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経営管理系部門の社員にとって、各種情報の収集・分析とそれに基づく各種企画立案・計画策定、プレゼン資料作成などは重要な日常的業務の1つ。この業務を的確かつ効率的に処理するために知っておくと便利なのが「ビジネスフレームワーク」です。
ビジネスフレームワークとは、情報、アイデア、状況などを図式化することで物事や課題を論理的に把握するための手法のこと。
ビジネスフレームワークのメリットとして、次が挙げられます。
・錯綜した雑多な情報や状況を論理的に整理できる
・錯綜した雑多な情報や状況を客観化できる
・情報分析、状況把握、問題点発見などを効率的に行える
・行き詰まった議論をブレークスルーできる
・納得感や説得力が高い企画書、計画書、プレゼン資料などを作成できる
・関係者の間の共通認識を深めることができる
ビジネスフレームワークには、企画立案、計画策定、思考整理などその目的により様々な手法があり、決して「万病に効く薬」ではありません。手法の選択を誤ると、かえって自分自身の思考や会議等の議論を混乱させる要因になります。各手法の特徴と使い方を正しく理解し、ビジネスフレームワーク活用の目的に適した手法を選択することが何よりも重要です。
経営管理系部門でよく活用される代表的な手法として、次のビジネスフレームワークが挙げられます。
●3C分析
3C分析は「Customer(市場・顧客)」、「Company(自社)」、「Competitor(競合他社)」の3軸から、現状を分析するためのフレームワークです。
3C分析により市場や業界内における自社の立ち位置を客観的に評価し、自社の強みと弱みを明確化できるので、戦略的な事業展開や新規事業創出に向けた検討を適正に実施できます。
●4C分析
4C分析は「Customer Value(顧客価値)」、「Cost(顧客にとっての経費)」、「Convenience(利便性)」、「Communication(顧客とのコミュニケーション)」の4軸から、顧客にとっての自社商品のメリットを評価するためのフレームワークです。
4C分析は自社商品のメリット・デメリットを顧客目線で評価する際に役立ちます。
●SWOT分析
SWOT分析は「Strength(強み)」、「Weakness(弱み)」、「Opportunity(機会)」、「Threat(脅威)」の4軸から、自社の強みと弱みを内部環境と外部環境の両面から評価するためのフレームワークです。
3C分析により評価した自社の強みと弱みを、外部環境の中でいかに強みを発揮し、脅威をいかに排除するかの対策を立案する際に役立ちます。
●PPM分析
PPM(Product Portfolio Management)分析は「市場成長率」と「市場占有率」の2軸からなる座標軸で自社事業を分析するフレームワークです。
PPM分析では自社事業を「花形(市場成長率もマーケットシェアも高い)」、「金のなる木(市場成長率は低いがマーケットシェアは高い)」、「問題児(市場成長率は高いがマーケットシェアは低い)」、「負け犬(市場成長率もマーケットシェアも低い)」の4タイプに分類することで、自社事業の将来性把握が可能になります。
●5F分析
5F分析(Five forces analysis)は、自社が属する業界や新規参入を目指している業界の現況と将来性を評価する際に有効なフレームワークです。
5F分析では業界の要素(フォース)を「既存競争者同士の敵対関係」、「新規参入の脅威」、「代替品の脅威」、「売り手の交渉力」、「買い手の競争力」の5つに分解して各要素の力関係を評価し、各要素の力関係が強い業界ほど事業収益性は低く、逆の場合は事業収益性が高いとされています。
自社の優位性を発揮できる要素を力関係により評価できるのが特徴でその業界で自社事業を伸ばす事業戦略策定や新規参入をする際の判断材料にできると言われています。
●PEST分析
PEST分析は経営戦略や事業戦略を策定する際に、「Politics(政治的要因)」、「Economy(経済的要因)」、「Society(社会的要因)」、「Technology(技術的要因)」の4要因により外的要因リスクを予測する際に役立つフレームワークです。
PEST分析を行うことで、リスクを極小化した経営戦略や事業戦略の策定が可能になります。
●ロジックツリー
ロジックツリーは問題発生要因を分解して図式化し、問題発生の根源的な要因を探り出すためのフレームワークです。根源的な要因を論理的に探り出すため、要因をツリー状に分解することから「ロジックツリー」と呼ばれています。
例えば「売上が伸びない」問題に対しては、その要因を「Why?(なぜか)の追求で分解してゆきます。すると売上が伸びない要因として「製品に魅力がない」、「営業社員の商品知識が低い」、「広告宣伝が弱いので市場の認知度が低い」などが明らかになってきます。
そして売上が伸びない主要因として「製品に魅力がない」場合は、さらにWhy?の追求で分解すると「オリジナリティがない」、「競合品との差別化ポイントがない」、「製品ラインナップが貧弱なので顧客訴求力が低い」などが明らかになってきます。
このように、ロジックの枝を広げてゆくことで根源的な要因を発見するのがロジックツリーの特徴です。ロジックツリーは、実効性の高い問題解決策を導き出すのに有効なフレームワークと言われています。
●PDCA
「Plan→Do→Check→Action」のサイクルを回すPDCAはもともと業務改善のフレームワークでしたが、現在は事業計画の立案や目標設定をする際のフレームワークとしても広く活用されています。
●KPT
「Keep(継続すること)」と「Problem(問題)」を洗い出し、「Try(問題解決策と新たに挑戦すべき課題)」を明らかにするKPTは、PDCAサイクルのCheck段階を深掘り・補足するフレームワークとしてよく用いられます。
KPTはPDCAサイクル全体の評価にも有効なフレームワークと言われています。
●SMART
「Specific(具体的であること)」、Measurable(測定可能であること)」、「Attainable(達成可能であること)」、「Result-based(成果を重視していること)」、「Time-oriented(期限が明確であること) 」の5要素からなるSMARTは、中長期の経営計画を策定する際や事業計画の数値目標を設定する際の指針となるフレームワークです。
またSMARTに基づいた計画や目標は、達成率が高いと言われています。
ビジネスフレームワークは効率的なビジネス課題解決手法ですが、それはあくまでも手段でしかありません。ビジネスフレームワークを活用する際は、最初に活用目的を明確化し、正しい手法活用知識を身に着ける必要があります。
目的も手法活用知識も曖昧なままで活用すると、ビジネスフレームワークから得られた情報に振り回されて思考が迷走し、出口の見えない議論に終始する恐れがあります。
ビジネスフレームワークもまた、使い方を誤ると「百害あって一利なし」の手法であることを忘れてはならないでしょう。
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