
第2節 課税仕入れの範囲
引用元:国税庁「第2節 課税仕入れの範囲」
(現物給付する資産の取得)
11-2-1 事業者が役員又は使用人(以下11-2-2までにおいて「使用人等」という。)に金銭以外の資産を給付する場合の当該資産の取得が課税仕入れに該当するかどうかは、その取得が事業としての資産の譲受けであるかどうかを基礎として判定するのであり、その給付が使用人等の給与として所得税の課税の対象とされるかどうかにかかわらないのであるから留意する。(令5課消2-9により改正)
(使用人等の発明等に係る報償金等の支給)
11-2-2 事業者が、業務上有益な発明、考案等をした自己の使用人等に支給する報償金、表彰金、賞金等の金銭のうち次に掲げる金銭の支払については、課税仕入れに該当する。(令5課消2-9により改正)(1) 業務上有益な発明、考案又は創作をした使用人等から当該発明、考案又は創作に係る特許を受ける権利、実用新案登録を受ける権利若しくは意匠登録を受ける権利又は特許権、実用新案権若しくは意匠権を承継したことにより支給するもの
(2) 特許権、実用新案権又は意匠権を取得した使用人等にこれらの権利に係る実施権の対価として支給するもの
(3) 事務若しくは作業の合理化、製品の品質改良又は経費の節約等に寄与する工夫、考案等(特許又は実用新案登録若しくは意匠登録を受けるに至らないものに限り、その工夫、考案等がその者の通常の職務の範囲内の行為である場合を除く。)をした使用人等に支給するもの
引用元:国税庁「第2節 課税仕入れの範囲」
また、実務上はこれを証明するための出張命令書や報告書の保存が重要とされています。
これらを満たさない場合、給与として課税対象とみなされることがあります。
たとえば、実際には出張していないのに支給していたり、過度に高額な手当を設定している場合、税務調査でカラ出張と判断されるおそれがあります。
「カラ出張」とみなされた場合は、手当が給与所得として課税されるほか、会社側も源泉徴収漏れや損金否認などの指摘を受ける可能性があります。
税務調査で特に指摘されやすいのは、
・手当額に対する明確な根拠がない
・出張命令書や報告書の保存が不十分
・出張日数と支給日数が一致していない
といったケースです。
これらは「実態のない手当」や「架空人件費(勤務実態のない給与)」と見なされやすく、追徴課税のリスクを伴います。
支給額を合理的に設定するためには、社内外の相場データや宿泊費・物価水準を参考にしながら、役職・地域ごとに基準を明文化しておくことが有効です。
また、出張旅費規程を作成し、非課税の趣旨や支給基準を明確に定めておくことで、税務上の説明責任を果たしやすくなります。
経理担当者は「どこまでが非課税で、どの条件を満たせば安全か」を常に意識し、支給ルールと記録管理の両面から適正な制度運用を心がけましょう。
出張手当は、支給方法によって経理処理が異なります。
一般的には「現金払い」と「給与と一緒に支給する」2つのパターンがあります。
まず、現金で支給(精算)する場合は、次のように処理します。
出張に出発する前または帰着後に手当を現金で支給した場合は、以下のように記帳します。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 旅費 交通費 |
10,000 | 現金 | 10,000 |
次に、給与とあわせて支給する場合は、出張精算書に基づき次のように処理します。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 旅費 交通費 |
10,000 | 未払金 | 10,000 |
給与計算ソフトや勤怠管理システムと連携している場合は、給与明細上に「非課税出張手当」欄を設け、課税所得に含めない設定を行うことで、源泉徴収額の誤りを防げます。
証憑管理のルールとしては、出張命令書・出張報告書・領収書を一体で保管することが原則です。出張手当そのものには領収書が不要な場合が多いですが、出張の実態を証明する書類が残っていないと、税務調査で課税指摘を受けるリスクが高まります。
電子帳簿保存法の要件に沿って、クラウド経費精算システム上で申請・承認・証憑保管を一元化しておくと安心です。
近年は、クラウド経費精算システムによって出張申請と手当支給が自動連携できる仕組みも一般化しています。
たとえば、申請時に出張日数を登録すると自動で手当が算出・仕訳され、承認後に給与データへ反映される設定が可能です。
このようなシステムを活用すれば、誤入力や二重計上を防ぎ、経理担当者の手作業を大幅に削減できます。
出張手当を適正に支給するには、まず「出張旅費規程」を整備することが大切です。
出張旅費規程を整備しておくことで、社員間の不公平や不正受給を防ぎ、税務調査でも「合理的な制度」として説明しやすくなります。
手当額を決める際は、次の4つの視点で考えるのが基本です。
・相場の確認:人事院データや同業他社の水準を参考にする
・職種・役職:一般職と管理職で差を設けるかを検討する
・地域差:都市部と地方で宿泊費の相場・物価に合わせて調整する
・税務基準:小口の支出を含めた個人の負債として社会通念上妥当な範囲(非課税扱い)に収める
運用面では、不正やミスを防ぐ仕組みが欠かせません。
出張命令書・報告書の提出を必須にし、上長承認を経て支給するルールを明文化しましょう。
経費精算システムを導入すれば、申請から承認・支給までを自動化でき、二重申請や入力ミスも防げます。
制度の見直しは、物価変動や働き方の変化に合わせて定期的に行うことが理想です。
年度替わりや決算後など、社内調整がしやすい時期に実施しましょう。オンライン商談の増加により、「出張の必要性」も見直す必要があります。
出張旅費規程は、公平で透明な手当制度を支える土台です。
年に一度は内容をチェックし、現場の実態に合った制度に更新していきましょう。
まず大きいのが税負担の軽減です。出張手当は条件を満たせば非課税扱いとなり、給与として支給するよりも企業・従業員双方の税負担を抑えられます。
また、経費精算の効率化にもつながります。小さな支出まで領収書を集める必要がなくなるため、申請や承認の手間を大幅に減らせます。
さらに、社員にとっては「出張時の負担を会社が理解してくれている」と感じやすく、モチベーション向上やエンゲージメント強化の効果も期待できます。
まず、手当を導入すると固定的な支出が増えるため、出張の多い企業ではコストが膨らむおそれがあります。
また、職種や地域ごとの妥当な金額設定、税務上の非課税基準との整合を考慮する必要があり、制度設計が複雑になりがちです。
さらに、申請・承認ルールが曖昧なままだと、不正受給や二重申請のリスクも発生します。
こうしたリスクを防ぐには、出張旅費規程で「支給対象」「金額基準」「申請フロー」を明確に定めることが重要です。
あわせて、経費精算システムを活用して出張命令書や報告書を一元管理すれば、運用負担を抑えながら透明性を高められます。
出張手当は、適切に設計・運用できれば社員の働きやすさと経理の効率化を両立できる制度です。
導入や見直しを検討する際は、コストと効果のバランスを踏まえ、自社に合った形を見極めましょう。
相場や税務上の取り扱い条件を正しく理解し、自社に合った支給基準と運用ルールを整備することが重要です。
特に出張旅費規程は、制度運用の根幹です。金額設定や承認フローが現状に合っているか、今一度チェックしてみましょう。あわせて読みたい
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。
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