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専門の学校に通いながら、もしくは会社勤めをしながら、士業に関わる国家試験に挑んでおられる方も多いと思います。人生百年時代が話題となって以降、報道などで企業の定年制度や老後の生活資金問題が多く取り上げられてきました。一般的には定年が無く、長く働ける士業の人気が高いのも頷けますが、最大の関門である国家試験の合格率は、どのようになっているのでしょう?受験者数や合格率の推移を整理してみました。
必ずしも合格率だけがその国家試験の難易度を表すわけではありませんが、その指標にはなります。一般的に難関と言われる弁護士、公認会計士、税理士、社会保険労務士、弁理士、司法書士、行政書士、中小企業診断士の合格率をランキングにまとめてみました。
順位 | 資格 | 平成28年度 | 平成29年度 | 平成30年度 |
---|---|---|---|---|
1 | 司法書士 | 4.0% | 4.1% | 4.3% |
2 | 社会保険労務士 | 4.4% | 6.8% | 6.3% |
3 | 弁理士 | 7.0% | 6.5% | 7.2% |
4 | 公認会計士 | 10.8% | 11.2% | 11.1% |
5 | 行政書士 | 10.0% | 15.7% | 12.7% |
6 | 税理士 | 13.2% | 17.0% | 12.8% |
7 | 中小企業診断士(二次試験) | 19.2% | 19.4% | 18.8% |
8 | 弁護士 | 22.9% | 25.9% | 29.1% |
【第1位:司法書士】
合格率が5%を切る超難関の司法書士は、ここ数年1位を維持しています。平成30年度の受験者数は14,387人、合格者数はわずか621人です。受験者数は平成22年度をピークとして毎年減り続けていますが、合格率は毎年少しずつ上昇しています。合格率上昇の理由は定かではありませんが、減り続ける受験者に対して「一定数の司法書士を確保するため」という説もあるようです。
【第2位:社会保険労務士】
昨年は3位でしたが、今年度は2位です。ただし3位の弁理士とあまり差の無い合格率なので、順位づけは意味が無いかもしれません。平成30年度の受験者数は38,427人、合格者数は2,413人です。この国家試験も平成22年度をピークに受験者数が減り続けているのですが、開業と勤務のどちらも選びやすい社会保険労務士の安定感からか、女性受験比率の高い国家試験でもあります(男性63%、女性37%の合格率)。
【第3位:弁理士】
弁理士試験には特に受験資格が無く、学歴などに関係なく誰でも受験することができますが、司法試験に次ぐ難易度だと言われています。平成30年度の受験者数は3,587人で、平成21年の9,517人から毎年受験者数が減っています。合格率も近年は6%~7%前後という非常に低い水準で推移しています。
【第4位:公認会計士】
公認会計士の試験も、学歴や年齢に関係なく誰でも受験することができます。最年少合格者は16歳ですが、その筆記試験は医師、弁護士と並ぶ難関と言われています。平成30年度の出願者数は11,742人、最終的な合格者数は1,305人で合格率は11.1%でした。公認会計士の受験者数も平成22年をピークに減少していましたが、27年で底を打ち近年は上昇傾向です。
【第5位:行政書士】
平成30年度の受験者数は39,105人で、10年前の63,907人と比べると6割程度になっており、ずっと減少傾向です。それにともなって合格率は上昇の傾向にある現状です。受験者の年齢分布を見ると30代、40代が多く、主な仕事内容が書類の作成や申請の代行という特徴から、退職後でも独立開業しやすい士業として人気があります。
【第6位:税理士】
平成30年度の受験者数は30,850人で、多少減少方向ではあるものの、常に一定の受験者数がある人気の士業と言えます。税理士登録した者のみが扱える「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」という3つの独占業務は、安定的に顧客を確保する強い武器になります。近年の合格率は12%〜17%の間で推移しています。
【第7位:中小企業診断士】
一次試験・二次試験合格者の約9割が社会人の中小企業診断士。ビジネスパーソンが新たに取得したい資格の第1位になったこともある本資格は、中小企業向けの経営コンサルタントとして独立開業する以外にも、キャリアアップや有利な転職をすることを目的に取得する人も多いようです。平成30年度の一次試験受験者数は16,434人、二次試験の受験者数は4,978人で、合格率は共に20%前後です。
【第8位:弁護士】
裁判官、検察官とあわせて「法曹三者」の一つと言われる弁護士は、士業の中でもとても人気が高い資格です。平成30年度の受験者数は5,238人で、今回ランキングした士業の中では、弁理士に次ぐ受験者数の少なさです。ただし合格率は、直近10年でも23%〜29%程度と決して低くありません。
司法試験を受験するには、法科大学院課程を修了するか、難関といわれている司法試験予備試験に合格して受験資格を得ることが必要です。また受験資格には5年という期限と、期限内に3回までしか受験できないという回数制限があります。この期限と回数内に合格できなければ再度受験資格を得るところから始めねばならず、必然的に準備に心血を注ぐことになります。弁護士が、法律系国家資格の中で超難関と呼ばれる資格であっても合格率が高いのは、このような背景があるのです。
試験の結果得られるものが【資格】である限り、その【資格】を活せるフィールドが実は最も大切です。【資格】は活用してこそ意味のあるもので、得ることが目的ではありません。合格後に活躍する自分の姿を、しっかりイメージしながら勉強に励みましょう。
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