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実地棚卸とは?手順・注意点からよくあるトラブルまで実務目線で解説

公開日2026/02/15 更新日2026/02/13 ブックマーク数
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実地棚卸とは?手順・注意点からよくあるトラブルまで実務目線で解説

在庫管理や決算業務に携わる中で、「棚卸は毎年やっているが、これで本当に正しいのか」と感じたことはないでしょうか。
実地棚卸は、単なる年次行事ではなく、在庫管理の精度や財務情報の信頼性を左右する重要な実務です。
手順や注意点を理解せずに進めると、思わぬトラブルにつながることもあります。

本記事では、実地棚卸の基本的な考え方から、具体的な手順、注意すべきポイント、よくある問題までを、実務目線で整理して解説します。

[ 目次 ]

実地棚卸とは

実地棚卸とは、一定の時点において企業が保有する在庫について、現物を直接確認し、数量や状態を把握する作業を指します。
倉庫や店舗などに保管されている商品・製品・原材料を対象に、目視やカウントを行い、帳簿やシステム上の在庫データと照合することで、実際の在庫数量を確定させます。

日常の在庫管理では、入出庫記録や在庫台帳によって数量を把握しているケースが一般的ですが、記録漏れや処理の遅れ、破損・紛失などにより、帳簿上の数値と実態が乖離する可能性は避けられません。
実地棚卸は、こうしたズレを是正し、決算や月次処理の前提となる在庫情報の正確性を担保するために行われます。

また、実地棚卸は期末に限らず、企業によっては在庫管理体制の見直しや不正防止を目的として、仮決算や月次のタイミング等で定期的に実施される場合もあります。

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実地棚卸の目的・必要性

実地棚卸の最大の目的は、正確な在庫数量を把握し、適正な利益計算につなげることにあります。
売上原価は期首在庫・仕入高・期末在庫をもとに算出されるため、期末在庫が不正確であれば、利益や財務諸表全体の信頼性にも影響を及ぼします。

売上原価 = 期首商品棚卸高 + 当期商品仕入高 - 期末商品棚卸高

加えて、実地棚卸には、数量だけでなく破損・汚損・長期滞留といった在庫の状態を把握できる点や、帳簿・システム上の数値と現物を照合することで記録ミスや処理漏れを発見できる点といった実務上の意義があります。
また、定期的に実施することで、在庫の横領や不適切な処理を牽制する内部統制の役割も果たします。

実地棚卸の種類

実地棚卸は、「在庫をどのように数えるか(カウント方法)」と「いつ実施するか(実施タイミング)」という2つの観点から整理できます。

カウント方法による分類

比較項目 タグ方式 リスト方式
特徴 現物ごとにタグやチェック票を付けながら数量を確認する方法 あらかじめ作成した在庫リストをもとに現物と数量を照合する方法
メリット
  • カウント済み在庫が明確になる
  • 数え漏れや重複確認を防ぎやすい
  • 棚卸精度を高めやすい
  • 作業効率が高い
  • 準備が比較的簡単
  • 短時間で実施しやすい
デメリット
  • タグの発行・回収・管理の手間がかかる
  • 作業時間が長くなりやすい
  • 準備工数が増える
  • 数え間違いや重複確認が起こりやすい
  • 運用ルールが曖昧だと精度が下がる
向いている企業・環境
  • 在庫金額が大きい企業
  • 品目数が多い企業
  • 監査対応や内部統制を重視する企業
  • 在庫回転が早い企業
  • 棚卸頻度が高い企業
  • 循環棚卸を導入している企業

実施タイミングによる分類

・ 一斉棚卸
期末など特定の時点で、すべての在庫をまとめて確認する方法です。
決算対応として一般的ですが、短期間に作業が集中しやすい点には注意が必要です。

・ 循環棚卸
期末に一度に行うのではなく、月次や一定のサイクルで在庫を分割して確認する方法です。
在庫量が多い企業や、日常的に在庫精度を高めたい場合に採用されます。

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実地棚卸の手順

実地棚卸は、当日の在庫カウントだけで完結する作業ではなく、事前準備から差異の確認、在庫評価までを一連の流れとして管理することで、正確な在庫数と適正な会計処理につながります。
ここでは、実務で一般的な実地棚卸の進め方を工程ごとに整理します。

事前準備を行う

実地棚卸を円滑に進めるには、事前準備が不可欠です。
準備不足のまま実施すると、数え漏れや重複確認、作業遅延が生じやすくなります。
そのため、在庫の保管場所や配置を把握し、作業時間や役割分担を明確にしておく必要があります。

あわせて、倉庫の整理整頓や作業手順の共有を行うことで、判断のばらつきや確認ミスを防ぐことができます。
社外保管在庫や預かり品がある場合は、棚卸対象を事前に整理し、自社在庫と混同しないようにしておくことも重要です。

実地棚卸を開始する

準備が整ったら、決められた手順に沿って現物を確認し、数量を確定していきます。
確認済みと未確認の在庫が混在しないよう管理し、作業者と確認者を分けるなど複数人でチェックする体制を取ることで、数え間違いや記録ミスを抑えることができます。

