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「海の豊かさを守ろう」は、SDGs(2030年に向けての持続可能な開発目標)のNo.14に位置付けられている目標です。SDGsは2015年に国連の場で採択されましたが、その行為主体となるのは政府だけではなく、企業もまた目標達成に対して重要な役割を果たすと位置付けられています。
そこで今回は、企業がSDGsの「海の豊かさを守ろう」に対してどのような貢献が出来るのかについて、実際の事例を取り上げつつ解説しましょう。
目次【本記事の内容】
地球は約7割が海に覆われていて、世界で約30億人以上もの人が海と沿岸の生物多様性を利用して生計を立てています。ところが現在、世界の漁業資源のうち約3割が乱獲状態にあり、将来にわたって持続可能な漁業が出来る水準を満たしていないのが現状です。
さらに人間の経済活動・生活の中で生み出される排出物による汚染も深刻化しています。例えば、現在二酸化炭素によって海洋酸性化が進展し、サンゴ礁のような海の生態系に甚大な悪影響を及ぼしつつあります。さらにプラスチックゴミが海中に廃棄され、それがミクロ化して海中に蓄積するという問題も深刻化しています。直径5mm以下の大きさとなったプラスチックの粒子である「マイクロプラスチック」は自然に分解されないため、海への廃棄によって永遠に蓄積し続けてしまうのです。
こうした状況を改善するため、SDGsのNo.14に「海の豊かさを守ろう」という目標が掲げられました。
先に述べた通り、SDGsに取り組むのは政府だけでなく、企業やNPO・NGOなどの民間団体も含まれます。実際に、SDGsを自らの事業活動の中に率先して導入し、経営戦略の一環として「海の豊かさを守ろう」に資する事業を展開している企業も多数あります。
SDGsの「海の豊かさを守ろう」は、14.1~14.7までの計7つの具体的な目標が定められていますが、大きくは、海洋資源の保全(乱獲を防ぐ)、海洋汚染の防止・削減の2分野に分けられます。このうち、海洋資源の保全については、各国がさんまやマグロなど品目別に国際条約を定めるなどのルール作りによって行われるのが基本です。各国の漁業関係者は、その国際ルールに則って漁業を行う必要があります。
一方、乱獲による海洋資源の枯渇以外の点については、業界に関係なく一般的な企業のレベルにおいても取り組める問題です。実際、プラスチックの廃棄を防ぐこと、海洋の酸性化を防ぐために二酸化炭素の排出量を抑えること、生物多様性を保全すること(乱獲を原因とするもの以外)等の取り組みは、既に多くの日本企業が取り組んでいます。
特に日本近海ではプラスチックゴミの量が多く、東京都環境局が公表している『海洋ゴミ問題に対する日本の取り組み』によると、日本周辺地域におけるマイクロプラスチックの量は、北太平洋全体の平均値の16倍、世界の海洋全体における平均値の27倍です。
実際には海外から漂着する海洋ゴミ(プラスチックゴミ)が主な原因ですが、日本から生み出すゴミを減らす必要も、当然あります。国内企業にも廃棄物を無くす積極的な努力が求められています。
海中へのプラスチックゴミの排出を減らすための対策の1つとして、そもそもプラスチック素材を使用しないという方法があります。
例えば企業の販売促進・広告の企画などを行っている「アーク・フロント株式会社」は、プラスチックの代替となる「LIMEX(ライメックス)」という新素材を使ったサービス提供に取り組んでいる企業です(製造元であるTBMの許可を得て実施)。ライメックスは原材料として石灰石を使っているので、廃棄してもマイクロプラスチックのような自然に還元されない物質を生み出しません。
また、プラスチック製品の開発型メーカーである「NIX」は、製品開発および社内運営に当たってプラスチックの使用量削減、プラスチック製品の再利用、素材の再利用、不要用途の遮断等を実施。外務省からもSDGsに取り組んでいる企業として位置付けられました。
雑貨商品・縫製加工品の製造、販売を行っている「株式会社ソーイング竹内」は、海洋酸性化の原因となる二酸化炭素の削減に努めるべく、自家発電用のソーラーパネルおよび蓄電設備を設置するなど、環境に配慮した活動計画を立てています。
さらに廃棄物処理に取り組んでいる「株式会社太洋サービス」は、世界各地の魚類の体内から検出され問題視されている低濃度PCB(ポリ塩化ビフェニル)廃棄物の無害化処理に従事。「海の豊かさを守ろう」への取り組み事例として評価が高いです。
ほかにも、化粧品メーカーである「株式会社コーセー」は、「SAVE the BLUEプロジェクト」の活動を通して、温暖化により絶滅の危機にある沖縄のサンゴ礁の保全に努めており、成功事例の1つとして位置付けられています。
尚、株式会社ソーイング竹内、株式会社太洋サービス、株式会社コーセーの取り組みは、外務省のホームページにおいてSDGsのNo.14の取り組み事例として紹介されています。
海洋資源の乱獲と海洋の汚染を防ぎ、生物多様性を守っていくことは、人類社会が将来的に持続可能な開発を行っていく上で不可欠といえます。この問題解決を目指すためには、各国政府だけでなく、業界の垣根を越えて各企業が独自の取り組みを進めていくことが重要です。事例で紹介した企業のように、一見すると「海」とは関わりを持たないような企業でも、「海の豊かさを守ろう」の実現に向けて貢献しています。
今や企業がSDGsにどれだけ取り組んでいるかは、CSRへの取り組み水準を示す測定基準の1つであり、企業の社会的評価を決める重要な要素です。各企業の経営者・管理者の方は、SDGsに対して自社でどのような取り組みが出来るのか、十分に検討する必要があるでしょう。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。
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