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日本企業の内部留保が、コロナ禍で世界から評価される理由

公開日2020/08/26 更新日2020/08/27

新型コロナウイルスの感染拡大によって、多くの中小企業が経営体力を奪われています。

一方で、この苦境に耐えているのが大企業です。海外では名だたる会社が倒産に追い込まれるなかで、日本のトップ企業は事業を継続させています。

この理由として考えられるのが内部留保です。潤沢な内部留保によって、大企業の資金操りが支えられています。

そこで今回は内部留保について解説をします。世界的な危機でも対応できる資金調達方法として詳しく見ていきましょう。


内部留保とは

内部留保とは、企業が所有する資産のうち、自己の利益によって調達した部分を指します。したがって、金融機関による融資などの借入金や、株主や投資家からの出資ではありません。

会計上では利益剰余金といい、社内分配や社内留保と呼ばれることもあります。

正確には、会社が生み出した純利益(経常利益+特別利益-特別損失)から、役員報酬や税金、配当などの社外流出分を除いて、社内に蓄積されたお金が内部留保です。

財務諸表においては、貸借対照表の貸方にある「資本の部」、いわゆる純資産の部に勘定科目として表されています。ここで気をつけておきたいのは、内部留保という勘定科目があるわけではないということです。

一般的には、利益剰余金を内部留保として捉えられています。しかし、ほかの勘定科目も内部留保に加算できるという、より広義の解釈をするケースもあるようです。

例えば、日本銀行では、利益剰余金に各種引当金(全体または過大計上分)を加えたものを内部留保としています。

いずれにしても、企業における有益な資産の調達方法の一つです。近年、とくに重視すべき経営数値だと考えられています。なぜなら内部留保を設備投資やM&Aに投じて、企業を成長させるだけではなく、未曾有の経済危機でも耐えうる体力をつけられるからです。

内部留保の現状

日本企業では欧米企業に比べると、株主への配当を低く抑えて、内部留保を潤沢にする特長があります。この傾向は、現在でも続いています。

1988年には100兆円、2004年に200兆円、2012年には300兆円を突破しました。そして、直近の5年間は右肩上がりで増加して、2020年には483兆円という過去最高額を記録しました。(参照:法人企業統計調査|財務総合政策研究所

内部留保が増えている理由は、失われた20年やリーマンショックなどの金融危機が影響しています。銀行による貸し渋りで、企業自体が資金繰りに困ったことから、財務体質を強化するために内部留保を蓄えてきました。

日本企業は短期的な利益や成長拡大を狙うのではなく、長期的な視点で守りの経営をしていることが垣間見られます。

このような経営方針は、資金を有効に活用していないという点で、グローバル経済のなかでは批判されてきました。

一方で内部留保を、新規事業や設備投資に回すことで、企業を成長させて、結果的に株主への利益還元になるという見方もあります。

例えば、2次診療専門の動物病院を運営する日本動物高度医療センターは、事業拡大の途中段階にあるため、財務体質の強化と事業拡大のための投資として、内部留保を充実させています。

なお株主への配当金は創業以来、2020年3月期まで無配当です。自己株式取得をしながら将来的な株主への還元の姿勢を貫いています。

このことから内部留保とは、使用しない資金を蓄えるのではなく、またリスクに備えるだけではなく、収益力を強化させるために積極的に活かされていることがわかります。

コロナ禍における内部留保

また新型コロナウイルスの感染拡大によって、潤沢な内部留保が功を奏しました。欧米の大手企業が資金繰りに苦しみ、失業率も拡大するなかでも、日本企業は大きな痛手なく持ちこたえることができています。

内部留保という資産が、コロナ禍をしのぐ手段としてスポットライトを浴びたのです。しかしながら内部留保をうまく活用しているのは、一部の大手企業にとどまります。

日々の事業を運営するための資金、つまり現預金が必要な中小企業は、金融機関からの融資で資金調達をしているケースが少なくありません。

コロナ禍では、国や地方自治体による補助金や助成金、給付金、融資に頼っている企業も数多くあります。このような状況下では、どうしても運転資金に頼りがちで、内部留保を重視する余裕はありません。

新型コロナウイルスが終息した後、中小企業がどのように内部留保を確保していくのかが注目されています。

まとめ

内部留保だけを見直したからといって、経営状態が改善されるわけではありません。

アフターコロナの社会では、働き方から業務内容まで、今までのあり方とは変化していくでしょう。これからの企業は、内部留保を重要な資産として活かしながらも、総合的な視点で経営の舵を取っていかなければならないのではないでしょうか。

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