また、数量確認とあわせて、破損や劣化など在庫状態の確認を行うことで、実態に即した会計処理にあわせて管理上の課題も把握できます。

集計・差異の確認を行う

カウント後は結果を集計し、帳簿やシステム上の数値と照合します。
差異が生じた場合は、入出庫記録の遅れや記載ミス、紛失・破損などの原因を確認します。

再確認しても一致しない場合には、実地棚卸の結果を基準に帳簿を調整します。
この工程は、在庫管理体制の課題を洗い出し、業務改善につなげる重要な機会でもあります。

在庫単価を評価する

数量確定後は、在庫評価を行います。
在庫金額は数量に評価単価を掛けて算定しますが、仕入時期や条件によって原価が異なるケースもあります。

そのため、あらかじめ定めた総平均法等の評価方法に基づいて単価を算出し、継続的に適用することが求められます。
在庫単価の評価は売上原価や利益に直結するため、数量確認と同様に慎重な対応が必要です。

実地棚卸でよくある問題

実地棚卸は在庫管理や決算の精度を支える重要な業務ですが、進め方を誤るとさまざまな問題が生じます。
特に、確認が不十分なまま形式的に実施すると、在庫管理だけでなく、信頼性や法的リスクにも影響を及ぼしかねません。
ここでは、実務で起こりやすい問題を整理します。

在庫管理が混乱するケース

実地棚卸が不十分な場合、帳簿・システム上の在庫数と実在庫のズレが常態化し、どの数値を基準に管理すべきか分からなくなります。
その結果、発注や出庫判断に支障が生じます。

また、確認方法や記録ルールが統一されていないと差異の原因を特定できず、在庫データの修正だけが繰り返されることで、管理の属人化や責任の不明確化を招くおそれがあります。

企業の信頼が低下するケース

棚卸精度が低いと、在庫数や評価額に誤りが生じ、決算数値や管理資料の信頼性が損なわれます。
不正確な情報に基づく報告は、社内の意思決定や外部評価に悪影響を与えかねません。

特に監査や内部チェックで在庫数を十分に説明できず、さらに実際にチェックが不十分であることが原因で決算の修正に至る場合には、管理体制そのものに疑問を持たれ、企業全体の信頼低下につながることもあるでしょう。

税務リスクが生じるケース

実地棚卸の不備により在庫数や評価額に誤りがあると、会計上の誤りにとどまらず税務申告に影響し、税務調査での指摘につながりかねません。
意図的な不正がなくても、税務調査の結果、追徴税額が多額になることがあります。

このように、実地棚卸は在庫管理にとどまらず、会計・税務・コンプライアンスの観点からも留意しておく必要があります。

実地棚卸を進める際の注意点

実地棚卸は、手順どおりに進めるだけでは不十分です。
進め方を誤ると数量のズレや確認漏れが生じ、在庫管理の精度を下げるおそれがあります。
ここでは、実務で特に注意すべきポイントを整理します。

棚卸作業中は在庫の動きを固定する

棚卸中に入出庫が発生すると、どの時点の数量を確認しているのか分からなくなり、数値の信頼性が損なわれます。
そのため、棚卸当日は、原則として在庫の移動を止めるか、例外的な入出庫があった場合には明確に記録を残すことが重要です。
在庫の動きが管理されていない状態での棚卸は、差異の原因特定を難しくします。

複数人でのダブルチェック体制を取る

実地棚卸は人手による作業のため、ミスを完全に防ぐことはできません。
一人に依存せず、カウントと確認を分けるなど複数人でチェックする体制を整えることで、数え間違いや記録ミスを抑えられます。
あわせて、作業の透明性が高まり、棚卸結果に対する社内の納得感も向上します。

自社在庫と預かり品を明確に切り分ける

棚卸では対象となる在庫の範囲を正確に定義する必要があります。
自社在庫と他社からの預かり品を混同すると、在庫数や金額が実態と乖離します。
事前に表示や保管場所を分け、預かり品を棚卸対象から除外できる状態を整えておくことが重要です。

社外保管分の在庫数量を事前に確認する

外部倉庫や取引先に保管されている在庫は、当日に現物確認ができない場合があります。
そのため、事前に期末時点の在庫の保管場所を把握したうえで、外部保管業者から数量報告や在庫明細を入手し、棚卸日の在庫数量を棚卸結果に漏れなく反映させる準備が必要です。

不良品・長期滞留品を同時に洗い出す

実地棚卸は数量確認だけでなく、在庫状態を見直す機会でもあります。
破損や劣化、長期間動きのない在庫を把握せずに数量のみ確定すると、適正な在庫評価ができません。
棚卸時には在庫の状態にも目を向け、評価替えや処分の検討が必要な在庫を洗い出すことが重要です。

まとめ

実地棚卸は、在庫の「実数」と「状態」を現物にあたって確認し、帳簿・システムの数値と整合させるための重要な実務です。
事前準備からカウント、差異確認、在庫評価までを一連の工程として丁寧に進めることで、在庫や売上原価の正確性を通して利益計算の精度が高まり、財務情報の信頼性も担保できます。

一方で、進め方を誤ると在庫管理の混乱や企業の信用低下、税務リスクにつながる点には注意が必要です。
本記事で整理した手順と注意点を踏まえ、自社の棚卸ルールを見直し、再現性のある運用に整えていきましょう。


※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。

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