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なんとなく元気がない、やる気がなさそう、と思っていた社員が、実はうつ病だったなんてことがあるかもしれません。もしも社員が医師の診断書を手に休職希望を出して来たら、人事部はどのような対応をするべきなのでしょうか。
目次【本記事の内容】
平成30年5月31日、厚生労働省は「労働基準関係法令違反に係る公表事案」(平成29年5月1日~平成30年4月30日公表分)を発表しました。この中には安全配慮義務違反の他、36協定に係る違反などが目立ちました。
長時間におよぶ残業や人間関係、繰り返される激務などでうつ病と診断される人数は増加傾向にあります。平成24年時点で、メンタルヘルスの不調により連続1か月以上休職または退職した労働者がいる事業所の割合は全国で8.1%におよび、そのうち職場復帰した労働者がいる割合は55%となっています。
うつ病とは、気分がすぐれない、やる気が起きないなどの気分障害を言います。趣味だったことに関心を示さなくなったり、元気がなかったり、眠れない、頭痛がする、自分が価値のない人間のように思えるなど、その症状はさまざまです。
職場でそのような状態になると「しっかりしろ」「やる気を出せ」などと声をかけられ、また周りの目を気にして自分自身をコントロールしようとするけれどうまくいかず、さらに落ち込むなどといった悪循環も考えられます。
うつ病は病です。社員が自らそれに気づき、医師の診断書を持ってきたら、人事部としてその社員が回復するよう手助けをする必要があります。ただし人情だけで対応すると、その後のトラブルにも発展しかねません。人事部は企業のスタッフとして、どのような対応をとればよいのでしょうか。
休職の処理に入る前に、あらかじめ把握しておかなければならない法律や社則をご紹介します。
詳細や疑問点は、提携の専門家や専門機関にきちんとご確認ください。
【法律】 …一部抜粋
労働基準法 第19条 解雇条件
使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間並びに産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業する期間及びその後三十日間は、解雇してはならない。ただし、使用者が、第八十一条の規定によつて打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合においては、この限りで
健康保険法 第99条
被保険者が療養のため労務に服することができないときは、その労務に服することができなくなった日から起算して三日を経過した日から労務に服することができない期間、傷病手当金として、一日につき、標準報酬日額の三分の二に相当する金額を支給する。傷病手当金の支給期間は、同一の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病に関しては、その支給を始めた日から起算して一年六月を超えないものとする。
【社則】※確認
以上等を認識の上、社員が休職を申し出てきた場合の、人事部としての対応をいくつかご紹介します。
厚生労働省が発行している、職場復帰支援から流れをご紹介します。
以上等を踏まえて、それぞれの段階に応じて人事部がとるべき対応を細かくみてみましょう。
管理監督者から連絡を受けた人事部は、休職に係る手続きを行います。
この時、傷病手当金など経済的な保証や休職期間などについて、社員が安心して療養に入れるよう細かく説明します。
産業医がいない場合などは、主治医に対して社員の業務内容なども報告し、その内容も加味したうえで職場復帰が可能か否かの判断をしてもらいます。
中には休職期間内に復帰しなければ失職してしまうとの不安から、まだ回復していないにもかかわらず職場復帰の意思があると虚偽の意思表示をしてしまう社員もいるため、慎重に見極める必要があります。
休職に至った背景が人間関係であったり、業務内容であったりする場合は異動の可能性、他にも勤務制度の変更など、復帰するための環境改善について考えます。
また、出張を制限したり、身体的リスクの高い業務(高所での作業や運転業務など)やストレス性の高い業務(窓口業務やクレーム対応など)に就業することはなるべく避けたりするなど、業務内容に関しても配慮をします。
最終的な疾患再発生の有無や社員の状態について確認します。
疾患が再発生していないかを随時確認していきます。
万が一再発生した場合は再度休職に入る可能性がありますが、所定の連続勤務期間を経てからの休職である場合、以前の休職期間とは合算されないことを覚えておきましょう。
これら以外にも、うつ病などによる休職者が出てしまった場合、人事部としては職場環境の実態調査や改善策の立案など、抜本的な環境改善に取組む必要があります。
それぞれの性格や環境、業務内容、人間関係などにより、誰でもうつ病にかかる可能性はあります。
もしそうなってしまった場合、人事部としては社員の回復だけでなく企業の抱える可能性のあるリスクなども考慮に入れ、然るべき措置を講じる必要があります。社員にとっても企業にとっても、よりよい未来につながるよう、適切な対応を心がけましょう。
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