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2020年7月上旬、2つの大きなTOBが発表され、話題となっています。
ひとつ目は、7月8日に発表された伊藤忠商事のファミリーマート完全子会社化。約5800億円でファミリーマートの全株式取得を目指す、としています。
そしてふたつ目は、同9日に発表された、外食大手のコロワイドによる大戸屋ホールディングスのTOB実施です。コロナ禍で飲食店の収益が悪化しており、食材の共同調達などで経営再建を図ります。
今、何かと話題のTOBについて、本記事では、ビジネスパーソンならぜひ知っておきたいTOBの簡単なおさらいと、過去に話題となった事例をご紹介します。
「TOB」は“Take Over Bid(株式公開買い付け)”の略で、株式の取得方法のひとつです。
期間や価格、株数などを公告し、市場外で相手企業の株式を既存株主から大量に買い付けます。主な目的は、経営権の取得や自社株を買い集めることです。
TOBは大きく2種類に分けられます。相手企業の経営陣がTOBの実施に合意している場合は、「友好的TOB」と呼ばれます。それに対し、経営陣の同意を得ずにTOBを行う場合は「敵対的TOB」と呼ばれます。
ここでは、マネジー編集部が選んだ、過去に行われて大きな話題となったTOBを7事例ご紹介しましょう。どれも、ビジネスパーソンなら知っておきたいものばかりです。
歴史的経緯から長らくフジテレビの筆頭株主はニッポン放送でしたが、その関係を変えるため、2005年1月に大株主の鹿内家から放出されたニッポン放送株を、フジテレビがTOBで取得。しかし、翌2月に当時のライブドアが時間外取引を利用し、ニッポン放送株を取得しました。これにより、ライブドアはもともと持っていた分と合わせて35%の株式を得て、ニッポン放送の筆頭株主に。そのため、ニッポン放送がフジテレビに対して新株予約権の発行を発表し、フジテレビはTOBの目標を上げてライブドア支配を阻止するなど、事態は混沌としました。最終的には両社が和解に。ライブドアが持つニッポン放送株をフジテレビに譲渡し、かわりにフジテレビがライブドアに出資することが発表されました。株の派手な争奪戦によるTOBで、当時大きな注目が集まった一件です。
2005年、ドン・キホーテは同社で新たなコンビニエンスストアの展開を目指し、オリジン弁当を手掛けるオリジン東秀に業務提携を持ち掛けました。しかし、オリジン東秀側はドン・キホーテ傘下に入ることを拒否したため、ドン・キホーテが敵対的TOBを仕掛けることに。その後、オリジン東秀はイオングループに助けを求め、要請を受けたイオングループはホワイトナイトとして対抗TOBを実施したのです。その結果、ドン・キホーテのTOBは不成立となり、オリジン東秀はイオングループの傘下に入りました。
2006年、ボーダフォン日本法人は当時ソフトバンクグループの子会社だったBBモバイルに、TOBで買収されました。買収金額は当時のレートで約1兆7,500億円、大型買収として大変話題になりました。このTOBによって、ソフトバンクは1,500万人以上のボーダフォンの顧客や回線を獲得し、短期間で携帯事業参入を実現したのです。
2006年7月、製紙業界トップの王子製紙が、業界6位の北越製紙(現・北越コーポレーション)に経営統合を持ち掛けましたが、北越製紙はこれを拒否。その後、王子製紙はTOBによる北越製紙の経営権支配と、経営統合する計画を発表しました。しかし、北越製紙は三菱商事を引受先とする新株発行で防衛。その結果、三菱商事が北越製紙の筆頭株主になり、王子製紙による敵対的TOBは不成立に終わりました。本件は、大手企業同士の敵対的TOBの代表例のひとつです。
2017年に、機械製造メーカー「フリージア・マクロス」会長で投資家でもある佐々木ベジ氏が、電子部品商社のソレキアにTOBを実施しました。しかし、ソレキアはこのTOBに賛同せず、敵対的TOBへ。そこで、ソレキアと関係が深い富士通がホワイトナイト(敵対的買収者に対抗して、友好的に買収または合併する会社)としてTOBに参戦。佐々木氏と富士通によるTOB価格のつり上げ合戦となりました。最終的に買い付け価格をつり上げた佐々木氏に富士通が敗北し、佐々木氏は敵対的TOBを成功させました。
伊藤忠商事がスポーツウェア大手のデサントに対して、2018年から2019年にかけて実施。伊藤忠は筆頭株主として、デサントが経営危機になるたびに支援を続け、経営の改善を求めてきました。しかし、デサント側が応じず、業績もなかなか回復しなかったため、伊藤忠は敵対的TOBに踏み切ったのです。その結果、TOBへの応募は予定数の上限を大きく上回り、伊藤忠がデサントの株の40%を確保したことでこのTOBは成立。本件は敵対的TOBとして国内大手企業同士では初の成立例となったと言われています。
2019年、Zホールディングスは通販サイト「ゾゾダウン」を運営するZOZOを子会社化するため、友好的TOBを実施し、ZOZO株式の50.1%を取得しました。Zホールディングスはソフトバンクグループ傘下の持株会社で、ヤフーやジャパンネット銀行、PayPay、GYAOなど、多くの企業を子会社に持っています。
いかがでしたか?
TOBは対象となる企業だけでなく、株価も大きく影響を受けます。自社事業とは直接関係がない案件でも、ぜひ情報をおさえておきましょう。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、最新情報や具体的対応は公式情報や専門家にご確認ください。詳細はご利用規約をご覧ください。
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