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企業活動にとって、金融機関は欠かせない存在です。融資はもちろん、経営改善への支援なども金融機関の重要な役割です。
金融機関が企業の支援にどのように取り組んでいるのかを把握するため、金融庁は、地域銀行をメインバンクとする中小・小規模企業約3万社にアンケート調査(帝国データバンク)し、その結果を公表しました。
金融庁は、金融機関に対して「担保・保証に依存しない企業の事業性評価に基づく融資や、コンサルティング機能の発揮による企業の経営改善・生産性向上等の支援に積極的に取り組む」ように促しています。
ところが地域の中小企業からは、金融機関のこのような取り組みは「不十分」という意見が多く聞かれます。そこで、まず、メインバンクと企業のコミュニケーションについての調査結果を見ていきましょう。
メインバンクの訪問目的ですが、「財務・経営状況に関する対話」が約7割で、「特段内容のない日常会話」も6割強で続きます。月1回以上訪問をしているケースでは、「事業に関する対話」が5割強で、約半数の企業と日常的に事業に関する対話を行っていることがわかります。
一方、「経営改善支援サービスの提案」については、ないと回答した企業が全体で約3割と低く、金融機関がそれほど積極的に取り組んでいないことが見て取れます。
メインバンクの役割には、融資のほかにも事業計画策定支援や財務内容の改善支援、経営人材紹介、取引先・販売先の紹介、海外展開支援、M&A、固定費の削減、人材育成・従業員福祉などがあります。
こうした点について、地域金融機関の積極的な提案・提供が、地域経済・企業の生産性向上につながると期待されているだけに、「事業に関する対話」などで把握した情報を、経営改善支援サービスの検討にも活用していくことが、これまで以上に求められるといえるでしょう。
企業が抱えている課題についても、この企業アンケート調査から明らかになっています。全体では、「人材育成・従業員福祉」(1割強)がもっとも多く、次いで、「取引先・販売先の拡大」、「財務内容の改善」(各々1割強)と続いています。
また、債務者区分別に見ると、「人材育成・従業員福祉」を経営上の課題としてより強く感じているのは正常先の企業(2割程度)でした。要注意先以下は「財務内容の改善」(2割弱)を問題として抱える企業がもっとも多い結果となりました。
地域金融機関の積極的な提案が、地域経済・企業の生産性向上につながると期待されていますが、実は、メインバンクに融資以外の課題を「相談していない」とする企業が5割弱ということも明らかになっています。
その理由ですが、「銀行に融資以外は求めていない」との回答が全体で4割弱ともっとも多く、「訪問してくれないので、相談する機会がない」や「相談すると何かにつけて自行の商品購入を勧めてくる」とする企業も約1割となっています。
では、中小・小規模企業が、融資以外の相談をどこにしているのでしょうか。約3割が、顧問税理士やコンサルなどの専門家に相談しているようです。
ところで、地域金融機関の企業の経営改善・生産性向上の支援への取り組みは「不十分」という声がありますが、経営上の課題や悩みについては、「よく聞いてくれる」「ある程度聞いてくれる」とする企業の割合は全体で7割強です。
さらに、「以前より聞いてくれるようになった」とする企業の割合が増えていることが、昨年からの大きな変化のようです。コロナ禍で業績悪化が避けられない企業にとっては、金融機関との付き合い方が、企業存続の大きなカギになってくるのではないでしょうか。
調査結果の詳細 https://www.fsa.go.jp/common/a...
低金利政策により金融機関の収益も悪化し、店舗数やATMの削減に踏み切るメガバンクもあります。世界経済の動向もきわめて不透明なだけに、企業としても金融機関との付き合い方を、根本的に見直す時期にきているのかもしれません。
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